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避妊

私たちの主な優先課題のひとつとして、すべての人が効果的な避妊具(薬)へアクセスできるようにすること、またその使用の推進があげられます。何百万人もの人々が、いつ子どもを持つか、また子どもを持つべきかどうかを決定するための知識や情報を持っておらず、また性感染症(STIs)から身を守ることもできません。

Articles by 避妊

Why we will not sign the Global Gag Rule

緊急声明:IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由

2017年1月23日、トランプ米大統領は、「グローバル・ギャグ・ルール(口封じの世界ルール)」として知られる「メキシコシティ政策」を再導入する大統領令に署名した。 国際家族計画連盟(IPPF)は、誰もが自分の健康と安寧(ウェルビーイング)について自分で決める権利があると信じる。世界の女性、男性、子どもたちを守るために活動する組織として、IPPFとその世界170カ国に広がるパートナーたちは、人権を侵害し、女性の命を危険に追いやる政策には署名しない。 「グローバル・ギャグ・ルール」は、IPPFのように、米国政府以外からの資金援助で行っていても、またその国で人工妊娠中絶が合法であっても、中絶関連サービス、カウンセリング、リファラルを行う組織に対する米国政府からの資金援助を否定するものである。 いかなる組織でも、この政策に署名しないと、その家族計画、妊産婦の健康、HIVとエイズの予防と治療保健医療サービスを実施するために欠かせない資金へのアクセスが閉ざされる。 過去に先代の共和党大統領たちによって「グローバル・ギャグ・ルール」が導入されたとき、実際に起きたのは、中絶件数の減少ではなく、むしろ家族計画へのアクセスの激減による意図しない妊娠と安全でない中絶の件数増大であった。 IPPFは、世界最大の家族計画を提供するNGOである。米国政府と何十年にもわたって協力してきた。IPPFの世界に広がる現地パートナーのネットワークは、毎分300件以上のサービスを提供している。これには、毎年7千万件の家族計画の提供も含まれる。 「グローバル・ギャグ・ルール」の再導入は、さらなる意図しない妊娠、予防できる傷病とそれを原因とする死を多数、招くことになるだろう。 一方、IPPFにとっては、人道危機下や不健康であえぐ女性たちを含む世界の何百万人もの女性と若者たちに、かけがえのない、またその効果が証明されている包括的セクシュアル・リプロダクティブヘルスサービスを提供するのに必要となる資金、1億米ドルを失うことを意味する。 長年にわたり、USAID(米国国際開発庁)は年間6億米ドル以上の予算を有する巨大な家族計画の支援者であった。この政策の再導入によって、世界でこれまでに何年もかけて実現してきた必須サービスへのアクセス拡大の成果が失われることとなるだろう。 私たちは、世界の最も貧しい女性たちの命を救うサービスを否定できないし、否定することもない。世界の政府やドナー(経済的支援者)たちと協力して、「世界口封じルール」が生み出すサービスと資金の穴を埋めつないでいく。そして、女性たちが自分の権利を行使して、家族計画と安全な中絶にアクセスできるように活動を続けていく。 国際家族計画連盟(IPPF) Support women's reproductive rights

blank light blue

深刻化するウクライナ情勢に関するIPPF声明

ウクライナから伝わってくる不穏な情報を受け、国際家族計画連盟(IPPF)は連盟とウクライナの加盟協会を代表して、以下のメディア向け声明を公表します。 紛争と人道危機下においてはセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケアの必要性が急激に高まるのに、被災者・避難民となった人々の深刻な脆弱性は見過ごされがちです。特に女性、少女、周縁化された人々の意図しない妊娠、性感染症、性とジェンダーに基づく暴力のリスクが高まります。 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長は次のように述べました。   「IPPFはロシアのウクライナにおける紛争の深刻化を深く憂慮します。IPPFは強い責任のもと、特に人道危機下では脆弱性が見過ごされがちな女性、少女と周縁化された人々の命を守るSRHケアを国内全域にわたって提供できるよう尽力しています」   「過去20年間、IPPFはウクライナの人々のリプロダクティブ・ライツを強化し、守るべく一貫して努力してきました。東部のルガンスク州、ドネツク州といった衝突の最前線では2014年から活動を続け、命を守るためのリプロダクティブ・ヘルスケア、心理社会的な支援、性とジェンダーに基づく暴力を受けた人々への質の高いケアを提供するため、地域の医療専門家に研修をしてきました」 「IPPFの活動チームはウクライナに残留する人々だけでなく、避難民となり、医療ケアを受け続けるために支援を必要とする人々のニーズにどう対応するか、地域全体として緊急対応策を検討しています。パートナー組織、他のNGOと緊密に連携し、医療ケアの中断ができるだけ小さくなるように尽力します」 「IPPFは国際社会と、また過去8年間、人として受ける必要のない苦しみと恐怖と困難に立ち向かってきたウクライナの勇気ある人々と連帯します。前線で活動するIPPFチームとも連帯します。彼らは危険を顧みず、もっとも必要とする人々の命を守る医療ケアを提供し続けています。IPPFは状況を細かく見きわめ、地域にいる仲間たちの安全確保に努めます」 この声明に関するお問合せはこちらまで 欧州(英語): [email protected] 英国その他(英語):カルメン・アイヴィ [email protected] もしくは [email protected]  日本語:[email protected]

Youth volunteer

“It’s so much more than sex and condoms” 1

‘Are you interested in advocacy and reproductive health rights?’ These were the words which caught Mario’s attention and prompted him to sign up to be part of the Jamaica Family Planning Association (FAMPLAN) Youth Advocacy Movement (YAM) five years ago. At the time, Mario was 22 and looking for opportunities to gain experience after graduating from college.  From graduate to advocate   “I was on Facebook looking at different things young people can do, and it popped up. I had just left college with an Associate Degree in Hospitality and Tourism Management. I was unemployed and I just wanted to be active, give myself the opportunity to learn and find something I can give my time to and gain from it,” Mario says.  Interested in volunteering and advocacy Mario joined the YAM to get a new experience and broaden his knowledge base. He says he has gained a second family and a safe space; he can call home.  “It’s so much more than sex and condoms. It’s really human rights and integrated in everything we do. Reproductive health affects the population, it affects your income, your family planning, how people have access to rights. It’s cuts across men, women, LGBT people and encompasses everything. My love for working with YAM and being an advocate for sexual and reproductive health rights deepened and I could expand further in my outreach.”  His work with YAM has equipped Mario with skills and given him opportunities he would otherwise not have.  “I have done public speaking which has opened lots of doors for me. I have travelled and met with other Caribbean people about issues [around sexual and reproductive health]. There’s an appreciation for diversity as you deal with lots of people when you go out into communities, so you learn to break down walls and you learn how to communicate with different people.”   Challenging the reluctance to talk about sex   The greatest challenges he faces are people’s reluctance to talk about sex, accessing healthcare, and misinformation.  “Once they hear sex it’s kind of a behind the door situation with everybody, but they are interested in getting condoms. When it comes to that it is breaking taboo in people’s minds and it might not be something people readily accept at the time. LGBT rights, access to condoms and access to reproductive health for young people at a certain age — many people don’t appreciate those things in Jamaica.”  Mario talks about giving youth individual rights to access healthcare. “So, can they go to a doctor, nurse without worrying if they are old enough or if the doctor or nurse will talk back to the parents? Access is about giving them the knowledge and empowering them to go for what they need.”  “The stigma is the misinformation. If you’re going to the clinic people automatically assume, you’re doing an HIV/AIDS test or getting an abortion. [So] after the community empowerment, because of the stigma maybe 15 per cent will respond and come to the clinic. The biggest issue is misinformation,” Mario says, adding that diversification of the content and how messages are shaped could possibly help.  To address these issues, he wants to see more young people involved in advocacy and helping to push FAMPLAN’s messages in a diversified way.  “It is a satisfying thing to do both for your own self development and community development. You’re building a network. If you put yourself out there you don’t know what can happen.”  

注射式避妊薬(モザンビークにて)

ECHO試験の結果が示すHIV予防の緊急性

国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるDr アルバロ・ベルメホは2019年6月13日、ECHO試験(Evidence for Contraceptive Options and HIV Outcomes trial、避妊法の選択肢とHIV感染の結果のエビデンスを得るための試験)の報告書が発表されたことを受け、コメントしました。報告書を歓迎する一方で、ベルメホ事務局長は、HIV感染の予防手段を増やし、早急に対応すべきであり、女性と少女たちに現実的な避妊法の選択肢が提供されなければならない、と発言しました。 試験では黄体ホルモンのみを使用したメドロキシプロゲステロン酢酸筋注デポ剤(DMPA-IM)、皮下埋め込み式の避妊インプラント(Jadelle)、銅付加子宮内避妊具(IUD)という、避妊効果が高く可逆性のある3つの避妊法を比較し、3つの避妊法によってハイリスクの女性と少女のHIV感染リスクが上昇するかどうかを調べました。 ECHO試験は南アフリカ共和国、エスワティニ(旧スワジランド)、ザンビア、ケニアの4カ国12地点で実施されました。18カ月に及んだ試験期間で協力した女性は7,800人でした。 ECHO試験では、比較した避妊法に著しくHIV感染リスクが異なるという統計結果は出ませんでした。しかし、397人の参加者が期間中、HIVに新規感染しました。 Dr ベルメホのコメントです。  「ECHO試験は非常に重要な試験で、その結果が公表されたことをうれしく思います。結果をさらに分析していく必要はありますが、これだけはすぐにわかります。すでに個別の感染予防活動が行われているとはいえ、試験に参加したハイリスクとされる女性たちのHIVと性感染(STIs)の感染リスクについて、早急な対応が必要です。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRHケア)とHIV感染予防を総合的に提供するような形にしなければなりません」   「HIV感染率が上昇した原因は、言われていたように DMPAではないことが結果から明らかです。それよりもはっきりしたのは、多くの女性にとって、そして多くの国々で、避妊法の選択肢は非常に限られており、それによって問題が起きている現実です」   「妊娠したくないと望み、HIV感染予防を必要とする女性と少女たちに避妊法の選択肢が幅広く提供され、最高のカウンセリングとともに提供されなければなりません。そのための投資と関係機関の連携を充実させ、SRHケアの優先度を高めていくことが必要です」 

家族計画が気候変動に与える影響とは
29 4月 2019

気候変動とセクシュアル・ヘルスは無関係だと思いますか?

気候変動による地球規模の危機への対策を考える際、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(SRH)を思い浮かべる人はそれほどいないかもしれませんが、実際、SRHが環境保護戦略に重要な役割を果たすことがあり得るのです。 気候変動の大部分は、世界の一部(米国、欧州など二酸化炭素を多く排出する国々)による過剰な 消費と生産活動によるものですが、その影響は他の国にも及びます。そしてもっとも影響を受けるのは、女性や少女、貧困層などのすでに社会から周縁化された人々であることが少なくありません。 持続可能な開発を続けるためには、このような脆弱なコミュニティを支援し、環境危機がもたらす気候変動による変化に適応できるようにしなければなりません。 女性と少女のエンパワーメント  世界中の女性と少女の2億1,400万人が、必要とする避妊法を入手することができず、そして年間9,910万件の意図しない妊娠が起こっています。この2つの数字には紛れもなく相関関係があります。また、近代的避妊法のアンメットニーズ(必要とされているのに満たされないニーズ)が高い国ほど、気候変動の被害を受けやすいことがわかっています。 女性と少女たちが状況によって子どもを産むのではなく、自分でいつ、何人子どもを産むのかを選べるかどうかは個人の自律と尊厳にかかわる問題であり、選択ができるコミュニティではそうでないコミュニティよりも女性と少女の健康状態がよく、コミュニティへの参加率が高くなります。 教育によるエンパワーメントは少女たちにとっては大切です。教育を受けた少女は、若年出産をする少女よりも年上になってから、少ない数の(より健康な)子どもを産み育てる可能性が高くなります。教育を受け人生経験を積んだ女性の方が、サイクロン、洪水、干ばつなどの自然災害が起きた時にうまく対応できます。 女性と少女のセクシュアル/リプロダクティブ・ライツを実現することで自然環境の変化に対応できる力(レジリエンス )を育てること。これこそが気候変動によって翻弄される各国が被害を軽減するためにとるべき対策なのです。   何をすればよいか 200カ国近くが署名する国連主導のグローバルな気候変動抑制の枠組みであるパリ協定(訳注:2015年に採択)には、「健康の権利」へのコミットメントが明記されており、避妊法へのアクセスはそれに含まれる重要な課題です。さらに、協定ではジェンダー平等と女性のエンパワーメントを強調しています。  国際家族計画連盟(IPPF)は11の団体と協力し、パリ協定署名国に対し、女性と少女のエンパワーメントの重要性を再確認し、SRHサービスへのアクセスを保障することを、それぞれの国の気候変動対策戦略として検討するよう呼びかけています。  地球温暖化の流れを変えるの は、今からでも遅くはありません。しかし、今すぐに決断し行動しなければ、最大の効果は得られません。世界でも脆弱なコミュニティにおいては特にそうです。セクシュアル/リプロダクティブ・ライツの実現が、気候変動危機の解決に大きな役割を果たすことは間違いありません。全世界が一つのコミュニティとしてこの課題に取り組まなければならないのです。

衣料品工場「デワースト」の建物の外にいるバン・サーヴェンさん(23)
08 November 2017

性教育をポップ音楽にのせて~ カンボジアの衣料品工場で働く女性たちをサポートする~

カンボジアの衣料品工場で働いている人は70万人余りですが、その多くは地方から出稼ぎに来た、学歴の低い女性たちです。IPPFカンボジア(RHAC)のスレン医師によると、女性労働者の多くは自分の命にかかわるような保健の知識がなく、医療機関への不信が強く、医療ケアをどこで受けてよいかも知りません。 RHACが衣料品工場への保健アウトリーチプログラムを始めたのは1998年でした。現在、合計で13万429人の労働者が働く、82カ所の工場でプログラムを実施しています。参加者のうち、2万8,000人はRHACのスタッフがリードするグループディスカッションに参加したことがあります。冒頭の場面にあるようなヘルスデーイベントに参加したことがある労働者は、6万7,000人以上になります。

A young female client helped by a project via IPPF

グローバル・ギャグ・ルールの適用拡大が及ぼす世代を超えた悪影響

米国による グローバル・ギャグ・ルール(GGR)の適用範囲の拡大( https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270866.htm)により、世界でもっとも貧困に苦しむ女性と少女たちの何百万という命が脅かされると、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は訴えています。 グローバル・ギャグ・ルール(GGR、メキシコシティ政策とも言われている)の適用範囲が拡大されれば、地球上で貧困に苦しむ多くの女性たちが、命にかかわる医療ケアを受けることができなくなります。それにより、意図しない妊娠、安全でない中絶が増え、何千人もの女性が命を落とすことになるでしょう。 このままでは、適正な価格で受けられた、質の高い、包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアが、世界中で提供できなくなります。提供できなくなるサービスは、避妊指導や避妊法、ジカウイルス感染症に関する保健情報、母子保健サービス、出産後の母子のケア、生殖器のがん治療、HIV感染の予防や治療など、多岐にわたります。 GGRの影響をもっとも受ける、周辺化された社会に暮らす女性たちは、もっとも貧困で、医療サービスを受けにくい僻地に住む、25歳未満の女性たちです。人々が必要とする保健医療サービスが提供できなくなるために、何百万という人々が取り残され、意図しない妊娠や疾病、SRHに関連する死に追いやられるでしょう。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長のコメントです。 「グローバル・ギャグ・ルールの適用範囲は前代未聞の規模で拡大されます。社会の片隅に追いやられ、医療サービスへのアクセスが非常に限られる人々、貧しい女性やコミュニティが取り残される状況を作ることは、考えられる限りで最悪の事態です」 「GGRに基づいて米国が行動すれば、IPPFが加盟協会(MA)を通じて各国で提供し、女性たちが本当に必要とするサポート、カウンセリング、家族計画サービスなど、その国ではまったく合法な活動が不可能になります。IPPFの活動はやめるわけにはいきません。一度、活動を止めてしまえば多くの命が失われ、その影響は何世代にもわたって続くでしょう」 「女性であればだれでも、妊娠や出産など、自分の身体に起こることを、安全で合法に決めることができるべきだとIPPFは強く信じています。今回の要求は、強いられた妊娠の増加や、場合によってはもっとひどい結末などを招くだけであり、IPPFはこれを受け入れることはできません」   IPPFの試算では、GGRの実施によってIPPFへの資金援助が停止されることによって、妊産婦死亡が2万人、意図しない妊娠が480万件、安全でない中絶が170万件、世界中でさらに増加することになります。   GGRの適用範囲が拡大されると、IPPFが途上国で作り上げてきた保健医療分野のパートナーシップが壊される可能性があります。MAが現地の医療機関等と緊密に連携し、築いてきたリファラル(照会)や患者に対するサポートなどのサービスができなくなるからです。保健医療を提供する側と受ける側が持っていた選択肢が狭まり、双方にとって不利益が生じることになります。 米国国際開発庁(USAID)は、何十年も家族計画と公衆衛生プログラムを強く支持し、援助してきました。例え限られた期間だったとしても、USAIDがGGRの実施に従うことで、USAIDがもっとも得意としてきた活動の中で、多くの命を救うことができなくなります。莫大な活動予算が無になり、USAIDにとっても大きな損失になることでしょう。 今回の政策決定により、IPPFはその活動の中核を担う資金のうち、1億ドルを失います。MAを代表し、IPPFは1月に「IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由」という緊急声明も発表しました。そちらもご参照ください。

 Sayana credits: IPPF/George Osodi

新薬サヤナは避妊の選択を広げる―貧困と医療の不備に苦しむ世界の女性たちへ:IPPFの見解

避妊の選択肢が増えることは、女性を大きくエンパワーする可能性がある―国際家族計画連盟(IPPF)はファイザーBD、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、子ども投資基金財団(CIFF: Children's Investment Fund Foundation)によるサヤナ・プレスの発表を受け、見解を公表しました。 サヤナ・プレス(Sayana Press)は、効果が3カ月間継続する、プロゲスチン(黄体ホルモンの一種)のみを使用した注射式の避妊薬です。1回分の薬剤と注射器がパッケージされています。 IPPFはサヤナ・プレスの市場導入に大きな役割を果たしてきました。それも、世界でもっとも貧困と保健サービスの欠如に苦しむ女性や少女たちに届けられるようにするためです。 サヤナ・プレスは、ウガンダ、ナイジェリア、 ブルキナファソ、セネガルのIPPF加盟協会(MA)が通常、配布する避妊薬のリストに加えられました。IPPFの広大なクリニックネットワークを使用し、コミュニティ・ボランティアや自治体職員への研修を行うことで、サヤナ・プレスの流通を増やします。 IPPFのテウォドロス・メレッセ事務局長のコメントです。 「サヤナ・プレスの発売により、女性や少女たちをエンパワーする機会ができました。特に、貧しさによって取り残されがちな人たち、パートナーの意思によって避妊法を選択できない人たち、クリニックが遠すぎたり、物理的に通えなかったりするために避妊薬を入手できない女性や少女たちにとって、今回の発表は大きな可能性をもたらします」 「サヤナ・プレスの特徴は、これまで家族計画に一度も触れることがなかった人たちの手に届く可能性があることです。サヤナ・プレスは、クリニックや薬局に簡単に行くことができない、遠隔地の女性たちからの人気が非常に高かったのです。各国で、コミュニティにおけるサヤナ・プレスの配布、究極的には自己注射による避妊が実現することに、期待を寄せています。避妊法は、ただ存在すればよいというものではありません。どこに住んでいたとしても、女性が自分の避妊をいつ、どのように行うか、自分自身で選択できない限りは、本当に女性たちをエンパワーしたとは言えません」 「サヤナ・プレスの発売は、貧困と保健サービスの欠如に苦しむ女性や少女たちのニーズに応えていくための、大いなる一歩になりました。しかし、避妊法である以上は、手段は複数、用意されるべきであり、一つの手段に偏っていてはなりません。女性や少女の「選択」という時、その人がどこに住み、どのような立場にあっても、自分が必要とする避妊法が手に入るようにしなければならないのですから」   IPPFは、5月8日から今年の“I Decide”というグローバルキャンペーンを始めました。   IPPFはすべての女性が「私が決める(I decide)」と言える世界を実現するため、これからも闘い続けます。 避妊へのユニバーサル・アクセスを呼びかけるIPPFへのご支援を! あなたの声をお送りください

フィジーでIPPFとUNFPAがサイクロン被害に遭った住民たちを支援する様子

IPPF事務局長の声明:米国政府のUNFPAへの資金援助停止に対するIPPFの見解

米国政府による国連人口基金(UNFPA)向け拠出金の停止に関する発表を受け、「(この決定は)世界中の女性や少女たちにとって絶望的な結果をもたらすだろう」と、国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるテウォドロス・メレッセは述べました。 メレッセ事務局長の発言は以下の通りです。 「米国政府が援助打ち切ろうとしている資金は、世界でもっとも貧困で、もっとも脆弱な立場にある女性や少女たちのヘルスケアのために使われるはずでした」 「それは避妊、妊産婦ケア、安全な出産をサポートするためだけではなく、ジェンダーに基づく暴力を防ぐためのプログラムにも使われるはずの資金でした」 「IPPFはUNFPAと緊密に連携して、世界中でこうしたケアを提供するのがもっとも困難な状況の中で活動してきました。特に、世界でもっとも貧困な国における、もっとも貧しい地域で活動をしてきました。このような環境に生きる女性や少女たちは特に脆弱な状況にあるため、この資金の打ち切りは、彼女たちに悲惨な 結果をもたらすでしょう」 メレッセ事務局長はさらに、「新しく発足した米国政権による、世界中の女性や少女たちのヘルスケアに対する、今年2回目の打撃です」と加えました。 「グローバル・ギャグ・ルール(メキシコシティ政策)の再導入により、既にIPPFや他の保健医療機関向けの米国の資金援助が打ち切りとなり、避妊サービス、HIVプログラム、ジカ熱の集団感染対策などの活動ができなくなってしまいました」 「(今回の政策によって)IPPFが失う見込みの1億米ドルの資金があれば、2万件の妊産婦死亡を防止できるはずです。また、この資金カットにより480万件の意図しない妊娠、170万件の安全でない中絶が起きる可能性があります」 「一つ、明確にしたいことがあります。米国政府によって打ち切られつつある拠出金は、いずれも中絶の実施や、強制的な生殖に関する政策の助長に費やされるものではありません。これは、(リプロダクティブ・ヘルスにかこつけた理由付けは)資金カットのための隠れみのでしかありません」 「権利に基づいて行動する組織として、IPPFはUNPFAをはじめとする保健医療機関や人権団体と協力し、何千万という女性と少女たちに対し、避妊法をいつ、どのように使うかを選ぶ権利を守り、命に関わるヘルスサービスへのアクセスを保障します」 「UNFPAは各国政府に働きかけ、持続可能な開発目標(SDGs)など、世界共通で合意した政策において協力するように求めています。グローバルな目標の達成は、すべての人々のセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスを守るためにも絶対に必要なことです」 「米国で政権が発足してから3カ月のうちに、重要な保健サービスを、もっとも必要としている人々に届けるための努力が2度も否定されたこときわめて遺憾に思います。この政治的決断によって、何万人もの命が失われることでしょう」

Yemen mobile clinic IPPF

日本政府による拠出に関する発表を受けたIPPFからの発表

日本政府による拠出に関する発表(2017年3月28日付)*を受け、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長から以下のコメントを発表します。 日本政府によるIPPFとUNFPAを通じた性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ:SRHR)への支援の継続に感謝します。米政府資金の大幅減など、世界のSRHRが苦境にある中、日本政府によるこの分野への継続的コミットメントの意思表明を特に歓迎します。 IPPFは、日本政府による長年にわたるIPPFへの支援に感謝します。また、IPPFが目前に差し迫った活動資金の危機を乗り越え、多くの人々(特に女性と少女)の健康と命を守るために、さらなる支援を期待します。 「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現のためには,性と生殖に関する健康と権利に関するサービスの提供が必須であることをここに再度強調します。さらに、そのことがG7伊勢志摩サミット最終成果文書のみならず、国際女性会議WAW!(WAW!2016)最終成果文書、第3回国連防災会議成果文書、第6回アフリカ開発会議(TICADVI)成果文書でも明示されています。これらを可能とした日本政府による世界のUHC実現に向けたリーダーシップに敬意を表し、今後とも日本政府と緊密に連携し、世界の女性の健康と命を守り、持続可能な開発目標(SDGs)という共通の目標を達成するための努力を重ねることを約束します。 * 「国連人口基金及び国際家族計画連盟に対する拠出」(2017年3月28日付プレスリリース)はこちらをご参照ください。

Why we will not sign the Global Gag Rule

緊急声明:IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由

2017年1月23日、トランプ米大統領は、「グローバル・ギャグ・ルール(口封じの世界ルール)」として知られる「メキシコシティ政策」を再導入する大統領令に署名した。 国際家族計画連盟(IPPF)は、誰もが自分の健康と安寧(ウェルビーイング)について自分で決める権利があると信じる。世界の女性、男性、子どもたちを守るために活動する組織として、IPPFとその世界170カ国に広がるパートナーたちは、人権を侵害し、女性の命を危険に追いやる政策には署名しない。 「グローバル・ギャグ・ルール」は、IPPFのように、米国政府以外からの資金援助で行っていても、またその国で人工妊娠中絶が合法であっても、中絶関連サービス、カウンセリング、リファラルを行う組織に対する米国政府からの資金援助を否定するものである。 いかなる組織でも、この政策に署名しないと、その家族計画、妊産婦の健康、HIVとエイズの予防と治療保健医療サービスを実施するために欠かせない資金へのアクセスが閉ざされる。 過去に先代の共和党大統領たちによって「グローバル・ギャグ・ルール」が導入されたとき、実際に起きたのは、中絶件数の減少ではなく、むしろ家族計画へのアクセスの激減による意図しない妊娠と安全でない中絶の件数増大であった。 IPPFは、世界最大の家族計画を提供するNGOである。米国政府と何十年にもわたって協力してきた。IPPFの世界に広がる現地パートナーのネットワークは、毎分300件以上のサービスを提供している。これには、毎年7千万件の家族計画の提供も含まれる。 「グローバル・ギャグ・ルール」の再導入は、さらなる意図しない妊娠、予防できる傷病とそれを原因とする死を多数、招くことになるだろう。 一方、IPPFにとっては、人道危機下や不健康であえぐ女性たちを含む世界の何百万人もの女性と若者たちに、かけがえのない、またその効果が証明されている包括的セクシュアル・リプロダクティブヘルスサービスを提供するのに必要となる資金、1億米ドルを失うことを意味する。 長年にわたり、USAID(米国国際開発庁)は年間6億米ドル以上の予算を有する巨大な家族計画の支援者であった。この政策の再導入によって、世界でこれまでに何年もかけて実現してきた必須サービスへのアクセス拡大の成果が失われることとなるだろう。 私たちは、世界の最も貧しい女性たちの命を救うサービスを否定できないし、否定することもない。世界の政府やドナー(経済的支援者)たちと協力して、「世界口封じルール」が生み出すサービスと資金の穴を埋めつないでいく。そして、女性たちが自分の権利を行使して、家族計画と安全な中絶にアクセスできるように活動を続けていく。 国際家族計画連盟(IPPF) Support women's reproductive rights

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深刻化するウクライナ情勢に関するIPPF声明

ウクライナから伝わってくる不穏な情報を受け、国際家族計画連盟(IPPF)は連盟とウクライナの加盟協会を代表して、以下のメディア向け声明を公表します。 紛争と人道危機下においてはセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケアの必要性が急激に高まるのに、被災者・避難民となった人々の深刻な脆弱性は見過ごされがちです。特に女性、少女、周縁化された人々の意図しない妊娠、性感染症、性とジェンダーに基づく暴力のリスクが高まります。 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長は次のように述べました。   「IPPFはロシアのウクライナにおける紛争の深刻化を深く憂慮します。IPPFは強い責任のもと、特に人道危機下では脆弱性が見過ごされがちな女性、少女と周縁化された人々の命を守るSRHケアを国内全域にわたって提供できるよう尽力しています」   「過去20年間、IPPFはウクライナの人々のリプロダクティブ・ライツを強化し、守るべく一貫して努力してきました。東部のルガンスク州、ドネツク州といった衝突の最前線では2014年から活動を続け、命を守るためのリプロダクティブ・ヘルスケア、心理社会的な支援、性とジェンダーに基づく暴力を受けた人々への質の高いケアを提供するため、地域の医療専門家に研修をしてきました」 「IPPFの活動チームはウクライナに残留する人々だけでなく、避難民となり、医療ケアを受け続けるために支援を必要とする人々のニーズにどう対応するか、地域全体として緊急対応策を検討しています。パートナー組織、他のNGOと緊密に連携し、医療ケアの中断ができるだけ小さくなるように尽力します」 「IPPFは国際社会と、また過去8年間、人として受ける必要のない苦しみと恐怖と困難に立ち向かってきたウクライナの勇気ある人々と連帯します。前線で活動するIPPFチームとも連帯します。彼らは危険を顧みず、もっとも必要とする人々の命を守る医療ケアを提供し続けています。IPPFは状況を細かく見きわめ、地域にいる仲間たちの安全確保に努めます」 この声明に関するお問合せはこちらまで 欧州(英語): [email protected] 英国その他(英語):カルメン・アイヴィ [email protected] もしくは [email protected]  日本語:[email protected]

Youth volunteer

“It’s so much more than sex and condoms” 1

‘Are you interested in advocacy and reproductive health rights?’ These were the words which caught Mario’s attention and prompted him to sign up to be part of the Jamaica Family Planning Association (FAMPLAN) Youth Advocacy Movement (YAM) five years ago. At the time, Mario was 22 and looking for opportunities to gain experience after graduating from college.  From graduate to advocate   “I was on Facebook looking at different things young people can do, and it popped up. I had just left college with an Associate Degree in Hospitality and Tourism Management. I was unemployed and I just wanted to be active, give myself the opportunity to learn and find something I can give my time to and gain from it,” Mario says.  Interested in volunteering and advocacy Mario joined the YAM to get a new experience and broaden his knowledge base. He says he has gained a second family and a safe space; he can call home.  “It’s so much more than sex and condoms. It’s really human rights and integrated in everything we do. Reproductive health affects the population, it affects your income, your family planning, how people have access to rights. It’s cuts across men, women, LGBT people and encompasses everything. My love for working with YAM and being an advocate for sexual and reproductive health rights deepened and I could expand further in my outreach.”  His work with YAM has equipped Mario with skills and given him opportunities he would otherwise not have.  “I have done public speaking which has opened lots of doors for me. I have travelled and met with other Caribbean people about issues [around sexual and reproductive health]. There’s an appreciation for diversity as you deal with lots of people when you go out into communities, so you learn to break down walls and you learn how to communicate with different people.”   Challenging the reluctance to talk about sex   The greatest challenges he faces are people’s reluctance to talk about sex, accessing healthcare, and misinformation.  “Once they hear sex it’s kind of a behind the door situation with everybody, but they are interested in getting condoms. When it comes to that it is breaking taboo in people’s minds and it might not be something people readily accept at the time. LGBT rights, access to condoms and access to reproductive health for young people at a certain age — many people don’t appreciate those things in Jamaica.”  Mario talks about giving youth individual rights to access healthcare. “So, can they go to a doctor, nurse without worrying if they are old enough or if the doctor or nurse will talk back to the parents? Access is about giving them the knowledge and empowering them to go for what they need.”  “The stigma is the misinformation. If you’re going to the clinic people automatically assume, you’re doing an HIV/AIDS test or getting an abortion. [So] after the community empowerment, because of the stigma maybe 15 per cent will respond and come to the clinic. The biggest issue is misinformation,” Mario says, adding that diversification of the content and how messages are shaped could possibly help.  To address these issues, he wants to see more young people involved in advocacy and helping to push FAMPLAN’s messages in a diversified way.  “It is a satisfying thing to do both for your own self development and community development. You’re building a network. If you put yourself out there you don’t know what can happen.”  

注射式避妊薬(モザンビークにて)

ECHO試験の結果が示すHIV予防の緊急性

国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるDr アルバロ・ベルメホは2019年6月13日、ECHO試験(Evidence for Contraceptive Options and HIV Outcomes trial、避妊法の選択肢とHIV感染の結果のエビデンスを得るための試験)の報告書が発表されたことを受け、コメントしました。報告書を歓迎する一方で、ベルメホ事務局長は、HIV感染の予防手段を増やし、早急に対応すべきであり、女性と少女たちに現実的な避妊法の選択肢が提供されなければならない、と発言しました。 試験では黄体ホルモンのみを使用したメドロキシプロゲステロン酢酸筋注デポ剤(DMPA-IM)、皮下埋め込み式の避妊インプラント(Jadelle)、銅付加子宮内避妊具(IUD)という、避妊効果が高く可逆性のある3つの避妊法を比較し、3つの避妊法によってハイリスクの女性と少女のHIV感染リスクが上昇するかどうかを調べました。 ECHO試験は南アフリカ共和国、エスワティニ(旧スワジランド)、ザンビア、ケニアの4カ国12地点で実施されました。18カ月に及んだ試験期間で協力した女性は7,800人でした。 ECHO試験では、比較した避妊法に著しくHIV感染リスクが異なるという統計結果は出ませんでした。しかし、397人の参加者が期間中、HIVに新規感染しました。 Dr ベルメホのコメントです。  「ECHO試験は非常に重要な試験で、その結果が公表されたことをうれしく思います。結果をさらに分析していく必要はありますが、これだけはすぐにわかります。すでに個別の感染予防活動が行われているとはいえ、試験に参加したハイリスクとされる女性たちのHIVと性感染(STIs)の感染リスクについて、早急な対応が必要です。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRHケア)とHIV感染予防を総合的に提供するような形にしなければなりません」   「HIV感染率が上昇した原因は、言われていたように DMPAではないことが結果から明らかです。それよりもはっきりしたのは、多くの女性にとって、そして多くの国々で、避妊法の選択肢は非常に限られており、それによって問題が起きている現実です」   「妊娠したくないと望み、HIV感染予防を必要とする女性と少女たちに避妊法の選択肢が幅広く提供され、最高のカウンセリングとともに提供されなければなりません。そのための投資と関係機関の連携を充実させ、SRHケアの優先度を高めていくことが必要です」 

家族計画が気候変動に与える影響とは
29 4月 2019

気候変動とセクシュアル・ヘルスは無関係だと思いますか?

気候変動による地球規模の危機への対策を考える際、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(SRH)を思い浮かべる人はそれほどいないかもしれませんが、実際、SRHが環境保護戦略に重要な役割を果たすことがあり得るのです。 気候変動の大部分は、世界の一部(米国、欧州など二酸化炭素を多く排出する国々)による過剰な 消費と生産活動によるものですが、その影響は他の国にも及びます。そしてもっとも影響を受けるのは、女性や少女、貧困層などのすでに社会から周縁化された人々であることが少なくありません。 持続可能な開発を続けるためには、このような脆弱なコミュニティを支援し、環境危機がもたらす気候変動による変化に適応できるようにしなければなりません。 女性と少女のエンパワーメント  世界中の女性と少女の2億1,400万人が、必要とする避妊法を入手することができず、そして年間9,910万件の意図しない妊娠が起こっています。この2つの数字には紛れもなく相関関係があります。また、近代的避妊法のアンメットニーズ(必要とされているのに満たされないニーズ)が高い国ほど、気候変動の被害を受けやすいことがわかっています。 女性と少女たちが状況によって子どもを産むのではなく、自分でいつ、何人子どもを産むのかを選べるかどうかは個人の自律と尊厳にかかわる問題であり、選択ができるコミュニティではそうでないコミュニティよりも女性と少女の健康状態がよく、コミュニティへの参加率が高くなります。 教育によるエンパワーメントは少女たちにとっては大切です。教育を受けた少女は、若年出産をする少女よりも年上になってから、少ない数の(より健康な)子どもを産み育てる可能性が高くなります。教育を受け人生経験を積んだ女性の方が、サイクロン、洪水、干ばつなどの自然災害が起きた時にうまく対応できます。 女性と少女のセクシュアル/リプロダクティブ・ライツを実現することで自然環境の変化に対応できる力(レジリエンス )を育てること。これこそが気候変動によって翻弄される各国が被害を軽減するためにとるべき対策なのです。   何をすればよいか 200カ国近くが署名する国連主導のグローバルな気候変動抑制の枠組みであるパリ協定(訳注:2015年に採択)には、「健康の権利」へのコミットメントが明記されており、避妊法へのアクセスはそれに含まれる重要な課題です。さらに、協定ではジェンダー平等と女性のエンパワーメントを強調しています。  国際家族計画連盟(IPPF)は11の団体と協力し、パリ協定署名国に対し、女性と少女のエンパワーメントの重要性を再確認し、SRHサービスへのアクセスを保障することを、それぞれの国の気候変動対策戦略として検討するよう呼びかけています。  地球温暖化の流れを変えるの は、今からでも遅くはありません。しかし、今すぐに決断し行動しなければ、最大の効果は得られません。世界でも脆弱なコミュニティにおいては特にそうです。セクシュアル/リプロダクティブ・ライツの実現が、気候変動危機の解決に大きな役割を果たすことは間違いありません。全世界が一つのコミュニティとしてこの課題に取り組まなければならないのです。

衣料品工場「デワースト」の建物の外にいるバン・サーヴェンさん(23)
08 November 2017

性教育をポップ音楽にのせて~ カンボジアの衣料品工場で働く女性たちをサポートする~

カンボジアの衣料品工場で働いている人は70万人余りですが、その多くは地方から出稼ぎに来た、学歴の低い女性たちです。IPPFカンボジア(RHAC)のスレン医師によると、女性労働者の多くは自分の命にかかわるような保健の知識がなく、医療機関への不信が強く、医療ケアをどこで受けてよいかも知りません。 RHACが衣料品工場への保健アウトリーチプログラムを始めたのは1998年でした。現在、合計で13万429人の労働者が働く、82カ所の工場でプログラムを実施しています。参加者のうち、2万8,000人はRHACのスタッフがリードするグループディスカッションに参加したことがあります。冒頭の場面にあるようなヘルスデーイベントに参加したことがある労働者は、6万7,000人以上になります。

A young female client helped by a project via IPPF

グローバル・ギャグ・ルールの適用拡大が及ぼす世代を超えた悪影響

米国による グローバル・ギャグ・ルール(GGR)の適用範囲の拡大( https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270866.htm)により、世界でもっとも貧困に苦しむ女性と少女たちの何百万という命が脅かされると、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は訴えています。 グローバル・ギャグ・ルール(GGR、メキシコシティ政策とも言われている)の適用範囲が拡大されれば、地球上で貧困に苦しむ多くの女性たちが、命にかかわる医療ケアを受けることができなくなります。それにより、意図しない妊娠、安全でない中絶が増え、何千人もの女性が命を落とすことになるでしょう。 このままでは、適正な価格で受けられた、質の高い、包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアが、世界中で提供できなくなります。提供できなくなるサービスは、避妊指導や避妊法、ジカウイルス感染症に関する保健情報、母子保健サービス、出産後の母子のケア、生殖器のがん治療、HIV感染の予防や治療など、多岐にわたります。 GGRの影響をもっとも受ける、周辺化された社会に暮らす女性たちは、もっとも貧困で、医療サービスを受けにくい僻地に住む、25歳未満の女性たちです。人々が必要とする保健医療サービスが提供できなくなるために、何百万という人々が取り残され、意図しない妊娠や疾病、SRHに関連する死に追いやられるでしょう。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長のコメントです。 「グローバル・ギャグ・ルールの適用範囲は前代未聞の規模で拡大されます。社会の片隅に追いやられ、医療サービスへのアクセスが非常に限られる人々、貧しい女性やコミュニティが取り残される状況を作ることは、考えられる限りで最悪の事態です」 「GGRに基づいて米国が行動すれば、IPPFが加盟協会(MA)を通じて各国で提供し、女性たちが本当に必要とするサポート、カウンセリング、家族計画サービスなど、その国ではまったく合法な活動が不可能になります。IPPFの活動はやめるわけにはいきません。一度、活動を止めてしまえば多くの命が失われ、その影響は何世代にもわたって続くでしょう」 「女性であればだれでも、妊娠や出産など、自分の身体に起こることを、安全で合法に決めることができるべきだとIPPFは強く信じています。今回の要求は、強いられた妊娠の増加や、場合によってはもっとひどい結末などを招くだけであり、IPPFはこれを受け入れることはできません」   IPPFの試算では、GGRの実施によってIPPFへの資金援助が停止されることによって、妊産婦死亡が2万人、意図しない妊娠が480万件、安全でない中絶が170万件、世界中でさらに増加することになります。   GGRの適用範囲が拡大されると、IPPFが途上国で作り上げてきた保健医療分野のパートナーシップが壊される可能性があります。MAが現地の医療機関等と緊密に連携し、築いてきたリファラル(照会)や患者に対するサポートなどのサービスができなくなるからです。保健医療を提供する側と受ける側が持っていた選択肢が狭まり、双方にとって不利益が生じることになります。 米国国際開発庁(USAID)は、何十年も家族計画と公衆衛生プログラムを強く支持し、援助してきました。例え限られた期間だったとしても、USAIDがGGRの実施に従うことで、USAIDがもっとも得意としてきた活動の中で、多くの命を救うことができなくなります。莫大な活動予算が無になり、USAIDにとっても大きな損失になることでしょう。 今回の政策決定により、IPPFはその活動の中核を担う資金のうち、1億ドルを失います。MAを代表し、IPPFは1月に「IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由」という緊急声明も発表しました。そちらもご参照ください。

 Sayana credits: IPPF/George Osodi

新薬サヤナは避妊の選択を広げる―貧困と医療の不備に苦しむ世界の女性たちへ:IPPFの見解

避妊の選択肢が増えることは、女性を大きくエンパワーする可能性がある―国際家族計画連盟(IPPF)はファイザーBD、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、子ども投資基金財団(CIFF: Children's Investment Fund Foundation)によるサヤナ・プレスの発表を受け、見解を公表しました。 サヤナ・プレス(Sayana Press)は、効果が3カ月間継続する、プロゲスチン(黄体ホルモンの一種)のみを使用した注射式の避妊薬です。1回分の薬剤と注射器がパッケージされています。 IPPFはサヤナ・プレスの市場導入に大きな役割を果たしてきました。それも、世界でもっとも貧困と保健サービスの欠如に苦しむ女性や少女たちに届けられるようにするためです。 サヤナ・プレスは、ウガンダ、ナイジェリア、 ブルキナファソ、セネガルのIPPF加盟協会(MA)が通常、配布する避妊薬のリストに加えられました。IPPFの広大なクリニックネットワークを使用し、コミュニティ・ボランティアや自治体職員への研修を行うことで、サヤナ・プレスの流通を増やします。 IPPFのテウォドロス・メレッセ事務局長のコメントです。 「サヤナ・プレスの発売により、女性や少女たちをエンパワーする機会ができました。特に、貧しさによって取り残されがちな人たち、パートナーの意思によって避妊法を選択できない人たち、クリニックが遠すぎたり、物理的に通えなかったりするために避妊薬を入手できない女性や少女たちにとって、今回の発表は大きな可能性をもたらします」 「サヤナ・プレスの特徴は、これまで家族計画に一度も触れることがなかった人たちの手に届く可能性があることです。サヤナ・プレスは、クリニックや薬局に簡単に行くことができない、遠隔地の女性たちからの人気が非常に高かったのです。各国で、コミュニティにおけるサヤナ・プレスの配布、究極的には自己注射による避妊が実現することに、期待を寄せています。避妊法は、ただ存在すればよいというものではありません。どこに住んでいたとしても、女性が自分の避妊をいつ、どのように行うか、自分自身で選択できない限りは、本当に女性たちをエンパワーしたとは言えません」 「サヤナ・プレスの発売は、貧困と保健サービスの欠如に苦しむ女性や少女たちのニーズに応えていくための、大いなる一歩になりました。しかし、避妊法である以上は、手段は複数、用意されるべきであり、一つの手段に偏っていてはなりません。女性や少女の「選択」という時、その人がどこに住み、どのような立場にあっても、自分が必要とする避妊法が手に入るようにしなければならないのですから」   IPPFは、5月8日から今年の“I Decide”というグローバルキャンペーンを始めました。   IPPFはすべての女性が「私が決める(I decide)」と言える世界を実現するため、これからも闘い続けます。 避妊へのユニバーサル・アクセスを呼びかけるIPPFへのご支援を! あなたの声をお送りください

フィジーでIPPFとUNFPAがサイクロン被害に遭った住民たちを支援する様子

IPPF事務局長の声明:米国政府のUNFPAへの資金援助停止に対するIPPFの見解

米国政府による国連人口基金(UNFPA)向け拠出金の停止に関する発表を受け、「(この決定は)世界中の女性や少女たちにとって絶望的な結果をもたらすだろう」と、国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるテウォドロス・メレッセは述べました。 メレッセ事務局長の発言は以下の通りです。 「米国政府が援助打ち切ろうとしている資金は、世界でもっとも貧困で、もっとも脆弱な立場にある女性や少女たちのヘルスケアのために使われるはずでした」 「それは避妊、妊産婦ケア、安全な出産をサポートするためだけではなく、ジェンダーに基づく暴力を防ぐためのプログラムにも使われるはずの資金でした」 「IPPFはUNFPAと緊密に連携して、世界中でこうしたケアを提供するのがもっとも困難な状況の中で活動してきました。特に、世界でもっとも貧困な国における、もっとも貧しい地域で活動をしてきました。このような環境に生きる女性や少女たちは特に脆弱な状況にあるため、この資金の打ち切りは、彼女たちに悲惨な 結果をもたらすでしょう」 メレッセ事務局長はさらに、「新しく発足した米国政権による、世界中の女性や少女たちのヘルスケアに対する、今年2回目の打撃です」と加えました。 「グローバル・ギャグ・ルール(メキシコシティ政策)の再導入により、既にIPPFや他の保健医療機関向けの米国の資金援助が打ち切りとなり、避妊サービス、HIVプログラム、ジカ熱の集団感染対策などの活動ができなくなってしまいました」 「(今回の政策によって)IPPFが失う見込みの1億米ドルの資金があれば、2万件の妊産婦死亡を防止できるはずです。また、この資金カットにより480万件の意図しない妊娠、170万件の安全でない中絶が起きる可能性があります」 「一つ、明確にしたいことがあります。米国政府によって打ち切られつつある拠出金は、いずれも中絶の実施や、強制的な生殖に関する政策の助長に費やされるものではありません。これは、(リプロダクティブ・ヘルスにかこつけた理由付けは)資金カットのための隠れみのでしかありません」 「権利に基づいて行動する組織として、IPPFはUNPFAをはじめとする保健医療機関や人権団体と協力し、何千万という女性と少女たちに対し、避妊法をいつ、どのように使うかを選ぶ権利を守り、命に関わるヘルスサービスへのアクセスを保障します」 「UNFPAは各国政府に働きかけ、持続可能な開発目標(SDGs)など、世界共通で合意した政策において協力するように求めています。グローバルな目標の達成は、すべての人々のセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスを守るためにも絶対に必要なことです」 「米国で政権が発足してから3カ月のうちに、重要な保健サービスを、もっとも必要としている人々に届けるための努力が2度も否定されたこときわめて遺憾に思います。この政治的決断によって、何万人もの命が失われることでしょう」

Yemen mobile clinic IPPF

日本政府による拠出に関する発表を受けたIPPFからの発表

日本政府による拠出に関する発表(2017年3月28日付)*を受け、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長から以下のコメントを発表します。 日本政府によるIPPFとUNFPAを通じた性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ:SRHR)への支援の継続に感謝します。米政府資金の大幅減など、世界のSRHRが苦境にある中、日本政府によるこの分野への継続的コミットメントの意思表明を特に歓迎します。 IPPFは、日本政府による長年にわたるIPPFへの支援に感謝します。また、IPPFが目前に差し迫った活動資金の危機を乗り越え、多くの人々(特に女性と少女)の健康と命を守るために、さらなる支援を期待します。 「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現のためには,性と生殖に関する健康と権利に関するサービスの提供が必須であることをここに再度強調します。さらに、そのことがG7伊勢志摩サミット最終成果文書のみならず、国際女性会議WAW!(WAW!2016)最終成果文書、第3回国連防災会議成果文書、第6回アフリカ開発会議(TICADVI)成果文書でも明示されています。これらを可能とした日本政府による世界のUHC実現に向けたリーダーシップに敬意を表し、今後とも日本政府と緊密に連携し、世界の女性の健康と命を守り、持続可能な開発目標(SDGs)という共通の目標を達成するための努力を重ねることを約束します。 * 「国連人口基金及び国際家族計画連盟に対する拠出」(2017年3月28日付プレスリリース)はこちらをご参照ください。