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Articles by 日本

Alvaro Bermejo International Planned Parenthood Federation
27 4月 2023

日本とIPPF、広島G7サミットを前に、一層の連携をはかることで合意

2023年4月27日、アルバロ・ベルメホ国際家族計画連盟(IPPF)事務局長は、秋本真利外務大臣政務官と面談し、主に以下2点を確認しました。 1 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に必要不可欠な性と生殖の健康と権利に関するサービスを世界の草の根レベルで提供するIPPFの活動を評価し、重視する日本は、今後も引き続き同分野に積極的に取組んでいくこと。 2 日本からの長年にわたる協力に深く感謝し、UHC推進等の人口・グローバルヘルス分野における日本のリーダシップを高く評価するIPPFは、来月開催予定の広島G7サミットも視野に入れ、日本との連携をより緊密にしていくこと。 以上。  

Tomoko Fukuda ESEARD visit MP Yoko Kamikawa
31 1月 2023

福田友子ESEAOR事務局長が来日~日本とIPPFのさらなる連携強化を目指して~

2023年1月25-26日、国際家族計画連盟(IPPF)東・東南アジア・大洋州地域(ESEAOR)事務局長の福田友子が来日しました。 国際人口問題議員懇談会会長 上川陽子議員(中央)を訪問した福田友子ESEAO地域事務局長(右) 国際人口問題議員懇談会(JPFP)のメンバーである国会議員や外務省を訪問し、日本政府のIPPFへの長年にわたる厚いご支援への感謝をお伝えするとともに、主に2023年以降実施されるIPPF新戦略「Come Together: 戦略2028」の説明と、アフガニスタン等における活動の進捗状況に関する報告を行いました。 パンデミックや紛争、気候危機、自然災害など多くの課題が山積する中、人口80億の時代を迎えた世界において、今後もIPPFはその世界の草の根で張り巡らしたネットワークを活かし、世界のSDGsとUHCの達成や人間の安全保障の実現に向け、すべての人々にSRHサービスを届けることを通じて、日本政府と協働を続けていくことをお約束しました。

モロッコ「海の男の健康向上」プロジェクト

11/7 <TICAD8公式サイドイベントウェビナー> モロッコ「海の男の健康向上プロジェクト」

<TICAD8公式サイドイベントウェビナー> サプライチェーンにおける人権尊重に向けた労働環境改善のモデルケース モロッコ「海の男の健康向上プロジェクト」 女性の健康と権利 モロッコの試み 日時:   11月7日(月)日本時間17時~18時15分 開催方法:   Zoomによるオンラインイベント 対象:   ご興味のある方ならどなたでも 参加登録: 参加登録の受付は終了しました 参加費:     無料 共催:   国際家族計画連盟(IPPF)、公益財団法人ジョイセフ 司会:  迫田朋子(ジャーナリスト) スピーカー:  倉光秀彰 駐モロッコ特命全権大使         小倉孝保 毎日新聞論説委員         佐藤寛 ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員         谷口百合 IPPFチーフ戦略連携開発(東南アジア) サプライチェーンにおける人権尊重の促進が世界の潮流となっています。日本でも2022年9月に「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」が政府により策定されました。日系企業も活動を見直し、誰一人取り残さないより良い世界の構築に向けて役割を果たすことが期待されています。 モロッコは、アフリカ経済発展の優等生で、今後ますますの成長が期待され、投資先として熱い注目を浴びています。また豊かな漁場に恵まれ、タコ・イカ・マグロ等、日本人の食卓に欠かせない水産物の主要な輸出国でもあり、日本とは非常に緊密な関係にあります。しかし、サプライチェーンの末端にいるモロッコの海の男たちの顔は、日本では全く見えず、彼らの生活ぶりに気を留めることはほとんどありません。 国際家族計画連盟(IPPF)は、世界144か国で、特にサプライチェーンの末端にいる労働者のような社会的弱者の人権と健康を守るための活動を展開しています。例えば、IPPFモロッコ(AMPF)は、今年6月までの2年間、IPPF日本信託基金(JTF)の支援を受け、厳しい労働環境の下で漁業に従事する海の男たちとその家族の健康向上・家庭内暴力の削減を目指し、「海の男プロジェクト」を実施しました。 2022年9月、IPPFは、この活動現場に毎日新聞の小倉孝保論説委員をお招きし、毎日新聞10月20日朝刊に以下の記事が掲載されました。 「女性の権利と健康 モロッコの試みに注目」 本イベントでは、小倉論説委員から詳細なご報告をいただくとともに、サプライチェーンにおける人権尊重に取り組む関係者も招き、今後の具体的な行動・方策を共に考える機会としたいと思います。 ぜひご参加ください。   <スピーカーのご紹介> 左より:倉光秀彰 駐モロッコ特命全権大使、司会の迫田朋子(ジャーナリスト)、小倉孝保 毎日新聞論説委員、佐藤寛 ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員、谷口百合 IPPFチーフ戦略連携開発(東南アジア)    

要望書提出時の打合せの様子

IPPFはSDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスの一員として要望書を提出しました

2022年6月10日、衆議院第二議員会館にて、国際家族計画連盟(IPPF)が参加するSDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスは、国際人口問題議員懇談会の会長である上川陽子衆議院議員と事務総長の黄川田仁志衆議院議員に「人口分野への拠出増額に向けたご支援のお願い」と題した要望書を提出しました。 SDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスは、IPPF、国連人口基金(UNFPA)、公益財団法人ジョイセフ、公益財団法人アジア人口・開発協会(APDA)、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)で構成されています。 要望書では日本政府の拠出に加え、TICAD8、UHC、G7サミットを通じたSRHRと人口分野への支援の増強を求めています。また、人道危機におけるIPPFの役割とSRHの重要性についても言及しました。今回、IPPFに代わり、IPPFの東京連絡事務所である公益財団法人ジョイセフの石井澄江理事長が、UNFPAの佐藤摩利子駐日事務所長、APDAの池上清子常務理事と共に要望書を手交しました。

Alvaro Bermejo's speech

ベルメホ事務局長APDA/AFPPD40周年記念式典で日本に感謝のメッセージ

2022年2月15日、アジア人口・開発協会(APDA)・人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)の設立40周年記念式典で、アルバロ・ベルメホ IPPF 事務局長のビデオメッセージが紹介されました。 APDA/AFPPDと40年にわたる協力関係にあるIPPFを代表して、ベルメホ事務局長は日本の国会議員のリーダーシップの下、共に世界の人々の健康と生活の質向上に貢献できたことに感謝を述べました。APDA/AFPPD 両組織の創設者である佐藤隆 元農林水産大臣の功績に触れ、50年以上続く日本政府との協力関係の継続への期待を示しました。   その後、谷垣禎一 元法務大臣APDA 副理事長や中山讓治 経団連企業行動・SDGs 委員長の挨拶に続き、福田康夫 元内閣総理大臣APDA 理事長が発言し、ベルメホ事務局長のスピーチにも触れました。APDA・AFPPDの活動は、40 年前の岸信介・福田赳夫両元首相のリーダーシップを基盤とすることや、引き続き世界の持続可能な開発のために貢献していく決意を明らかにされた後、APDAの功労者を表彰されました。牧島かれんデジタル大臣も祝辞を述べられました。 本式典会議に際しては、林芳正外務大臣が人口分野の国際支援において、日本がIPPFを通じて支援を行ってきたことを強調しています。 IPPFはこれからも、APDAやAFPPDのメンバー議員の皆様とともに、アジアと世界のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と人間の安全保障の実現を目指して活動してまいります。 参考:JPFP Newsletter No. 115 February 2022

12 7月 2021

世界人口デー記念 IPPF-UNFPA活動報告会を開催

2021年7月6日、世界人口デー記念IPPF-UNFPA活動報告会が開かれました。 主催は国際人口問題議員懇談会(JPFP)、共催は国際家族計画連盟(IPPF)、国連人口基金(UNFPA)、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)、アジア人口・開発協会(APDA)、公益財団法人ジョイセフ(JOICFP)をメンバーとするSDGs-人間の安全保障・人口アライアンスでした。 黄川田仁志 JPFP事務総長の進行のもと、上川陽子JPFP会長が挨拶し、変わりゆく人口問題の諸課題に各機関が革新的な対策・解決法で取り組み、活動成果を出し、広く知らせることの必要性を指摘しました。 次にUNFPAのナタリア・カネム事務局長とIPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長から寄せられたビデオメッセージが上映されました。カネム氏は新型コロナウイルスのパンデミックによる困難な状況の中でも、UNFPAは2020年も活動を拡大できたことを、ベルメホはIPPFが一連の組織改革による新体制の下、タイムリーに対応し革新的なサービス提供方法を採用して新型コロナウイルスの影響を最小限に留めたことを話しました。 続いて、佐藤摩利子 UNFPA東京事務所長から最新の活動報告がありました。佐藤所長は、UNFPAの役割は主に各国の保健省と協働してセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)サービスを提供・促進していくことで、SDG3(保健)、4(教育)、5(ジェンダー平等)に貢献することを説明した後、年間業績を報告しました。 福田友子 IPPF東・東南アジア・大洋州地域事務局長は、IPPF加盟協会(NGO)の役割は、草の根で人々に対するSRHRサービスを提供して保健省や公立病院など公的サービスを補完するものだと説明しました。 2020年にはパンデミックの影響で、IPPF全体の提供サービス総数が13%減ったものの、感染予防のための個人防護具や避妊具などの消耗品を、家から出られない人々に戸別訪問で届けたこと、加盟協会の9割が電話やインターネットを通じた遠隔診療を導入したことを報告しました。また、長年の課題であったガバナンスについても根本的な改編ができ、迅速で柔軟に対応する組織体制になったために新型コロナパンデミックでも早急な対応ができたと説明しました。 その後、2020年度に日本政府の補正予算を得てIPPFがスタートしたアフガニスタンのプロジェクトについて、現地からの動画を含めて紹介しました。プロジェクトでは150人の助産師がデジタルヘルスを活用し、紛争地域10州で家から出られない女性たちに家庭訪問で産前ケアなどのSRHRサービスを提供します。助産師はこれまでに事前研修を受け、スマートフォンを支給されました。 質疑応答では、牧島かれん議員と川田龍平議員からアフガニスタンの活動について質問があり、IPPF、UNFPAともに現地での最新情報を提供すると回答しました。 その後、上川会長からの閉会の挨拶を最後に、同報告会は終了。世界人口デーを契機としてアライアンスで一致団結して、この問題に取り組んでいきましょう! と締めくくりました。 写真は、SDGs-人間の安全保障・人口アライアンスから上川JPFP会長にSRHRの必要性を訴えた陳情書を提出した様子です。

Dr. 北村邦夫(日本家族計画協会理事長)
27 5月 2020

日本におけるCOVID-19 の影響

日本家族計画協会(JFPA)理事長、Dr. 北村へのインタビューより COVID-19による日本への影響は?   新型コロナウイルス(COVID-19)による感染が拡大の一途を辿っています。政府は、4月7日(火)、7都府県に緊急事態宣言を発令しましたが、その成果が現れるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。     セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへの影響は?   厳しい状況が続く中、「全国どこでも、誰でも、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを受けられる社会を実現する」ことを運動目標として取り組んでいる日本家族計画協会(JFPA)として、今、何をすべきかを議論してきました。 役職員20名余の小規模な民間団体ではありますが、スタッフの地道な日頃の活動があってこそ、JFPAの運動が支えられてきました。いかなる事態になろうとも、その手を緩めるわけにはいきません。初めてのテレワークを進めつつ、最低限の業務機能を内部に残して可能な限り日常業務を止めないように努めています。   もっとも影響を受けた事業は? JFPAがSRHRを推進する際、「指導者養成」は重要な事業の一つであり、2019年度においては延べ70回のセミナーを通じて8000人を超える指導者養成が図られてきました。2020年度に計画している各種セミナーの開催については、感染リスクが高まる場所、いわゆる「3密」に該当する可能性を否定できないことから、一部、延期の決定を余儀なくされていますが、いつでも開催できる準備を整えるとともに、webセミナーの開催についても前向き、積極的に検討しています。   通常とは異なる革新的な方法で提供しているサービスはありますか?   診療と相談、広報啓発を主務とする家族計画研究センター/クリニックでは、従来と変わらない日常業務を継続していきます。  祝祭日を除く毎週月曜日から金曜日の10時から16時に開設している「思春期・FP(家族計画)ホットライン」「EC/OC(緊急避妊・経口避妊薬)ヘルプデスク」などの相談件数がこの時期に急増している印象はありません。  一方、東京都から委託されている「東京都不妊・不育ホットライン」については、不妊治療を進めている女性からの相談が増えています。4月1日、日本生殖医学会による「国内で の COVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる COVID-19 予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として 、不妊治療を延期する選択肢を患者さんに提示していただくよう推奨します」との声明を受けたことが理由だと思われます。   他に試している手段はありますか?   JFPAは2019年9月から緊急避妊の希望者に使い勝手の良い「検索サイト」を立ち上げました。その特徴とは、スマートフォンでQRコードを読み取り、位置情報を「可」とすることで、現在自分がスマートフォンを見ている住所に一番近い施設情報がトップに挙げられ、20施設ほどが表示されます。休診日の可能性がある場合はアラート表示となります。また「MAP」をクリックすることで地図確認ができます。   クリニックのサービスについて、もう少し詳しく教えてください。   JFPAクリニックは、COVID-19の可能性のある患者を診察する施設にはなっていませんが、低用量経口避妊薬(OC)や保険適用を有する低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)剤を服用している女性達が通常よりも多く受診しています。幸いにも、薬剤の提供などが滞る現状はありませんが、ロックダウン(都市封鎖)で受診できなくなったとき困るという率直な声が聞こえます。  国は、4月10日から初診時対面なしのオンライン診療を具体的に進める通知を出していますが、オンライン診療を実施するにも、医療従事者は施設内活動の手を緩めることはできません。    緊急避妊サービスを受けるには?    緊急避妊には、避妊しなかった、避妊に失敗した、レイプ被害に遭ったなどの性交後、72時間以内に黄体ホルモン製剤の一種であるレボノルゲストレル錠1.5mgを1回服用することで妊娠する可能性を90.8%減少させる、いわゆる緊急避妊薬と120時間以内であれば銅付加子宮内避妊具を挿入することで妊娠を回避できる2つの方法があります。 緊急避妊薬を入手したい場合には、施設に連絡をとって、①緊急避妊の受入れが可能か、②診療時間や予約が必要かなど受診のルール、③使用する緊急避妊薬について、④費用などを確認してください。(https://www.jfpa-clinic.org/s/)  SRHサービスとCOVID-19について、今、日本の皆さんとJFPAの職員に送るメッセージがあればお願いします。 厳しい状況が続く中でも、JFPAの「全国どこでも、誰でも、リプロダクティブ・ヘルスサービスを受けられる社会を実現する」という運動目標の達成に向けて努力を続けています。 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への脅威と糾弾が増えつつありますが、包括的性教育(CSE)を含むSRHRの実現のため、みなで力を合わせて闘い続けなければなりません。今ほどCSEが必要な時はないからです。

鶴岡公二駐英国特命全権大使とDr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長

在英日本大使館とIPPF、SRHRとUHCに関する最新の冊子を発表

2019年1月31日、在英日本大使館と国際家族計画連盟(IPPF)が共催したイベントにおいて、「誰一人取り残さない~ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」という冊子の発表がありました。このイベントはロンドンにある在英日本大使館で行われました。 イベントを通して、日本政府とIPPFの強固なパートナーシップへの理解を広めると同時に、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)へのアクセスが普遍的に保障されることこそが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と女性のエンパワーメント、そして人間の安全保障の実現に不可欠であることを訴えました。また、日本政府とIPPFがパートナーとなって50年目という大きな節目を祝いました。 英国の国会議員、多くの国々の政府代表、国際開発とグローバル・ヘルスなど各界から来賓が出席しました。 鶴岡公二駐英国特命全権大使とDr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長が基調講演を行い、その後レセプションが開かれました。 鶴岡大使は開会のあいさつの中で、特にUHCを通じてすべての人が必要な治療を受けられるようにすることの重要性について触れました。健康への各種課題に対処するため「現場重視」の活動を続けるIPPFを称賛し、世界各国で展開されるIPPFの活動に日本政府がこれからも支援を続けることを強調しました。 Dr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長の発言です。  「スティグマを受けることなく、効果的で、適正価格で提供されるSRHサービスへの普遍的なアクセスを増やしているIPPFは、UHCに私たちにしかできない貢献をしていると考えます」 また、Dr ベルメホはグローバルなUHCの展開について、日本政府が自らの経験に基づいてリーダーシップをとり、UHCが持続可能な開発目標(SDGs)に採用されるという成果を上げたことを讃えました。 今回のイベントを通して、UHCとグローバル・ヘルスを促進するにあたって、日本がとってきたリーダーシップのあり方について貴重な示唆を得ることができました。また、新しい機会を創り出すためのパートナー選びの重要性だけでなく、政府と国際機関等を動かしてSDGs達成に拍車をかける働きかけ方について考えることができました。 UHC達成に向け、2019年も動きを加速する大切な一年になります。6月に開催されるG20大阪サミットでは、自由でオープンな、また包括的で持続可能な「人間中心の未来社会」の実現と促進についての話し合いが期待されています。さらに8月には、横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が、2020年には成長のための栄養(N4G)サミットが東京で開催される予定です。     See more: IPPFの文書(英語) Leaving no one behind  鶴岡公二駐英国特命全権大使のスピーチ(英語) Dr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長のスピーチ  (英語)                 

サイドイベントの登壇者たち

WHO事務局長 ジェンダー平等と女性の健康の大切さを訴える~UHCフォーラムサイドイベント 100人超が来場~

国際家族計画連盟(IPPF)は、国連人口基金(UNFPA)と、IPPF東京連絡事務所であるジョイセフ(JOICFP)とともに、2017年12月15日、「UHCフォーラム2017」公式サイドイベント「UHCとユニバーサル・リプロダクティブ・ヘルス・カバレッジ~女性・若者が直面する課題に挑む~」を東京都内で開きました。 約40ある公式サイドイベントのなかでも、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ(SRHR)の視点はユニークで、WHO(世界保健機関)事務局長、国際保健を推進する日本の国会議員などがスピーカーとなり、約100人が参加する大規模なサイドイベントとなりました。 第1部では、大局的な観点から、UHC達成に必要なリーダーシップ、各国の実情に合わせた施策、そしてその時に女性の視点を取り込む大切さが述べられました。 基調講演をしたWHO事務局長テドロス・アダノム氏は、「誰一人取り残さない」ために、ジェンダー平等とSRHRは中心課題として取り組まないといけないことを強調しました。参議院議員の武見敬三氏は、日本のUHCの課題からみえる今後の問題点を説明し、高齢化社会のなか、非感染性疾患の増加、高齢女性の貧困、介護人材不足への対応の必要性を指摘しました。外務省国際協力局参事官の塚田玉樹氏は、世界の女性の地位向上とともに、SRHの大切さ、それに向けた日本の貢献を訴えました。 IPPF次期事務局長Dr アルバロ・ベルメホは、世界中の多くの人々、特に若者や貧困層は、SRHサービスを自己資金で利用することが多いため、自己負担を減らすよう、UHCを国の保健財政だけの問題とせず、「誰一人取り残さない」サービス供給の観点から考える必要があるとしました。 このほか、UNFPAテクニカル・スペシャリストのハワード・フリードマン氏、「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略(Every Woman Every Child)」国連事務局アカウンタビリティー確保のための独立パネル代表のエリザベス・メーソン氏も登壇し、若者に特化したサービスやデータ収集の大切さなどを述べました。   第2部では、コミュニティの視点にテーマを移し、各地で抱える問題や若者の立場を考慮しながら、住民主体のサービスによる、UHC達成を議論しました。匿名で質問を投稿できるウェブサイトも利用し、若者を含めて活発な意見交換が展開されました。 IPPF アフリカ地域事務局長ルシアン・クアク氏は、米国のメキシコシティ政策によって若者の避妊具へのアクセスの障害が出たことを問題視するとともに、人工妊娠中絶に対して厳しい国があること、政情不安によって学校に行けない若者もいるなどアフリカが抱える課題を挙げ、政治の力、計画、活動、人材、実績が求められることを訴えました。 スーダン家族計画協会(SFPA)会長バシル・エリマム氏は、スーダンでは国内避難民のSRHの問題が深刻で、さらに各地で治安不安、貧困、地方部でヘルスサービス利用しにくいなどの問題を指摘。UHC達成のためには、国内避難民を含めたSRHサービス拡大が大切であると強調しました。また保守的な考えがあるため、SFPAは保健省や教員に早い段階で説明して協働で取り組んでいるという活動の工夫も説明しました。 ファミリー・ヘルス・オプションズ・ケニア(FHOK)事務局長エドワード・マリエンガ氏は、FHOKは、米国などドナー協力を得て、若者へのサービス、妊産婦死亡率削減、施設での分娩や避妊実行率を上げる取り組みに成果を上げてきたものの、資金が減らされている現状を説明。若者のためには避妊具の提供や、妊娠・出産した学生が偏見を受けないよう啓発を含めたユースフレンドリーサービスが大切だと訴えました。 最後に日本の若者を代表し、Japan Youth Platform for Sustainability代表・唐木まりも氏は、日本で女性が考える「美」には、社会の美の意識の刷り込みがあることから、既存のジェンダー意識にとらわれない女性の健康と、避妊を含めて女性の主体的な選択、女性がNOと言いやすい環境を社会全体で作っていく必要性があることを訴えました。 ※こちらの記事は、ジョイセフのウェブサイトに掲載されたものを、許可を得て転載しています。  

日本で開催されたUHCフォーラムに出席するIPPF

IPPF次期 事務局長が日本のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスに対するコミットメントを歓迎:UHCフォーラム2017

昨年開かれたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フォーラム2017において、国際家族計画連盟(IPPF)の次期事務局長となるDr アルバロ・ベルメホは、日本政府がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへのコミットメントを改めて明言したことに対し、歓迎の意を表しました。 安倍晋三首相は、フォーラムで日本のUHCに対する援助を発表しました。4,000万件のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスの提供、50万件の意図しない妊娠の予防などが同援助による成果例として挙げられています。   セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへの支援は、保健、栄養、水と衛生を含めたUHC全体の促進として拠出される29億米ドルに含まれています。   東京で開かれたUHCフォーラムで、Dr ベルメホは次のように述べました。「東京宣言は、妊娠時期を遅らせたい、妊娠を避けたいと考えているのに、近代的な避妊法が入手できない女性たちにとってうれしいニュースです。そのような状況に置かれている女性は、現在、2億人以上いると言われています。今後、(今回の結果により)包括的なセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスがユニバーサル・ヘルス・カバレッジの中核としてますます認識されていくだろうと、前向きにとらえています」   Dr ベルメホ次期事務局長が出席したフォーラムには、安倍首相の他、世界銀行、国連、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関が参加し、日本政府のコミットメントを支持しました。   Dr ベルメホは次のようにコメントしました。「世界中に152の加盟協会を持つIPPFは、現地主導でグローバルにつながる、世界最大の市民社会組織ネットワークです。IPPFは現在、172カ国においてリプロダクティブ・ヘルス・サービスを提供しています。東京宣言は素晴らしいニュースですが、これを各国のレベルに浸透させるのが我々の課題です。スティグマのない、高品質で、手頃な価格で誰でも入手できるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへのユニバーサル・アクセスによって、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に一歩、近づけるでしょう」  

Alvaro Bermejo International Planned Parenthood Federation
27 4月 2023

日本とIPPF、広島G7サミットを前に、一層の連携をはかることで合意

2023年4月27日、アルバロ・ベルメホ国際家族計画連盟(IPPF)事務局長は、秋本真利外務大臣政務官と面談し、主に以下2点を確認しました。 1 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に必要不可欠な性と生殖の健康と権利に関するサービスを世界の草の根レベルで提供するIPPFの活動を評価し、重視する日本は、今後も引き続き同分野に積極的に取組んでいくこと。 2 日本からの長年にわたる協力に深く感謝し、UHC推進等の人口・グローバルヘルス分野における日本のリーダシップを高く評価するIPPFは、来月開催予定の広島G7サミットも視野に入れ、日本との連携をより緊密にしていくこと。 以上。  

Tomoko Fukuda ESEARD visit MP Yoko Kamikawa
31 1月 2023

福田友子ESEAOR事務局長が来日~日本とIPPFのさらなる連携強化を目指して~

2023年1月25-26日、国際家族計画連盟(IPPF)東・東南アジア・大洋州地域(ESEAOR)事務局長の福田友子が来日しました。 国際人口問題議員懇談会会長 上川陽子議員(中央)を訪問した福田友子ESEAO地域事務局長(右) 国際人口問題議員懇談会(JPFP)のメンバーである国会議員や外務省を訪問し、日本政府のIPPFへの長年にわたる厚いご支援への感謝をお伝えするとともに、主に2023年以降実施されるIPPF新戦略「Come Together: 戦略2028」の説明と、アフガニスタン等における活動の進捗状況に関する報告を行いました。 パンデミックや紛争、気候危機、自然災害など多くの課題が山積する中、人口80億の時代を迎えた世界において、今後もIPPFはその世界の草の根で張り巡らしたネットワークを活かし、世界のSDGsとUHCの達成や人間の安全保障の実現に向け、すべての人々にSRHサービスを届けることを通じて、日本政府と協働を続けていくことをお約束しました。

モロッコ「海の男の健康向上」プロジェクト

11/7 <TICAD8公式サイドイベントウェビナー> モロッコ「海の男の健康向上プロジェクト」

<TICAD8公式サイドイベントウェビナー> サプライチェーンにおける人権尊重に向けた労働環境改善のモデルケース モロッコ「海の男の健康向上プロジェクト」 女性の健康と権利 モロッコの試み 日時:   11月7日(月)日本時間17時~18時15分 開催方法:   Zoomによるオンラインイベント 対象:   ご興味のある方ならどなたでも 参加登録: 参加登録の受付は終了しました 参加費:     無料 共催:   国際家族計画連盟(IPPF)、公益財団法人ジョイセフ 司会:  迫田朋子(ジャーナリスト) スピーカー:  倉光秀彰 駐モロッコ特命全権大使         小倉孝保 毎日新聞論説委員         佐藤寛 ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員         谷口百合 IPPFチーフ戦略連携開発(東南アジア) サプライチェーンにおける人権尊重の促進が世界の潮流となっています。日本でも2022年9月に「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」が政府により策定されました。日系企業も活動を見直し、誰一人取り残さないより良い世界の構築に向けて役割を果たすことが期待されています。 モロッコは、アフリカ経済発展の優等生で、今後ますますの成長が期待され、投資先として熱い注目を浴びています。また豊かな漁場に恵まれ、タコ・イカ・マグロ等、日本人の食卓に欠かせない水産物の主要な輸出国でもあり、日本とは非常に緊密な関係にあります。しかし、サプライチェーンの末端にいるモロッコの海の男たちの顔は、日本では全く見えず、彼らの生活ぶりに気を留めることはほとんどありません。 国際家族計画連盟(IPPF)は、世界144か国で、特にサプライチェーンの末端にいる労働者のような社会的弱者の人権と健康を守るための活動を展開しています。例えば、IPPFモロッコ(AMPF)は、今年6月までの2年間、IPPF日本信託基金(JTF)の支援を受け、厳しい労働環境の下で漁業に従事する海の男たちとその家族の健康向上・家庭内暴力の削減を目指し、「海の男プロジェクト」を実施しました。 2022年9月、IPPFは、この活動現場に毎日新聞の小倉孝保論説委員をお招きし、毎日新聞10月20日朝刊に以下の記事が掲載されました。 「女性の権利と健康 モロッコの試みに注目」 本イベントでは、小倉論説委員から詳細なご報告をいただくとともに、サプライチェーンにおける人権尊重に取り組む関係者も招き、今後の具体的な行動・方策を共に考える機会としたいと思います。 ぜひご参加ください。   <スピーカーのご紹介> 左より:倉光秀彰 駐モロッコ特命全権大使、司会の迫田朋子(ジャーナリスト)、小倉孝保 毎日新聞論説委員、佐藤寛 ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員、谷口百合 IPPFチーフ戦略連携開発(東南アジア)    

要望書提出時の打合せの様子

IPPFはSDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスの一員として要望書を提出しました

2022年6月10日、衆議院第二議員会館にて、国際家族計画連盟(IPPF)が参加するSDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスは、国際人口問題議員懇談会の会長である上川陽子衆議院議員と事務総長の黄川田仁志衆議院議員に「人口分野への拠出増額に向けたご支援のお願い」と題した要望書を提出しました。 SDGs・人間の安全保障・人口問題アライアンスは、IPPF、国連人口基金(UNFPA)、公益財団法人ジョイセフ、公益財団法人アジア人口・開発協会(APDA)、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)で構成されています。 要望書では日本政府の拠出に加え、TICAD8、UHC、G7サミットを通じたSRHRと人口分野への支援の増強を求めています。また、人道危機におけるIPPFの役割とSRHの重要性についても言及しました。今回、IPPFに代わり、IPPFの東京連絡事務所である公益財団法人ジョイセフの石井澄江理事長が、UNFPAの佐藤摩利子駐日事務所長、APDAの池上清子常務理事と共に要望書を手交しました。

Alvaro Bermejo's speech

ベルメホ事務局長APDA/AFPPD40周年記念式典で日本に感謝のメッセージ

2022年2月15日、アジア人口・開発協会(APDA)・人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)の設立40周年記念式典で、アルバロ・ベルメホ IPPF 事務局長のビデオメッセージが紹介されました。 APDA/AFPPDと40年にわたる協力関係にあるIPPFを代表して、ベルメホ事務局長は日本の国会議員のリーダーシップの下、共に世界の人々の健康と生活の質向上に貢献できたことに感謝を述べました。APDA/AFPPD 両組織の創設者である佐藤隆 元農林水産大臣の功績に触れ、50年以上続く日本政府との協力関係の継続への期待を示しました。   その後、谷垣禎一 元法務大臣APDA 副理事長や中山讓治 経団連企業行動・SDGs 委員長の挨拶に続き、福田康夫 元内閣総理大臣APDA 理事長が発言し、ベルメホ事務局長のスピーチにも触れました。APDA・AFPPDの活動は、40 年前の岸信介・福田赳夫両元首相のリーダーシップを基盤とすることや、引き続き世界の持続可能な開発のために貢献していく決意を明らかにされた後、APDAの功労者を表彰されました。牧島かれんデジタル大臣も祝辞を述べられました。 本式典会議に際しては、林芳正外務大臣が人口分野の国際支援において、日本がIPPFを通じて支援を行ってきたことを強調しています。 IPPFはこれからも、APDAやAFPPDのメンバー議員の皆様とともに、アジアと世界のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と人間の安全保障の実現を目指して活動してまいります。 参考:JPFP Newsletter No. 115 February 2022

12 7月 2021

世界人口デー記念 IPPF-UNFPA活動報告会を開催

2021年7月6日、世界人口デー記念IPPF-UNFPA活動報告会が開かれました。 主催は国際人口問題議員懇談会(JPFP)、共催は国際家族計画連盟(IPPF)、国連人口基金(UNFPA)、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)、アジア人口・開発協会(APDA)、公益財団法人ジョイセフ(JOICFP)をメンバーとするSDGs-人間の安全保障・人口アライアンスでした。 黄川田仁志 JPFP事務総長の進行のもと、上川陽子JPFP会長が挨拶し、変わりゆく人口問題の諸課題に各機関が革新的な対策・解決法で取り組み、活動成果を出し、広く知らせることの必要性を指摘しました。 次にUNFPAのナタリア・カネム事務局長とIPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長から寄せられたビデオメッセージが上映されました。カネム氏は新型コロナウイルスのパンデミックによる困難な状況の中でも、UNFPAは2020年も活動を拡大できたことを、ベルメホはIPPFが一連の組織改革による新体制の下、タイムリーに対応し革新的なサービス提供方法を採用して新型コロナウイルスの影響を最小限に留めたことを話しました。 続いて、佐藤摩利子 UNFPA東京事務所長から最新の活動報告がありました。佐藤所長は、UNFPAの役割は主に各国の保健省と協働してセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)サービスを提供・促進していくことで、SDG3(保健)、4(教育)、5(ジェンダー平等)に貢献することを説明した後、年間業績を報告しました。 福田友子 IPPF東・東南アジア・大洋州地域事務局長は、IPPF加盟協会(NGO)の役割は、草の根で人々に対するSRHRサービスを提供して保健省や公立病院など公的サービスを補完するものだと説明しました。 2020年にはパンデミックの影響で、IPPF全体の提供サービス総数が13%減ったものの、感染予防のための個人防護具や避妊具などの消耗品を、家から出られない人々に戸別訪問で届けたこと、加盟協会の9割が電話やインターネットを通じた遠隔診療を導入したことを報告しました。また、長年の課題であったガバナンスについても根本的な改編ができ、迅速で柔軟に対応する組織体制になったために新型コロナパンデミックでも早急な対応ができたと説明しました。 その後、2020年度に日本政府の補正予算を得てIPPFがスタートしたアフガニスタンのプロジェクトについて、現地からの動画を含めて紹介しました。プロジェクトでは150人の助産師がデジタルヘルスを活用し、紛争地域10州で家から出られない女性たちに家庭訪問で産前ケアなどのSRHRサービスを提供します。助産師はこれまでに事前研修を受け、スマートフォンを支給されました。 質疑応答では、牧島かれん議員と川田龍平議員からアフガニスタンの活動について質問があり、IPPF、UNFPAともに現地での最新情報を提供すると回答しました。 その後、上川会長からの閉会の挨拶を最後に、同報告会は終了。世界人口デーを契機としてアライアンスで一致団結して、この問題に取り組んでいきましょう! と締めくくりました。 写真は、SDGs-人間の安全保障・人口アライアンスから上川JPFP会長にSRHRの必要性を訴えた陳情書を提出した様子です。

Dr. 北村邦夫(日本家族計画協会理事長)
27 5月 2020

日本におけるCOVID-19 の影響

日本家族計画協会(JFPA)理事長、Dr. 北村へのインタビューより COVID-19による日本への影響は?   新型コロナウイルス(COVID-19)による感染が拡大の一途を辿っています。政府は、4月7日(火)、7都府県に緊急事態宣言を発令しましたが、その成果が現れるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。     セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへの影響は?   厳しい状況が続く中、「全国どこでも、誰でも、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを受けられる社会を実現する」ことを運動目標として取り組んでいる日本家族計画協会(JFPA)として、今、何をすべきかを議論してきました。 役職員20名余の小規模な民間団体ではありますが、スタッフの地道な日頃の活動があってこそ、JFPAの運動が支えられてきました。いかなる事態になろうとも、その手を緩めるわけにはいきません。初めてのテレワークを進めつつ、最低限の業務機能を内部に残して可能な限り日常業務を止めないように努めています。   もっとも影響を受けた事業は? JFPAがSRHRを推進する際、「指導者養成」は重要な事業の一つであり、2019年度においては延べ70回のセミナーを通じて8000人を超える指導者養成が図られてきました。2020年度に計画している各種セミナーの開催については、感染リスクが高まる場所、いわゆる「3密」に該当する可能性を否定できないことから、一部、延期の決定を余儀なくされていますが、いつでも開催できる準備を整えるとともに、webセミナーの開催についても前向き、積極的に検討しています。   通常とは異なる革新的な方法で提供しているサービスはありますか?   診療と相談、広報啓発を主務とする家族計画研究センター/クリニックでは、従来と変わらない日常業務を継続していきます。  祝祭日を除く毎週月曜日から金曜日の10時から16時に開設している「思春期・FP(家族計画)ホットライン」「EC/OC(緊急避妊・経口避妊薬)ヘルプデスク」などの相談件数がこの時期に急増している印象はありません。  一方、東京都から委託されている「東京都不妊・不育ホットライン」については、不妊治療を進めている女性からの相談が増えています。4月1日、日本生殖医学会による「国内で の COVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる COVID-19 予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として 、不妊治療を延期する選択肢を患者さんに提示していただくよう推奨します」との声明を受けたことが理由だと思われます。   他に試している手段はありますか?   JFPAは2019年9月から緊急避妊の希望者に使い勝手の良い「検索サイト」を立ち上げました。その特徴とは、スマートフォンでQRコードを読み取り、位置情報を「可」とすることで、現在自分がスマートフォンを見ている住所に一番近い施設情報がトップに挙げられ、20施設ほどが表示されます。休診日の可能性がある場合はアラート表示となります。また「MAP」をクリックすることで地図確認ができます。   クリニックのサービスについて、もう少し詳しく教えてください。   JFPAクリニックは、COVID-19の可能性のある患者を診察する施設にはなっていませんが、低用量経口避妊薬(OC)や保険適用を有する低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)剤を服用している女性達が通常よりも多く受診しています。幸いにも、薬剤の提供などが滞る現状はありませんが、ロックダウン(都市封鎖)で受診できなくなったとき困るという率直な声が聞こえます。  国は、4月10日から初診時対面なしのオンライン診療を具体的に進める通知を出していますが、オンライン診療を実施するにも、医療従事者は施設内活動の手を緩めることはできません。    緊急避妊サービスを受けるには?    緊急避妊には、避妊しなかった、避妊に失敗した、レイプ被害に遭ったなどの性交後、72時間以内に黄体ホルモン製剤の一種であるレボノルゲストレル錠1.5mgを1回服用することで妊娠する可能性を90.8%減少させる、いわゆる緊急避妊薬と120時間以内であれば銅付加子宮内避妊具を挿入することで妊娠を回避できる2つの方法があります。 緊急避妊薬を入手したい場合には、施設に連絡をとって、①緊急避妊の受入れが可能か、②診療時間や予約が必要かなど受診のルール、③使用する緊急避妊薬について、④費用などを確認してください。(https://www.jfpa-clinic.org/s/)  SRHサービスとCOVID-19について、今、日本の皆さんとJFPAの職員に送るメッセージがあればお願いします。 厳しい状況が続く中でも、JFPAの「全国どこでも、誰でも、リプロダクティブ・ヘルスサービスを受けられる社会を実現する」という運動目標の達成に向けて努力を続けています。 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への脅威と糾弾が増えつつありますが、包括的性教育(CSE)を含むSRHRの実現のため、みなで力を合わせて闘い続けなければなりません。今ほどCSEが必要な時はないからです。

鶴岡公二駐英国特命全権大使とDr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長

在英日本大使館とIPPF、SRHRとUHCに関する最新の冊子を発表

2019年1月31日、在英日本大使館と国際家族計画連盟(IPPF)が共催したイベントにおいて、「誰一人取り残さない~ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」という冊子の発表がありました。このイベントはロンドンにある在英日本大使館で行われました。 イベントを通して、日本政府とIPPFの強固なパートナーシップへの理解を広めると同時に、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)へのアクセスが普遍的に保障されることこそが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と女性のエンパワーメント、そして人間の安全保障の実現に不可欠であることを訴えました。また、日本政府とIPPFがパートナーとなって50年目という大きな節目を祝いました。 英国の国会議員、多くの国々の政府代表、国際開発とグローバル・ヘルスなど各界から来賓が出席しました。 鶴岡公二駐英国特命全権大使とDr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長が基調講演を行い、その後レセプションが開かれました。 鶴岡大使は開会のあいさつの中で、特にUHCを通じてすべての人が必要な治療を受けられるようにすることの重要性について触れました。健康への各種課題に対処するため「現場重視」の活動を続けるIPPFを称賛し、世界各国で展開されるIPPFの活動に日本政府がこれからも支援を続けることを強調しました。 Dr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長の発言です。  「スティグマを受けることなく、効果的で、適正価格で提供されるSRHサービスへの普遍的なアクセスを増やしているIPPFは、UHCに私たちにしかできない貢献をしていると考えます」 また、Dr ベルメホはグローバルなUHCの展開について、日本政府が自らの経験に基づいてリーダーシップをとり、UHCが持続可能な開発目標(SDGs)に採用されるという成果を上げたことを讃えました。 今回のイベントを通して、UHCとグローバル・ヘルスを促進するにあたって、日本がとってきたリーダーシップのあり方について貴重な示唆を得ることができました。また、新しい機会を創り出すためのパートナー選びの重要性だけでなく、政府と国際機関等を動かしてSDGs達成に拍車をかける働きかけ方について考えることができました。 UHC達成に向け、2019年も動きを加速する大切な一年になります。6月に開催されるG20大阪サミットでは、自由でオープンな、また包括的で持続可能な「人間中心の未来社会」の実現と促進についての話し合いが期待されています。さらに8月には、横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が、2020年には成長のための栄養(N4G)サミットが東京で開催される予定です。     See more: IPPFの文書(英語) Leaving no one behind  鶴岡公二駐英国特命全権大使のスピーチ(英語) Dr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長のスピーチ  (英語)                 

サイドイベントの登壇者たち

WHO事務局長 ジェンダー平等と女性の健康の大切さを訴える~UHCフォーラムサイドイベント 100人超が来場~

国際家族計画連盟(IPPF)は、国連人口基金(UNFPA)と、IPPF東京連絡事務所であるジョイセフ(JOICFP)とともに、2017年12月15日、「UHCフォーラム2017」公式サイドイベント「UHCとユニバーサル・リプロダクティブ・ヘルス・カバレッジ~女性・若者が直面する課題に挑む~」を東京都内で開きました。 約40ある公式サイドイベントのなかでも、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ(SRHR)の視点はユニークで、WHO(世界保健機関)事務局長、国際保健を推進する日本の国会議員などがスピーカーとなり、約100人が参加する大規模なサイドイベントとなりました。 第1部では、大局的な観点から、UHC達成に必要なリーダーシップ、各国の実情に合わせた施策、そしてその時に女性の視点を取り込む大切さが述べられました。 基調講演をしたWHO事務局長テドロス・アダノム氏は、「誰一人取り残さない」ために、ジェンダー平等とSRHRは中心課題として取り組まないといけないことを強調しました。参議院議員の武見敬三氏は、日本のUHCの課題からみえる今後の問題点を説明し、高齢化社会のなか、非感染性疾患の増加、高齢女性の貧困、介護人材不足への対応の必要性を指摘しました。外務省国際協力局参事官の塚田玉樹氏は、世界の女性の地位向上とともに、SRHの大切さ、それに向けた日本の貢献を訴えました。 IPPF次期事務局長Dr アルバロ・ベルメホは、世界中の多くの人々、特に若者や貧困層は、SRHサービスを自己資金で利用することが多いため、自己負担を減らすよう、UHCを国の保健財政だけの問題とせず、「誰一人取り残さない」サービス供給の観点から考える必要があるとしました。 このほか、UNFPAテクニカル・スペシャリストのハワード・フリードマン氏、「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略(Every Woman Every Child)」国連事務局アカウンタビリティー確保のための独立パネル代表のエリザベス・メーソン氏も登壇し、若者に特化したサービスやデータ収集の大切さなどを述べました。   第2部では、コミュニティの視点にテーマを移し、各地で抱える問題や若者の立場を考慮しながら、住民主体のサービスによる、UHC達成を議論しました。匿名で質問を投稿できるウェブサイトも利用し、若者を含めて活発な意見交換が展開されました。 IPPF アフリカ地域事務局長ルシアン・クアク氏は、米国のメキシコシティ政策によって若者の避妊具へのアクセスの障害が出たことを問題視するとともに、人工妊娠中絶に対して厳しい国があること、政情不安によって学校に行けない若者もいるなどアフリカが抱える課題を挙げ、政治の力、計画、活動、人材、実績が求められることを訴えました。 スーダン家族計画協会(SFPA)会長バシル・エリマム氏は、スーダンでは国内避難民のSRHの問題が深刻で、さらに各地で治安不安、貧困、地方部でヘルスサービス利用しにくいなどの問題を指摘。UHC達成のためには、国内避難民を含めたSRHサービス拡大が大切であると強調しました。また保守的な考えがあるため、SFPAは保健省や教員に早い段階で説明して協働で取り組んでいるという活動の工夫も説明しました。 ファミリー・ヘルス・オプションズ・ケニア(FHOK)事務局長エドワード・マリエンガ氏は、FHOKは、米国などドナー協力を得て、若者へのサービス、妊産婦死亡率削減、施設での分娩や避妊実行率を上げる取り組みに成果を上げてきたものの、資金が減らされている現状を説明。若者のためには避妊具の提供や、妊娠・出産した学生が偏見を受けないよう啓発を含めたユースフレンドリーサービスが大切だと訴えました。 最後に日本の若者を代表し、Japan Youth Platform for Sustainability代表・唐木まりも氏は、日本で女性が考える「美」には、社会の美の意識の刷り込みがあることから、既存のジェンダー意識にとらわれない女性の健康と、避妊を含めて女性の主体的な選択、女性がNOと言いやすい環境を社会全体で作っていく必要性があることを訴えました。 ※こちらの記事は、ジョイセフのウェブサイトに掲載されたものを、許可を得て転載しています。  

日本で開催されたUHCフォーラムに出席するIPPF

IPPF次期 事務局長が日本のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスに対するコミットメントを歓迎:UHCフォーラム2017

昨年開かれたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フォーラム2017において、国際家族計画連盟(IPPF)の次期事務局長となるDr アルバロ・ベルメホは、日本政府がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへのコミットメントを改めて明言したことに対し、歓迎の意を表しました。 安倍晋三首相は、フォーラムで日本のUHCに対する援助を発表しました。4,000万件のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスの提供、50万件の意図しない妊娠の予防などが同援助による成果例として挙げられています。   セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへの支援は、保健、栄養、水と衛生を含めたUHC全体の促進として拠出される29億米ドルに含まれています。   東京で開かれたUHCフォーラムで、Dr ベルメホは次のように述べました。「東京宣言は、妊娠時期を遅らせたい、妊娠を避けたいと考えているのに、近代的な避妊法が入手できない女性たちにとってうれしいニュースです。そのような状況に置かれている女性は、現在、2億人以上いると言われています。今後、(今回の結果により)包括的なセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスがユニバーサル・ヘルス・カバレッジの中核としてますます認識されていくだろうと、前向きにとらえています」   Dr ベルメホ次期事務局長が出席したフォーラムには、安倍首相の他、世界銀行、国連、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関が参加し、日本政府のコミットメントを支持しました。   Dr ベルメホは次のようにコメントしました。「世界中に152の加盟協会を持つIPPFは、現地主導でグローバルにつながる、世界最大の市民社会組織ネットワークです。IPPFは現在、172カ国においてリプロダクティブ・ヘルス・サービスを提供しています。東京宣言は素晴らしいニュースですが、これを各国のレベルに浸透させるのが我々の課題です。スティグマのない、高品質で、手頃な価格で誰でも入手できるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへのユニバーサル・アクセスによって、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に一歩、近づけるでしょう」