
「私は、少女たちを追い帰すことは、彼女達を望まない妊娠に追いやることだと思っています。これこそJTFプロジェクトが埋めたギャップであり、それが妊産婦死亡率と罹患率の減少につながっています。」
2018年から2年間、IPPFウガンダ(RHU)が実施したIPPF日本信託基金(JTF) プロジェクトでは、官民パートナーシップにより、それまで医療サービスが届かなかった女性と少女が、子宮頸がん検診、HIV検査、家族計画サービスなどのセクシュアル・リプロダクティブヘルスサービスを受けられるようになりました。
暑い金曜日の朝、マリアム(仮名)はウガンダ北部にあるグル市の道端で 鉄板で覆われた屋台に野菜を並べています。交通量の多いこの道に沿って、周りには他にも多くの屋台がひしめきあっています。
40歳のマリアムには8人の子供がいます。これは、大家族を美徳とする農村部の文化的規範の中に育った多くの女性の現実です。けれども、家計がぎりぎりまで逼迫し、彼女は、秘密裏にでも避妊を始める時が来たと決めました。
「私の宗教は家族計画を許しません。(中略) 私達は教会で結婚しました。もし夫が私の避妊を知ったら、彼は祭司に通知するでしょう。」
更なる問題は、8人の子供を育てる負担が彼女の肩にかかっていることです。「子供たちに食べさせるものをみつけ調理するだけでなく、彼らに着るものを着せて教育を受けさせることにも苦労しています。」と彼女は言います。
「避妊を必要とする少女たちが追い帰されるのを見たことがあります。」
マリアムは自分の貯金を切り崩して避妊をしていました。
「高かったです。3ヶ月毎に注射式避妊の費用を払わなければなりませんでした。」と彼女は言います。
民間医療施設である聖バキタ・メディカルクリニックを運営するドリーン・オラアは、過去何年もの間、女性が自分で自分のリプロダクティブヘルスに関する意思決定をできるよう、力を貸してきました。ドリーンは、「人に会うのはその人のいるところで」を信条としているので、さまざまな方法で彼女達に近づきます。
「私は、大学の学生や私のクリニックの近くで小さなキオスクを営む女性たちに、保健教育の話をします。」と彼女は言います。「私は、ラジオのリプロダクティブヘルスのトークショーのパネリストもしています。」
ここ2年間、JTFプロジェクトの支援を受けて、ドリーンのクリニックは女性や少女に無料のセクシュアル・リプロダクティブヘルスサービスを提供してきました。
「私は避妊を必要とする多くの10代の少女たちが、お金を持っていないために民間 のクリニックから追い帰されるのを見てきました。私は、少女たちを追い帰すことは、彼女達を望まない妊娠に追いやることだと思っています。これこそJTFプロジェクトが埋めたギャップであり、それが妊産婦死亡率と罹患率の減少につながっています。」
さらに、ドリーンは、JTFプロジェクトによって、少女達への向き合い方が変わったとも言います。
「以前は、13歳という若さで、クリニックに家族計画を求めてやってくる少女たちに批判的でした。そんなことを考えるにはまだ若すぎる!と思っていたんです。でも、研修を受けた後、年若い女の子が避妊具・薬を必要とするのは、その子が性交渉をもっているからだと、学びました。私たちは、彼女とカウンセリングをして、サービスを提供し、守秘義務を守らなくてはなりません。私は彼女を支えることで、国全体を支えているのです。」と、ドリーンは言います。
ケアの質に重きを置いて
JTFプロジェクトは、ケアの質、廃棄物の安全な処理法、感染制御などに焦点をあてた研修も行いました。こういった研修は、ドリーンが利用者の満足度を測るのにも役立ちました。
ヘレン・レイカーはドリーンのクリニックに来る女性の一人です。32歳の3児の母は、聖バキタ・メディカルクリニックのすぐ外に屋台を出しています。
「私は16歳の時に最初の子供を出産し、学校を中退しました。私の子供たちは皆父親が違うのですが、私はまもなく、男性が私を妊娠させては離れていくものだと気づきました。ドリーンが避妊を勧めてくれるまでは、望まない妊娠をしないよう自分を守ることは難しく、中絶せざるを得ない状況におちいったこともありました。」と、彼女は言います。
「(ドリーンのクリニックでは)避妊が 無料なので、私は他の物売りの女たちも連れて行きました。彼女達は、少ない収入でも、私が3人の子供を育てながら避妊を続けることができるのを見ています。私は今、自分が以前より賢くなったと感じています。私はこれ以上子供は欲しくないのです。」とヘレンは言います。
家族計画への意識改革が必要
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