アミ - 命を救うHIVと子宮頸がんの統合 プログラム

IPPF 日本信託基金

アミ

命を救うHIVと子宮頸がんの統合 プログラム

子宮頸がんは、HIVと共に生きる女性の間で最も多く見られるがんで、HIVと共に生きる女性が子宮頸がんを発症するリスクは、そうでない女性の6倍です。

一方、子宮頸がんは、検診と早期治療により予防できるがんでもあります。低コストの視診による子宮頸がん検診と前がん病変の予防的治療技術の出現により、子宮頸がんの初期徴候を見つけ出し治療をすることは、これまで以上に容易になりました。

2017年から2019年にかけて実施されたIPPF日本信託基金(JTF)プロジェクトで、IPPFトーゴ(ATBEF)は、この検診と治療をトーゴに導入しました。これにより、これまでトーゴの医療制度に欠けていた効果的な子宮頸がん予防サービスが利用可能になりました。

さらに、ATBEFは、子宮頸がん検診と治療をHIVと共に生きる女性のための医療サービスパッケージに盛り込みました。トーゴでは初めて、HIVと共に生きる女性は、 セクシュアル・リプロダクティブヘルスサービスパッケージの一環として、子宮頸がんの検診と治療を受けることができるようになったのです。単一の訪問アプローチは功を奏し、フォローアップ訪問の割合も増加しました。

ATBEFのサービスを受けるすべてのHIVと共に生きる女性は、プロジェクトが毎年提供する無料の子宮頸がん検診に登録されました。

そのうちの一人が 56歳 のアミです。アミは2003年にATBEFのクリニックでHIV陽性と診断を受けました。

「それは大変な打撃でした。最初はその事実を受け入れること自体が困難で、まだ幼かった子供たちを残して家を出ようかと思ったほどでした。この新しい現実に慣れるまで3ヶ月以上かかりました」と彼女は言います。数ヶ月という時間をかけて、彼女はATBEFのカウンセラーのサポートを受けながら、この現実に向き合うことができるようになったのです。

そして、彼女は大きな決断をしました。HIVとの戦いに取り組むと。2004年にATBEFのボランティアになり、現在はHIV検査ユニットで人気のカウンセラーです。カウンセラーとしての、そしてHIVと共に生きる女性としての経験をもつ彼女は、理想的な子宮頸がん検診推奨者です。

ATBEFはHIV プログラムを、低コストの子宮頸がん検診サービスや若い女性や少女のための保健サービスについて話すときの、最適な糸口と位置付けています。

「私たちは、生殖年齢のすべての女性に、前癌性病変のスクリーニングと治療について話します」とアミは言います。

「ATBEFでは統合されたサービス提供を行っているので、HIVの検査前と検査後のカウンセリングでは、ATBEFが提供する幅広いサービスの全てについて話します。また、女性の家族に伝えられるように、男性にも子宮頸がんについて話します。JTFプロジェクトが子宮頸がんを予防する絶好の機会であることを説明するのですが、それをきいた女性の中には、その場で検診を希望する人もいるほどです。」

即時の検診と治療、しかも無料

「HIVと共に生きる女性は皆、子宮頸がん検診を受ける機会を歓迎しました。それは、彼女達が自分の子宮頸がんに対するリスクが高いことを理解しているからですが、それが無料であることも大きな理由です。検診が痛みを伴うと思った人もいましたが、私たちは、それが医師の視診による前がん病変のスクリーニングに過ぎないことを説明して、安心させました。彼女達は、検診結果がその場でわかり、治療も無料であることを、さらに喜んでいました。

「HIVと共に生きる女性が毎年検診の費用を払うのは容易ではありません。ですから、このサービスを無料で提供できるプロジェクトは、経済的負担の心配をなくし、受診を可能にすることを意味します。

ATBEFでは現在、1,308人のHIVと共に生きる人々がそのサービスを利用しています。アミはこの利用者たちに強い親しみと共感を持っており、戸別訪問を通じて彼らの抗レトロウイルス療法などの経過を見守ります。「私はいくつかのカップルのカウンセラーになりましたが、その内の多くとは、腹心の友となりました。」と彼女は言います。

「私は、仲間として、友人として、彼女達の多くに病変が見つかっていないことをとても嬉しく思っています。ある時、前がん病変の見つかった女性がいました。彼女は最初ショックを受け、はとても苦しみ、「私はHIV陽性と子宮頸がんで、もう長く生きられないわ」とまで言いましたが、後に前がん病変が治療できる深刻なものではないと納得し、安心しました。彼女は治療を無事に終え、今も元気です。

コミュニティがHIV関連サービスと子宮頸がん関連サービスの統合への取り組みの中心にいなければなりません。アミが言うように、HIVと共に生きる女性や女性の権利と青年運動のネットワークは、子宮頸がんとの戦いの力強い味方です。彼女は2005年に創設されたHIV陽性の女性協会の創設者でありメンバーです。

「前がん病変の検診は、毎週金曜日のHIVカウンセリングの議題の一つです。実際のところ、全メンバーが既に検診を受けています。

「私自身検診を受けました。病変は検診で見つかりましたが、幸いなことにがんではなく、私は毎年定期的に検診を受けています。

「女性にとって、特にHIV陽性の女性にとって、検診を受けることは良いことだと思います。無知のままで、がんになるよりも、検診を受ける方が良い。私はこの検診の恩恵を受けられて幸せです。

「ある女性が言った言葉を思い出します。『私は、すでに深刻な病気を抱えているのに、さらにまた別の危険な病気。特に、無料で検診を受けられて、必要ならば治療もしてくれるというものを、受けない理由はどこにある?』」

検診を受けた女性の多くは友人にも話しました。「このJTFプロジェクトは、特にHIVと共に生きる女性に焦点を当てているところが、非常に有益だと思います 。私達は、HIV陽性の女性に対して検査を続け、この病気に対するすべての女性の意識を高め続けるべきです。」

このJTFプロジェクトは、統合サービスというアプローチにより、HIVと子宮頸がんという2つのプログラムの垣根をなくしました。それが賢い投資と救命であることを証明したのです。

プロフィール

アミは3人の子供の母親で、現在56歳です。彼女は2003年7月に、ATBEFクリニックでのHIV検査によってHIV陽性であることを知りました。

彼女の夫は自身のHIV陽性の現実を受け入れられず、薬によるきちんとした治療を続けませんでした。彼が亡くなったとき、アミは自分に言い聞かせました。「生きてやる」と。

彼女は、HIVにおしつぶされるのではなく、仲間と一緒にHIVと戦うと決め、2004年にATBEFのボランティアとなり、現在はHIV検査ユニットの心理社会的カウンセラーをしています。アミは、彼女の新しい人生、彼女が他の人に与えるサポート、そして彼女が得た信頼を誇りに思っています。

現在、アミの血液中ウイルス濃度は検出不可能なほどに抑えられており、彼女はHIV陽性であっても健康に生活を送れることの生き証人です。彼女は、より多くの時間を他の人への奉仕に捧げるつもりでいます。

公開日 2021年2月2日