キエフに来れば、一見、他国の都市と変わらないような印象を受けるかもしれません。人々は仕事に行き、子供たちを学校に送り、買い物をし、若者たちは人生を謳歌しているように見えるしょう。しかし、人々の内面に目を向けると、心は傷つき、長い間、ぎりぎりの精神状態で過ごしています。2年間の戦争は、すべてのウクライナ人に深い傷跡を残しました。私のチームでは、ある女性は夫を失い、別の女性は兄弟を失い、実家は占領下にあるといいます。このような話が何十万とある状況で、キエフが他国の街と同じように明るく活気があるとはとても言えないでしょう。
私たちは毎日、眠りにつくときに、攻撃の情報がないかチェックし、避難所に行く準備をしています。コロナ禍のマスクのように、毎日の空襲警報は当たり前となり、フェイスブックのフィードは死亡情報の場と化しています。
このような状況でも、私たちは戦い、働き、団結し続け、諦めることはありません。ウクライナの医療制度は大きく変容し、投資と開発が必要だからです。クライアントたちは、かつてないほど助けを必要としています。
人道危機による恐ろしい荒廃の中で、人々は何よりもまず安全と保護を必要としています。SRHサービスは命を救い、さらなる苦しみを防ぎます。
when
country
ウクライナ
region
欧州
Subject
人道支援
Related Member Association
Women Health and Family Planning - Ukraine
私が率いるIPPFウクライナ(WHFP)は、27年間、ウクライナで公衆衛生とSRHRを促進するために積極的に活動してきました。WHFPは保健専門家の指導や物資供給度の向上など保健施設への投資、国レベルでのアドボカシー活動、包括的性教育(CSE)、若者の参加促進などによって、人々の包括的な保健サービス(CHS)へのアクセスを確保するために活動しています。
2年前にロシアがウクライナに侵攻した際、WHFPはすぐに活動の軸足をウクライナの国内避難民(IDP)への支援提供に移しました。IDPは、あるクライアントが「筆舌しがたい地獄」と評したロシア占領地域から避難してきています。私たちは、9カ所の安全な人工妊娠中絶のモデルクリニックを設立し、59カ所のバリアフリーの婦人科キャビネット(地域病院内の特別室)を通じて障害のある女性にSRHサービスを提供することで、国内避難民のSACアクセスを確保することができました。さらに5,850人の医療専門家のトレーニングを行い、123,032人の女性にSRHサービスを提供しました。
ウクライナ経済は大きな打撃を受けました。戦前から、経済的な弱点は人口動態にあり、出生率はわずか1.2と、ヨーロッパで最低水準です。ウクライナの難民と国内避難民を合わせると、人口3,730万人のほぼ3分の1に達しました。経済と労働力を強化するため、避難している女性たちをウクライナに戻すよう求める声が政府高官から上がっています。また生殖的強制(Reproductive Coercion)をめぐる懸念はくすぶっており、サービス提供者が望まない妊娠を継続するよう強要したり、安全な中絶に消極的であることが明らかになっています。
私たちはこの2年間で多くのことを達成しましたが、ニーズはまだあります。世界の他の危機がメディア、政治家やドナーの関心を集める中、ウクライナでの戦争は続いています。私たちはウクライナの女性たちを支援するために日々活動していますが、さらなる援助が必要です。
写真提供 IPPF/Hannah Maule-ffinch/ウクライナ