大々的な予算削減で苦しむのは脆弱な女性と少女たち:IPPFの訴え

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A photo from Pakistan of a woman receiving healthcare

国際家族計画連盟(IPPF)は今般、英国政府が海外援助の予算を大幅に削減したことを知りました。これには命に関わるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスも含まれ、世界中で厳しい貧困と周縁化に苦しむ女性と少女たちへの痛ましい打撃となるでしょう。

IPPFへの拠出が7,200万ポンド(約1億ドル=約100億円)と大幅に削減されるため、英国の旗艦プロジェクトであるWISH(Women's Integrated Sexual Health、女性の統合的な性の健康)プログラムは終了し、4カ国で実施しているサービスが停止されます。WISHは命を守るための避妊法とSRHサービスを、世界でもっとも貧困で周縁化されているコミュニティに住む女性と少女たちに届けていました。

UK Aid Connect(訳注:英国政府からNGOへのコア拠出を担う競争的資金スキーム)への削減によって、今後90日間にIPPFのACCESSプログラムが閉鎖されます。ACCESSは、周縁化されているコミュニティに特有なSRHニーズを詳細に調査します。レバノン、モザンビーク、ネパール、ウガンダの人道支援の現場のように複雑で課題の多い環境で実施するプロジェクトで、6カ月前に開始したばかりでした。ACCESSとWISHを並行して実施することで、誰一人取り残さないことを目指していました。

追加の資金援助が見つからない限り、IPPFはアフガニスタン、バングラデシュ、ザンビア、モザンビーク、ジンバブエ、コートジボワール、カメルーン、ネパール、レバノンだけでなく、その他にも9カ国での活動を停止することになり、世界中で4,500のサービス提供地点が閉鎖されます。英国外務国際開発省(FCDO、訳注:国際開発省と外務省が統合し、2020年に発足しました)の支援する国々でSRHサービスを提供してきた480名のIPPFスタッフも、仕事を失うことになります。

国連人口基金(UNFPA)への拠出も衝撃的な85%の削減となったことで、世界中で供給される避妊用の消耗品と物資の価格上昇が見込まれます。IPPF加盟協会でも物資を適正な価格で調達し、持続的な運営を続けることが難しくなるでしょう。

ジェンダー不平等、ジェンダーに基づく暴力が著しく増え、医療の対応も限界に近づいている世界的なパンデミックの最中に決まった、破滅的な援助額の削減です。

避妊法とセクシュアル・ヘルス・クリニックが利用できない現状では、世界で最貧困のコミュニティに住む何百万人の女性と少女たちは、意図しない妊娠を継続するか、安全でない中絶を受けるかを選択するしかありません。そうなれば、女性と少女たちの命と健康が危険にさらされます。

SRHケアへのコミットメントを放棄したことは、予防できる死をなくし、ジェンダー平等を前進させ、2025年までに低中所得国に住む4,000万人の少女を学校に通えるようにする、といった英国政府の優先事項と矛盾します。英国がG7サミットのホスト国である年に、英国政府は女性と少女へのコミットメントを投げ出すことを選択したのです。

IPPFはこの情報を受け、強い懸念を表明します。もっとも脆弱な女性と少女の被害が甚大であると確信していますが、今後、拠出削減が連盟にどのような影響を及ぼすか、詳細に確認していくつもりです。

IPPF事務局長のDr アルバロ・ベルメホは次のように述べました。

「拠出の削減によって消える命があります。世界でもっとも貧困で脆弱な女性と少女たちのための1億ドル(100億円)近い援助を停止することで、英国政府はまた、一番必要とされている時に手を引いてしまいました。

 

「女性と少女たちは、すでに世界的なパンデミックで不均衡なほどの打撃を受けています。WISHによる命を守るSRHケアを一方的に停止することで、何百万という意図しない妊娠と安全でない中絶が増え、多くの少女が16歳になる前に学校を辞め、何千件もの予防できる妊産婦死亡を引き起こすことになります。これは、世界中の女性と少女への裏切り行為です。

 

「複雑な人道的支援を必要とするレバノン、モザンビーク、ネパール、ウガンダなどで実施していたIPPFのACCESSプログラムを開始から6カ月で強制終了することには、怒りを隠せません。資金と時間を投入し、プログラムを共同支援してきたコンソーシアムのパートナーにとっても厳しい打撃になるでしょう。

 

「英国政府はトランプ大統領時代を彷彿とさせる方策で、マニフェストのコミットメントを破棄しました。そのために何年分もの進歩と投資の成果が失われるでしょう。バイデン政権など各国政府には前向きなメッセージを送る裏で、必須の保健医療サービスの予算を削減する方策など、うまくいくはずがありません。

 

「今こそIPPFには力強いリーダーシップ、支援、投資が必要で、それによって必須の保健医療サービスを必要な場所で、必要な人々に提供できるでしょう。G7と国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)のリーダーとして、英国政府にはこの決断を迅速に見直し、改めて人のために動いてください。人々の命がかかっているのですから」