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女性の健康

Articles by 女性の健康

IPPF・G7ハイレベルラウンドテーブル:G7各国がUHCの実現に喫緊のSRHRへの取り組み強化を表明 

IPPFは、11日から英国で開催されるG7サミット直前の6月7日、オンライン会合G7ハイレベルラウンドテーブル「女性と少女に力を、全ての人々に力を:身体の自己決定権とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」(以下、ハイレベル会合)を英国・カナダ両政府と共同開催しました。 5月3-5日に英国で開催されたG7外務・開発大臣会合で、G7外務・開発大臣は共同コミュニケを発表し、包括的なSRHRサ ービスへの普遍的なアクセスが、人々の命を救い、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する上で 極めて重要と認識した上で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行がSRHRに及ぼす深刻な影響への対処と防止、SRHRの普遍的な実現に向けた進展を加速していくため、G7以外の国々や市民社会との連携を含めた、SRHRへの取り組み強化にコミットしました。 ポストコロナ社会をより良く、より公平なものにするためには、SRHRを社会の中心に据えなくてはなりません。SRHRは健康のみならず、ジェンダー平等の実現にも重要な役割を担っているからです。 このハイレベル会合の大きな目的は、G7・ゲスト国の高官が、前述のコミュニケに含まれたSRHRへの取り組み強化のコミットメントを果たす重要性について話し合い、この機運を11日から英国で開かれるG7サミット、30日からフランスで開催される「平等を目指す全ての世代フォーラム(Generation Equality Forum)」につなげることでした。ハイレベル会合にはG7・ゲスト国の9カ国(米国、英国、インド、オーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、フランス、南アフリカ)より4名の大臣を含む政府高官が参加しました。日本政府からは、小野啓一外務省地球規模課題審議官が出席し、以下のように述べました。 「COVID-19は、脆弱な人々の窮状を悪化させました。最も弱い立場にある人々に最初に手を差し伸べることは、UHCを実現するためにも、また、SRHRを含むCOVID-19に対する効果的なジェンダー対応を確保するためにも重要です」 他の政府高官からは「パンデミックの影響で学校に戻れない何百万人の若者向けに質の高いエビデンスに基づいた教育が欠かせない」、「パンデミックへの対応と、女性と少女のニーズへの対応とを統合できるような、より良い保健システムの構築が必要」などの発言がありました。 ハイレベル会合後、IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは次のように話しました。 「日本政府代表の小野地球規模課題審議官を含むG7ハイレベルラウンドテーブル参加者から受けたSRHRへの力強いコミットメントに大いに勇気づけられました。COVID-19が、人々(特に女性や少女などの脆弱な人々)の健康と生活に大きな影響を及ぼし、健康格差が広がり続けています。G7・ゲスト各国の首脳が、G7外務・開発大臣会合コミュニケで明言した、SRHRの普遍的な実現に向けた取り組み強化のコミットメントを、確実に実行していくことを強く望みます」  

womens rights are human rights

IPPFはバイデン大統領によるグローバル・ギャグ・ルールの撤回を歓迎します

国際家族計画連盟(IPPF)は、バイデン大統領がメキシコシティ政策と呼ばれるグローバル・ギャグ・ルール(GGR)を撤回するという公約を守ってくれたことを歓迎します。    2017年に前政権がGGRの拡大と再導入をしたことにより、意図しない妊娠とハイリスク妊娠、安全でない人工中絶が増え、予防できたはずの妊産婦死亡が増えました。IPPFが32カ国で実施する53件の保健医療プロジェクトが影響を受け、活動資金の60%を失う加盟協会(MA)も出ました。   IPPF事務局長のDrアルバロ・ベルメホは次のように述べました。  「バイデン大統領がグローバル・ギャグ・ルールを撤回する決断をしたのは喜ばしいことです」 「GGRの再導入と拡大によって、女性が自分の身体に関して決定する権利が奪われました。中絶反対運動による中絶ケアへの攻撃がそもそもの政策意図でしたが、リプロダクティブ・ライツを無視した強制力として働き、中絶ケアにとどまらず、より広い範囲の保健医療サービスの提供にまでその影響が及びました。これにより、HIV予防プログラム、母子保健、避妊法の提供などの面で、あらゆる人々が被害に遭いました。 「これから何年もかけて、GGRによってもたらされた弊害をあらため、米国とより強靱で良好な絆を育んでいかなければなりません。将来、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)を否定する政権に代わったとしても、事業が被害を受けないように。未来の女性と少女たちの権利を守るため、恒久的にGGRを廃止するために必要な手段をとるよう、バイデン-ハリス政権に要請します。恒久的に廃止しない限り、GGRは女性、少女、若者、脆弱なコミュニティにとって常に脅威であり続けるでしょう。リプロダクティブ・ライツ、身体の自律、自分の身体のことは自分で決めるという人権は、大統領のサイン一つで変わるものであってはなりません。  「IPPFは今後、バイデン-ハリス政権と緊密に連携し、すべての人々のSRHを守り、促進する機会を望み、歓迎します」   全米家族計画連盟(PPFA)のアレクシス・マギル・ジョンソン会長・CEOは、次のように述べました。  「過去4年間、米国はグローバルなリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスを拡大する支援をし損なっただけでなく、積極的に妨害しました。今日、バイデン-ハリス政権がGGRによる破壊を止め、新しい章が始まることを称賛します。GGRは世界中で何百万もの人々が必須医療ケアを受けることを阻みました。グローバルヘルス・エンパワーメント・ライツ法(Global HER Act)を成立させ、米政権の移行に関係なく、恒久的に世界のSRHケアへのアクセスが守られるよう、今後、政権と米国議会と連携していくことを楽しみにしています。今こそ米国が世界に向けて『リプロダクティブ・ライツは人権だ』と誇り高く宣言すべき時です」   GGRによる資金不足を補うために、拠出をしたり、増額してくださった国際社会にIPPFは感謝しております。今後もセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)実現のため、協力していきましょう。   メディアの方からのお問合せはIPPF東京連絡事務所(公益財団法人ジョイセフ):[email protected]までお願いします。 

バングラデシュでCOVID-19下、SRHサービスを提供するIPPFバングラデシュのコミュニティヘルスワーカー

COVID-19関連:日本政府がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ促進を要請する共同声明に賛同

5月6日、59か国が賛同する「COVID-19危機下においてセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを擁護しジェンダーに基づいた対策の促進を求める」共同プレス声明が発表されました。日本政府も賛同国に加わっています。 共同声明は、主に以下の点を主張しています。 COVID-19が女性と男性に与える影響は異なる 女性と少女に対する暴力を防止するための特別な措置を導入しなければならない 緊急支援によって、難民、移民、国内避難民であるすべての女性と少女が守られるべき 社会心理学的な支援サービスを含むセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ニーズ、ジェンダーに基づく暴力(GBV)からの保護を優先する 学校が休校となる中、思春期の保健、権利、福祉を保障するため、社会的保護の責任を政府が負わなければならない すべてのレベルにおける意志決定への女性と少女の積極的な参加とリーダーシップの発揮を支援する ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の文脈において、セクシュアル・ヘルス(SRH)サービスは不可欠 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への資金提供を優先事項として残すことで、妊産婦と新生児死亡、避妊のアンメットニーズ(充足されていないニーズ)、安全でない中絶、性感染症の増大を避けなければならない 助産師、看護師、コミュニティヘルスワーカーの活動には個人防護服・防護具(PPE)が欠かせない 妊婦の呼吸器疾患、特にCOVID-19感染症は、悪化のリスクが高まるため、優先的に治療しなければならない 生殖可能年齢にあるすべての女性と少女に必要なリプロダクティブ・ヘルス関連の物資を提供することを約束する 特に脆弱な国々への緊急支援への参加と、保健医療ケアへのユニバーサルなアクセスを実現するというグローバルなコミットメントが完全な効果を持つための支援を要請 声明のPDFと詳細についてIはPPF東京連絡事務所であるジョイセフのページをご参照ください。 ※写真はIPPFバングラデシュ(FPAB)のコミュニティヘルスワーカーがCOVID-19下、SRHサービスを提供する様子です。  

30 October 2019

IPPFテクニカル・ブリーフ:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康と権利:SRHR)の新定義

この文書は、グットマッハー・ランセット コミッションが2018年5月に発表した報告書に基づいて、人権の観点からエビデンスに基づいた、包括的なセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康と権利:SRHR)の新しい定義と、推奨される必須SRHR関連事業の包括的なパッケージについて、1ページにまとめました。

30 June 2017

Vision 2020 ジェンダーレポート

IPPF VISION2020 ジェンダーレポート ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントを目指して 女性のエンパワーメントやジェンダーの平等には、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の実現が不可欠です。女性が健康で、自分の健康や幸福、性に関する選択ができる社会でなければ、少女や女性が、妊娠・出産で命を落とす危険や、暴力に脅えることなく、教育を受けたり、活躍したりすることが望めないからです。この冊子では、女性が社会、経済、政治の場面で活躍するために必要な SRHRの実現について考えます。  

IPPFの支援を受ける家族(スリランカ)

IPPF、マリー・ストープス・インターナショナルとの新たな連携に合意:世界中の家族計画サービス強化へ向けて

国際家族計画連盟(IPPF)と英国の国際NGO、マリー・ストープス・インターナショナル(MSI)は、6月の第2週に開かれた年次ドナー会議において新たに組織間の連携について合意したことを発表しました。IPPFとMSIは、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)に関するサービスの提供が困難な状況になることに対処するため、連携を新たにしたものです。 IPPFとMSIは、それぞれがもつ組織の能力を投入し、ドナーから提供された資金のすべてを、女性と少女たちのために使うことを約束しました。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長と、サイモン・クックMSI最高執行責任者(CEO)によって署名された合意書には、競争と協力がもたらす価値が確認されています。競争と協力があってこそ、両者はサービス、啓発活動、データ収集の品質や効率性を、グローバル、地域、国内それぞれのレベルで向上させることができます。 また、合意書に基づき、IPPFとMSIは12カ国において国内計画を合同で開発していく予定です。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は、合意に際し、次のように述べました。「SRHRサービスをめぐるグローバルな環境は大きく変わりました。私たちはサービス提供数を増やすため、国ごとに新しい方法を探し出さなければなりません。この合意が持続的な変化のきっかけとなり、世界中のどこであれ、SRHRサービスを手にする人たちの一人ひとりが最良の対応とサービスを受けられるようになるでしょう」 サイモン・クックMSI最高執行責任者は次のように話しました。「IPPFとの連携拡大に意欲をもって取り組みます。具体的なプロジェクトを通じて、途上国の女性と少女たちが避妊法や安全な中絶サービスが受けられるようになり、自分たちの将来を自分で決められるようにする手助けをしていきます。私たちのサービスを必要とする何百万という女性たちにとって最良の結果を出していくことが、 MSIとIPPFの双方にとって最優先の課題です」 IPPFとMSIは、次の3つの分野で協力することに合意しました。 サービス提供 サービスの重複を減らすため、国ごとの調整を強化する 国家レベルの保健システムのサービス格差を減らすため、共同歩調をとる SRHRサービスの提供地域を拡大する サービスデリバリの経路やその組み合わせを増やす 相互のレファラル(照会)システムを必要に応じて強化する サプライチェーンの強化 学びや知見の共有を増やす サービスを受ける個人の権利に基づくサービスを提供する 提供者のニーズを満たす アドボカシー(啓発) 共同のアドボカシー活動に沿った派遣計画を実施する サービスを最も受けづらい人々にサービスを拡大するアドボカシー活動を行う それぞれの地域の事情や政治情勢に合わせて政策とアドボカシー活動をマッピングし、分担を決める FP2020の進捗と実施に関し、国とグローバルなレベルにおける主要な成果物を定め、アドボカシーの課題、共同計画案、アカウンタビリティを進める データ 各種データ分析ツールやプロセスを共同で使用し、互いに支援することで効率性を向上させる アドボカシー活動のためにデータ共有を進める 指標や報告の質の向上のため、共同で改善行動を実施する サービス受益者に基づいたデータを使用できるようにして、保健状況の改善を目指す 共同リサーチのアジェンダを開発する IPPFの最新情報を受け取る

A young female client helped by a project via IPPF

グローバル・ギャグ・ルールの適用拡大が及ぼす世代を超えた悪影響

米国による グローバル・ギャグ・ルール(GGR)の適用範囲の拡大( https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270866.htm)により、世界でもっとも貧困に苦しむ女性と少女たちの何百万という命が脅かされると、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は訴えています。 グローバル・ギャグ・ルール(GGR、メキシコシティ政策とも言われている)の適用範囲が拡大されれば、地球上で貧困に苦しむ多くの女性たちが、命にかかわる医療ケアを受けることができなくなります。それにより、意図しない妊娠、安全でない中絶が増え、何千人もの女性が命を落とすことになるでしょう。 このままでは、適正な価格で受けられた、質の高い、包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアが、世界中で提供できなくなります。提供できなくなるサービスは、避妊指導や避妊法、ジカウイルス感染症に関する保健情報、母子保健サービス、出産後の母子のケア、生殖器のがん治療、HIV感染の予防や治療など、多岐にわたります。 GGRの影響をもっとも受ける、周辺化された社会に暮らす女性たちは、もっとも貧困で、医療サービスを受けにくい僻地に住む、25歳未満の女性たちです。人々が必要とする保健医療サービスが提供できなくなるために、何百万という人々が取り残され、意図しない妊娠や疾病、SRHに関連する死に追いやられるでしょう。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長のコメントです。 「グローバル・ギャグ・ルールの適用範囲は前代未聞の規模で拡大されます。社会の片隅に追いやられ、医療サービスへのアクセスが非常に限られる人々、貧しい女性やコミュニティが取り残される状況を作ることは、考えられる限りで最悪の事態です」 「GGRに基づいて米国が行動すれば、IPPFが加盟協会(MA)を通じて各国で提供し、女性たちが本当に必要とするサポート、カウンセリング、家族計画サービスなど、その国ではまったく合法な活動が不可能になります。IPPFの活動はやめるわけにはいきません。一度、活動を止めてしまえば多くの命が失われ、その影響は何世代にもわたって続くでしょう」 「女性であればだれでも、妊娠や出産など、自分の身体に起こることを、安全で合法に決めることができるべきだとIPPFは強く信じています。今回の要求は、強いられた妊娠の増加や、場合によってはもっとひどい結末などを招くだけであり、IPPFはこれを受け入れることはできません」   IPPFの試算では、GGRの実施によってIPPFへの資金援助が停止されることによって、妊産婦死亡が2万人、意図しない妊娠が480万件、安全でない中絶が170万件、世界中でさらに増加することになります。   GGRの適用範囲が拡大されると、IPPFが途上国で作り上げてきた保健医療分野のパートナーシップが壊される可能性があります。MAが現地の医療機関等と緊密に連携し、築いてきたリファラル(照会)や患者に対するサポートなどのサービスができなくなるからです。保健医療を提供する側と受ける側が持っていた選択肢が狭まり、双方にとって不利益が生じることになります。 米国国際開発庁(USAID)は、何十年も家族計画と公衆衛生プログラムを強く支持し、援助してきました。例え限られた期間だったとしても、USAIDがGGRの実施に従うことで、USAIDがもっとも得意としてきた活動の中で、多くの命を救うことができなくなります。莫大な活動予算が無になり、USAIDにとっても大きな損失になることでしょう。 今回の政策決定により、IPPFはその活動の中核を担う資金のうち、1億ドルを失います。MAを代表し、IPPFは1月に「IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由」という緊急声明も発表しました。そちらもご参照ください。

フィジーでIPPFとUNFPAがサイクロン被害に遭った住民たちを支援する様子

IPPF事務局長の声明:米国政府のUNFPAへの資金援助停止に対するIPPFの見解

米国政府による国連人口基金(UNFPA)向け拠出金の停止に関する発表を受け、「(この決定は)世界中の女性や少女たちにとって絶望的な結果をもたらすだろう」と、国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるテウォドロス・メレッセは述べました。 メレッセ事務局長の発言は以下の通りです。 「米国政府が援助打ち切ろうとしている資金は、世界でもっとも貧困で、もっとも脆弱な立場にある女性や少女たちのヘルスケアのために使われるはずでした」 「それは避妊、妊産婦ケア、安全な出産をサポートするためだけではなく、ジェンダーに基づく暴力を防ぐためのプログラムにも使われるはずの資金でした」 「IPPFはUNFPAと緊密に連携して、世界中でこうしたケアを提供するのがもっとも困難な状況の中で活動してきました。特に、世界でもっとも貧困な国における、もっとも貧しい地域で活動をしてきました。このような環境に生きる女性や少女たちは特に脆弱な状況にあるため、この資金の打ち切りは、彼女たちに悲惨な 結果をもたらすでしょう」 メレッセ事務局長はさらに、「新しく発足した米国政権による、世界中の女性や少女たちのヘルスケアに対する、今年2回目の打撃です」と加えました。 「グローバル・ギャグ・ルール(メキシコシティ政策)の再導入により、既にIPPFや他の保健医療機関向けの米国の資金援助が打ち切りとなり、避妊サービス、HIVプログラム、ジカ熱の集団感染対策などの活動ができなくなってしまいました」 「(今回の政策によって)IPPFが失う見込みの1億米ドルの資金があれば、2万件の妊産婦死亡を防止できるはずです。また、この資金カットにより480万件の意図しない妊娠、170万件の安全でない中絶が起きる可能性があります」 「一つ、明確にしたいことがあります。米国政府によって打ち切られつつある拠出金は、いずれも中絶の実施や、強制的な生殖に関する政策の助長に費やされるものではありません。これは、(リプロダクティブ・ヘルスにかこつけた理由付けは)資金カットのための隠れみのでしかありません」 「権利に基づいて行動する組織として、IPPFはUNPFAをはじめとする保健医療機関や人権団体と協力し、何千万という女性と少女たちに対し、避妊法をいつ、どのように使うかを選ぶ権利を守り、命に関わるヘルスサービスへのアクセスを保障します」 「UNFPAは各国政府に働きかけ、持続可能な開発目標(SDGs)など、世界共通で合意した政策において協力するように求めています。グローバルな目標の達成は、すべての人々のセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスを守るためにも絶対に必要なことです」 「米国で政権が発足してから3カ月のうちに、重要な保健サービスを、もっとも必要としている人々に届けるための努力が2度も否定されたこときわめて遺憾に思います。この政治的決断によって、何万人もの命が失われることでしょう」

Yemen mobile clinic IPPF

日本政府による拠出に関する発表を受けたIPPFからの発表

日本政府による拠出に関する発表(2017年3月28日付)*を受け、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長から以下のコメントを発表します。 日本政府によるIPPFとUNFPAを通じた性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ:SRHR)への支援の継続に感謝します。米政府資金の大幅減など、世界のSRHRが苦境にある中、日本政府によるこの分野への継続的コミットメントの意思表明を特に歓迎します。 IPPFは、日本政府による長年にわたるIPPFへの支援に感謝します。また、IPPFが目前に差し迫った活動資金の危機を乗り越え、多くの人々(特に女性と少女)の健康と命を守るために、さらなる支援を期待します。 「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現のためには,性と生殖に関する健康と権利に関するサービスの提供が必須であることをここに再度強調します。さらに、そのことがG7伊勢志摩サミット最終成果文書のみならず、国際女性会議WAW!(WAW!2016)最終成果文書、第3回国連防災会議成果文書、第6回アフリカ開発会議(TICADVI)成果文書でも明示されています。これらを可能とした日本政府による世界のUHC実現に向けたリーダーシップに敬意を表し、今後とも日本政府と緊密に連携し、世界の女性の健康と命を守り、持続可能な開発目標(SDGs)という共通の目標を達成するための努力を重ねることを約束します。 * 「国連人口基金及び国際家族計画連盟に対する拠出」(2017年3月28日付プレスリリース)はこちらをご参照ください。

カットされる資金援助があれば、IPPFは、27.5万人のHIV陽性の妊婦のケアができたことでしょう。
08 March 2017

女性の健康は グローバル・ギャグ・ルールでどうなるのか?

米国が再導入を予定するグローバル・ギャグ・ルールによって、世界中で発生する健康への損失を試算しました。再導入により、特に貧困や周縁化されたコミュニティの女性が大きな影響を受けます。    あなたにできること メールアドレスを登録してIPPFの最新情報を入手しよう あなたの寄附でIPPFの活動を支えよう

IPPF・G7ハイレベルラウンドテーブル:G7各国がUHCの実現に喫緊のSRHRへの取り組み強化を表明 

IPPFは、11日から英国で開催されるG7サミット直前の6月7日、オンライン会合G7ハイレベルラウンドテーブル「女性と少女に力を、全ての人々に力を:身体の自己決定権とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」(以下、ハイレベル会合)を英国・カナダ両政府と共同開催しました。 5月3-5日に英国で開催されたG7外務・開発大臣会合で、G7外務・開発大臣は共同コミュニケを発表し、包括的なSRHRサ ービスへの普遍的なアクセスが、人々の命を救い、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する上で 極めて重要と認識した上で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行がSRHRに及ぼす深刻な影響への対処と防止、SRHRの普遍的な実現に向けた進展を加速していくため、G7以外の国々や市民社会との連携を含めた、SRHRへの取り組み強化にコミットしました。 ポストコロナ社会をより良く、より公平なものにするためには、SRHRを社会の中心に据えなくてはなりません。SRHRは健康のみならず、ジェンダー平等の実現にも重要な役割を担っているからです。 このハイレベル会合の大きな目的は、G7・ゲスト国の高官が、前述のコミュニケに含まれたSRHRへの取り組み強化のコミットメントを果たす重要性について話し合い、この機運を11日から英国で開かれるG7サミット、30日からフランスで開催される「平等を目指す全ての世代フォーラム(Generation Equality Forum)」につなげることでした。ハイレベル会合にはG7・ゲスト国の9カ国(米国、英国、インド、オーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、フランス、南アフリカ)より4名の大臣を含む政府高官が参加しました。日本政府からは、小野啓一外務省地球規模課題審議官が出席し、以下のように述べました。 「COVID-19は、脆弱な人々の窮状を悪化させました。最も弱い立場にある人々に最初に手を差し伸べることは、UHCを実現するためにも、また、SRHRを含むCOVID-19に対する効果的なジェンダー対応を確保するためにも重要です」 他の政府高官からは「パンデミックの影響で学校に戻れない何百万人の若者向けに質の高いエビデンスに基づいた教育が欠かせない」、「パンデミックへの対応と、女性と少女のニーズへの対応とを統合できるような、より良い保健システムの構築が必要」などの発言がありました。 ハイレベル会合後、IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは次のように話しました。 「日本政府代表の小野地球規模課題審議官を含むG7ハイレベルラウンドテーブル参加者から受けたSRHRへの力強いコミットメントに大いに勇気づけられました。COVID-19が、人々(特に女性や少女などの脆弱な人々)の健康と生活に大きな影響を及ぼし、健康格差が広がり続けています。G7・ゲスト各国の首脳が、G7外務・開発大臣会合コミュニケで明言した、SRHRの普遍的な実現に向けた取り組み強化のコミットメントを、確実に実行していくことを強く望みます」  

womens rights are human rights

IPPFはバイデン大統領によるグローバル・ギャグ・ルールの撤回を歓迎します

国際家族計画連盟(IPPF)は、バイデン大統領がメキシコシティ政策と呼ばれるグローバル・ギャグ・ルール(GGR)を撤回するという公約を守ってくれたことを歓迎します。    2017年に前政権がGGRの拡大と再導入をしたことにより、意図しない妊娠とハイリスク妊娠、安全でない人工中絶が増え、予防できたはずの妊産婦死亡が増えました。IPPFが32カ国で実施する53件の保健医療プロジェクトが影響を受け、活動資金の60%を失う加盟協会(MA)も出ました。   IPPF事務局長のDrアルバロ・ベルメホは次のように述べました。  「バイデン大統領がグローバル・ギャグ・ルールを撤回する決断をしたのは喜ばしいことです」 「GGRの再導入と拡大によって、女性が自分の身体に関して決定する権利が奪われました。中絶反対運動による中絶ケアへの攻撃がそもそもの政策意図でしたが、リプロダクティブ・ライツを無視した強制力として働き、中絶ケアにとどまらず、より広い範囲の保健医療サービスの提供にまでその影響が及びました。これにより、HIV予防プログラム、母子保健、避妊法の提供などの面で、あらゆる人々が被害に遭いました。 「これから何年もかけて、GGRによってもたらされた弊害をあらため、米国とより強靱で良好な絆を育んでいかなければなりません。将来、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)を否定する政権に代わったとしても、事業が被害を受けないように。未来の女性と少女たちの権利を守るため、恒久的にGGRを廃止するために必要な手段をとるよう、バイデン-ハリス政権に要請します。恒久的に廃止しない限り、GGRは女性、少女、若者、脆弱なコミュニティにとって常に脅威であり続けるでしょう。リプロダクティブ・ライツ、身体の自律、自分の身体のことは自分で決めるという人権は、大統領のサイン一つで変わるものであってはなりません。  「IPPFは今後、バイデン-ハリス政権と緊密に連携し、すべての人々のSRHを守り、促進する機会を望み、歓迎します」   全米家族計画連盟(PPFA)のアレクシス・マギル・ジョンソン会長・CEOは、次のように述べました。  「過去4年間、米国はグローバルなリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスを拡大する支援をし損なっただけでなく、積極的に妨害しました。今日、バイデン-ハリス政権がGGRによる破壊を止め、新しい章が始まることを称賛します。GGRは世界中で何百万もの人々が必須医療ケアを受けることを阻みました。グローバルヘルス・エンパワーメント・ライツ法(Global HER Act)を成立させ、米政権の移行に関係なく、恒久的に世界のSRHケアへのアクセスが守られるよう、今後、政権と米国議会と連携していくことを楽しみにしています。今こそ米国が世界に向けて『リプロダクティブ・ライツは人権だ』と誇り高く宣言すべき時です」   GGRによる資金不足を補うために、拠出をしたり、増額してくださった国際社会にIPPFは感謝しております。今後もセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)実現のため、協力していきましょう。   メディアの方からのお問合せはIPPF東京連絡事務所(公益財団法人ジョイセフ):[email protected]までお願いします。 

バングラデシュでCOVID-19下、SRHサービスを提供するIPPFバングラデシュのコミュニティヘルスワーカー

COVID-19関連:日本政府がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ促進を要請する共同声明に賛同

5月6日、59か国が賛同する「COVID-19危機下においてセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを擁護しジェンダーに基づいた対策の促進を求める」共同プレス声明が発表されました。日本政府も賛同国に加わっています。 共同声明は、主に以下の点を主張しています。 COVID-19が女性と男性に与える影響は異なる 女性と少女に対する暴力を防止するための特別な措置を導入しなければならない 緊急支援によって、難民、移民、国内避難民であるすべての女性と少女が守られるべき 社会心理学的な支援サービスを含むセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ニーズ、ジェンダーに基づく暴力(GBV)からの保護を優先する 学校が休校となる中、思春期の保健、権利、福祉を保障するため、社会的保護の責任を政府が負わなければならない すべてのレベルにおける意志決定への女性と少女の積極的な参加とリーダーシップの発揮を支援する ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の文脈において、セクシュアル・ヘルス(SRH)サービスは不可欠 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への資金提供を優先事項として残すことで、妊産婦と新生児死亡、避妊のアンメットニーズ(充足されていないニーズ)、安全でない中絶、性感染症の増大を避けなければならない 助産師、看護師、コミュニティヘルスワーカーの活動には個人防護服・防護具(PPE)が欠かせない 妊婦の呼吸器疾患、特にCOVID-19感染症は、悪化のリスクが高まるため、優先的に治療しなければならない 生殖可能年齢にあるすべての女性と少女に必要なリプロダクティブ・ヘルス関連の物資を提供することを約束する 特に脆弱な国々への緊急支援への参加と、保健医療ケアへのユニバーサルなアクセスを実現するというグローバルなコミットメントが完全な効果を持つための支援を要請 声明のPDFと詳細についてIはPPF東京連絡事務所であるジョイセフのページをご参照ください。 ※写真はIPPFバングラデシュ(FPAB)のコミュニティヘルスワーカーがCOVID-19下、SRHサービスを提供する様子です。  

30 October 2019

IPPFテクニカル・ブリーフ:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康と権利:SRHR)の新定義

この文書は、グットマッハー・ランセット コミッションが2018年5月に発表した報告書に基づいて、人権の観点からエビデンスに基づいた、包括的なセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康と権利:SRHR)の新しい定義と、推奨される必須SRHR関連事業の包括的なパッケージについて、1ページにまとめました。

30 June 2017

Vision 2020 ジェンダーレポート

IPPF VISION2020 ジェンダーレポート ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントを目指して 女性のエンパワーメントやジェンダーの平等には、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の実現が不可欠です。女性が健康で、自分の健康や幸福、性に関する選択ができる社会でなければ、少女や女性が、妊娠・出産で命を落とす危険や、暴力に脅えることなく、教育を受けたり、活躍したりすることが望めないからです。この冊子では、女性が社会、経済、政治の場面で活躍するために必要な SRHRの実現について考えます。  

IPPFの支援を受ける家族(スリランカ)

IPPF、マリー・ストープス・インターナショナルとの新たな連携に合意:世界中の家族計画サービス強化へ向けて

国際家族計画連盟(IPPF)と英国の国際NGO、マリー・ストープス・インターナショナル(MSI)は、6月の第2週に開かれた年次ドナー会議において新たに組織間の連携について合意したことを発表しました。IPPFとMSIは、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)に関するサービスの提供が困難な状況になることに対処するため、連携を新たにしたものです。 IPPFとMSIは、それぞれがもつ組織の能力を投入し、ドナーから提供された資金のすべてを、女性と少女たちのために使うことを約束しました。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長と、サイモン・クックMSI最高執行責任者(CEO)によって署名された合意書には、競争と協力がもたらす価値が確認されています。競争と協力があってこそ、両者はサービス、啓発活動、データ収集の品質や効率性を、グローバル、地域、国内それぞれのレベルで向上させることができます。 また、合意書に基づき、IPPFとMSIは12カ国において国内計画を合同で開発していく予定です。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は、合意に際し、次のように述べました。「SRHRサービスをめぐるグローバルな環境は大きく変わりました。私たちはサービス提供数を増やすため、国ごとに新しい方法を探し出さなければなりません。この合意が持続的な変化のきっかけとなり、世界中のどこであれ、SRHRサービスを手にする人たちの一人ひとりが最良の対応とサービスを受けられるようになるでしょう」 サイモン・クックMSI最高執行責任者は次のように話しました。「IPPFとの連携拡大に意欲をもって取り組みます。具体的なプロジェクトを通じて、途上国の女性と少女たちが避妊法や安全な中絶サービスが受けられるようになり、自分たちの将来を自分で決められるようにする手助けをしていきます。私たちのサービスを必要とする何百万という女性たちにとって最良の結果を出していくことが、 MSIとIPPFの双方にとって最優先の課題です」 IPPFとMSIは、次の3つの分野で協力することに合意しました。 サービス提供 サービスの重複を減らすため、国ごとの調整を強化する 国家レベルの保健システムのサービス格差を減らすため、共同歩調をとる SRHRサービスの提供地域を拡大する サービスデリバリの経路やその組み合わせを増やす 相互のレファラル(照会)システムを必要に応じて強化する サプライチェーンの強化 学びや知見の共有を増やす サービスを受ける個人の権利に基づくサービスを提供する 提供者のニーズを満たす アドボカシー(啓発) 共同のアドボカシー活動に沿った派遣計画を実施する サービスを最も受けづらい人々にサービスを拡大するアドボカシー活動を行う それぞれの地域の事情や政治情勢に合わせて政策とアドボカシー活動をマッピングし、分担を決める FP2020の進捗と実施に関し、国とグローバルなレベルにおける主要な成果物を定め、アドボカシーの課題、共同計画案、アカウンタビリティを進める データ 各種データ分析ツールやプロセスを共同で使用し、互いに支援することで効率性を向上させる アドボカシー活動のためにデータ共有を進める 指標や報告の質の向上のため、共同で改善行動を実施する サービス受益者に基づいたデータを使用できるようにして、保健状況の改善を目指す 共同リサーチのアジェンダを開発する IPPFの最新情報を受け取る

A young female client helped by a project via IPPF

グローバル・ギャグ・ルールの適用拡大が及ぼす世代を超えた悪影響

米国による グローバル・ギャグ・ルール(GGR)の適用範囲の拡大( https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270866.htm)により、世界でもっとも貧困に苦しむ女性と少女たちの何百万という命が脅かされると、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は訴えています。 グローバル・ギャグ・ルール(GGR、メキシコシティ政策とも言われている)の適用範囲が拡大されれば、地球上で貧困に苦しむ多くの女性たちが、命にかかわる医療ケアを受けることができなくなります。それにより、意図しない妊娠、安全でない中絶が増え、何千人もの女性が命を落とすことになるでしょう。 このままでは、適正な価格で受けられた、質の高い、包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアが、世界中で提供できなくなります。提供できなくなるサービスは、避妊指導や避妊法、ジカウイルス感染症に関する保健情報、母子保健サービス、出産後の母子のケア、生殖器のがん治療、HIV感染の予防や治療など、多岐にわたります。 GGRの影響をもっとも受ける、周辺化された社会に暮らす女性たちは、もっとも貧困で、医療サービスを受けにくい僻地に住む、25歳未満の女性たちです。人々が必要とする保健医療サービスが提供できなくなるために、何百万という人々が取り残され、意図しない妊娠や疾病、SRHに関連する死に追いやられるでしょう。 テウォドロス・メレッセIPPF事務局長のコメントです。 「グローバル・ギャグ・ルールの適用範囲は前代未聞の規模で拡大されます。社会の片隅に追いやられ、医療サービスへのアクセスが非常に限られる人々、貧しい女性やコミュニティが取り残される状況を作ることは、考えられる限りで最悪の事態です」 「GGRに基づいて米国が行動すれば、IPPFが加盟協会(MA)を通じて各国で提供し、女性たちが本当に必要とするサポート、カウンセリング、家族計画サービスなど、その国ではまったく合法な活動が不可能になります。IPPFの活動はやめるわけにはいきません。一度、活動を止めてしまえば多くの命が失われ、その影響は何世代にもわたって続くでしょう」 「女性であればだれでも、妊娠や出産など、自分の身体に起こることを、安全で合法に決めることができるべきだとIPPFは強く信じています。今回の要求は、強いられた妊娠の増加や、場合によってはもっとひどい結末などを招くだけであり、IPPFはこれを受け入れることはできません」   IPPFの試算では、GGRの実施によってIPPFへの資金援助が停止されることによって、妊産婦死亡が2万人、意図しない妊娠が480万件、安全でない中絶が170万件、世界中でさらに増加することになります。   GGRの適用範囲が拡大されると、IPPFが途上国で作り上げてきた保健医療分野のパートナーシップが壊される可能性があります。MAが現地の医療機関等と緊密に連携し、築いてきたリファラル(照会)や患者に対するサポートなどのサービスができなくなるからです。保健医療を提供する側と受ける側が持っていた選択肢が狭まり、双方にとって不利益が生じることになります。 米国国際開発庁(USAID)は、何十年も家族計画と公衆衛生プログラムを強く支持し、援助してきました。例え限られた期間だったとしても、USAIDがGGRの実施に従うことで、USAIDがもっとも得意としてきた活動の中で、多くの命を救うことができなくなります。莫大な活動予算が無になり、USAIDにとっても大きな損失になることでしょう。 今回の政策決定により、IPPFはその活動の中核を担う資金のうち、1億ドルを失います。MAを代表し、IPPFは1月に「IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由」という緊急声明も発表しました。そちらもご参照ください。

フィジーでIPPFとUNFPAがサイクロン被害に遭った住民たちを支援する様子

IPPF事務局長の声明:米国政府のUNFPAへの資金援助停止に対するIPPFの見解

米国政府による国連人口基金(UNFPA)向け拠出金の停止に関する発表を受け、「(この決定は)世界中の女性や少女たちにとって絶望的な結果をもたらすだろう」と、国際家族計画連盟(IPPF)事務局長であるテウォドロス・メレッセは述べました。 メレッセ事務局長の発言は以下の通りです。 「米国政府が援助打ち切ろうとしている資金は、世界でもっとも貧困で、もっとも脆弱な立場にある女性や少女たちのヘルスケアのために使われるはずでした」 「それは避妊、妊産婦ケア、安全な出産をサポートするためだけではなく、ジェンダーに基づく暴力を防ぐためのプログラムにも使われるはずの資金でした」 「IPPFはUNFPAと緊密に連携して、世界中でこうしたケアを提供するのがもっとも困難な状況の中で活動してきました。特に、世界でもっとも貧困な国における、もっとも貧しい地域で活動をしてきました。このような環境に生きる女性や少女たちは特に脆弱な状況にあるため、この資金の打ち切りは、彼女たちに悲惨な 結果をもたらすでしょう」 メレッセ事務局長はさらに、「新しく発足した米国政権による、世界中の女性や少女たちのヘルスケアに対する、今年2回目の打撃です」と加えました。 「グローバル・ギャグ・ルール(メキシコシティ政策)の再導入により、既にIPPFや他の保健医療機関向けの米国の資金援助が打ち切りとなり、避妊サービス、HIVプログラム、ジカ熱の集団感染対策などの活動ができなくなってしまいました」 「(今回の政策によって)IPPFが失う見込みの1億米ドルの資金があれば、2万件の妊産婦死亡を防止できるはずです。また、この資金カットにより480万件の意図しない妊娠、170万件の安全でない中絶が起きる可能性があります」 「一つ、明確にしたいことがあります。米国政府によって打ち切られつつある拠出金は、いずれも中絶の実施や、強制的な生殖に関する政策の助長に費やされるものではありません。これは、(リプロダクティブ・ヘルスにかこつけた理由付けは)資金カットのための隠れみのでしかありません」 「権利に基づいて行動する組織として、IPPFはUNPFAをはじめとする保健医療機関や人権団体と協力し、何千万という女性と少女たちに対し、避妊法をいつ、どのように使うかを選ぶ権利を守り、命に関わるヘルスサービスへのアクセスを保障します」 「UNFPAは各国政府に働きかけ、持続可能な開発目標(SDGs)など、世界共通で合意した政策において協力するように求めています。グローバルな目標の達成は、すべての人々のセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスを守るためにも絶対に必要なことです」 「米国で政権が発足してから3カ月のうちに、重要な保健サービスを、もっとも必要としている人々に届けるための努力が2度も否定されたこときわめて遺憾に思います。この政治的決断によって、何万人もの命が失われることでしょう」

Yemen mobile clinic IPPF

日本政府による拠出に関する発表を受けたIPPFからの発表

日本政府による拠出に関する発表(2017年3月28日付)*を受け、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長から以下のコメントを発表します。 日本政府によるIPPFとUNFPAを通じた性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ:SRHR)への支援の継続に感謝します。米政府資金の大幅減など、世界のSRHRが苦境にある中、日本政府によるこの分野への継続的コミットメントの意思表明を特に歓迎します。 IPPFは、日本政府による長年にわたるIPPFへの支援に感謝します。また、IPPFが目前に差し迫った活動資金の危機を乗り越え、多くの人々(特に女性と少女)の健康と命を守るために、さらなる支援を期待します。 「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現のためには,性と生殖に関する健康と権利に関するサービスの提供が必須であることをここに再度強調します。さらに、そのことがG7伊勢志摩サミット最終成果文書のみならず、国際女性会議WAW!(WAW!2016)最終成果文書、第3回国連防災会議成果文書、第6回アフリカ開発会議(TICADVI)成果文書でも明示されています。これらを可能とした日本政府による世界のUHC実現に向けたリーダーシップに敬意を表し、今後とも日本政府と緊密に連携し、世界の女性の健康と命を守り、持続可能な開発目標(SDGs)という共通の目標を達成するための努力を重ねることを約束します。 * 「国連人口基金及び国際家族計画連盟に対する拠出」(2017年3月28日付プレスリリース)はこちらをご参照ください。

カットされる資金援助があれば、IPPFは、27.5万人のHIV陽性の妊婦のケアができたことでしょう。
08 March 2017

女性の健康は グローバル・ギャグ・ルールでどうなるのか?

米国が再導入を予定するグローバル・ギャグ・ルールによって、世界中で発生する健康への損失を試算しました。再導入により、特に貧困や周縁化されたコミュニティの女性が大きな影響を受けます。    あなたにできること メールアドレスを登録してIPPFの最新情報を入手しよう あなたの寄附でIPPFの活動を支えよう