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IPPF Statement on the UK Government cuts to our flagship WISH programme

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英国政府によるIPPF 旗艦プログラムWISHの援助金削減に関するIPPFの声明

IPPFが2021年に警告したように、このような大規模な削減は、何千もの女性と女児が、安全でない中絶あるいは出産で、不当に命を落とすことを意味します。

IPPFが2021年に警告したように、このような大規模な削減は、何千もの女性と女児が、安全でない中絶あるいは出産で、不当に命を落とすことを意味します。

 

When

2023年8月2日

Region

アフリカ、南アジア

 

英国の大幅な援助削減は、世界で最も貧しくかつ周縁化された女性や女児に、大きな打撃となります。

英国国際開発委員会の評価「EIA」では、重要なSRHサービスへの割り当て資金を含む、英国の今年の海外開発援助(ODA)予算が9億ポンド(日本円で約1676億円)以上削減する影響について言及しています。

IPPFでは特に「女性の統合的セクシュアル・ヘルスプログラム(Women’s Integrated Sexual Health Programme:WISH)」の援助削減に直面しています。WISHは、世界で最も貧しく、周縁化された地域に住む女性と女児に、命を救うSRHサービスや避妊具(薬)を提供するIPPFの旗艦プログラムです。

2018年開始当初、同プログラムはアフリカと南アジアの15ヵ国でサービスが提供されましたが、その後予算削減のため2021年8月には、バングラデシュ、ジンバブエ、ザンビアでサービスを終了。2021年9月にモザンビーク、同年12月にはアフガニスタンでもサービスが終了しました。2022年にはパキスタンでもプロジェクトが終了し、現在はサハラ以南のサブサハラ・アフリカ9ヵ国(ブルンジ、エチオピア、マダガスカル、マラウイ、ソマリア、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダ)での小規模の実施にとどまっています。

2022年から2023年にかけての予算が50%以上削減されたことにより、各国内のプログラムも規模がさらに縮小。その結果、現地保健施設による支援が縮小し、コミュニティへの出張診療も削減、コミュニティとの関わりも少なくなり、最も周縁化されたグループに提供されるSRHサービスが減少しました。

最新のEIAによると、WISHプログラムの削減により、「未然に防げた安全でない中絶の件数が約30万から約11万5,000件、未然に防げた妊産婦死亡数は、2,531人から1,000人強に落ち込む」と予測され、SRHによって保護できる女性の数が激減すると見込まれています。

 

ミナ・バーリングIPPF渉外部部長のコメント

「2021年に私たちが警告し、政府のEIAでも示された通り、アフリカ及びアジアにおけるIPPF旗艦プログラムの大規模な削減は、何千人もの女性や女児が命を落とすことを意味します。その多くは、尊厳もなく安全ではない中絶や出産によってです。さらに追い討ちをかけるように、最も周縁化された人々が、攻撃的な反対勢力にさらされてしまっているのです。

英国の援助削減は、単一的に起こったことではありません。米トランプ政権の時代に始まった国境を越えた極右体制の台頭が拍車をかけたのです。この異常ともいえる状況の中で、市民社会が去った地域では、独裁に加担する人々が民主的な空間を次々に縮小し、新たな機会を利用してさらに反権利的なアジェンダを根づかせようとする場となってしまいました。

極右勢力の台頭が英国政府の重要なパートナー国(ウガンダやケニアのような)で起きたのは、偶然ではありませんこれらの国では反LGBTIQ+法が、暴力の増加を引き起こし、当事者の投獄や死刑にさえもつながりかねない事態を私たちは目の当たりにしています。もし未対応のまま放置されれば、暴力的な政策や法律の連鎖が引き起こされ、似たようなシナリオがどこでも起こりうる状況となっています。

私たちはいま転換点を迎えています。点と点を結びつけ、行動を起こすときです。IPPFは、英国政府に対し、援助予算をパンデミック以前の水準である国民総所得の0.7%まで戻すことを強く要求します。IPPFとそのパートナーが最も必要とされる場所で、重要なケアを提供しつづけるため、英国のリーダーシップ、支援、投資が今すぐ必要です。何百万人もの命がリスクにさらされています。

 

ファクト・ボックス

WISHプログラムは、発足した2018年から2022年12月まで、以下の問題予防・回避に貢献しました。

  • 1,220万件の意図しない妊娠  
  • 410万件の危険な中絶
  • 20,500人の妊産婦死亡
  • 現在、2億1800万人の女性が避妊を望んでいるが、アクセスできずにいる
  • 年間3,500万人の女性が、安全でない中絶に頼らざるをえない 
  • 2,000万人の思春期の若者の避妊ニーズが満たされていない。世界的に15~19歳の少女の主な死因は、妊娠及び出産の合併症である  
  • 妊娠と結婚は、思春期の少女が学校を中退する主な理由であり、アフリカは世界で最も思春期の妊娠率が高い
  • パンデミックの結果、1,200万人の女性と女児が避妊へのアクセスを失い、140万件の意図しない妊娠につながっている。SRHRケアへのアクセス中断は再びこのようなケースを招くことになる。

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