プロジェクト期間 2020年1月~2021年12月
実施した加盟協会 IPPFアフガニスタン(AFGA)
目標
アフガニスタンの3省で、脆弱な人々、特に貧困、周縁化、サービス未提供の人々に多角的なアプローチで質の高い統合されたSRHサービスへのアクセスを向上することで、満たされていないSRHニーズを減らす。
活動
アフガニスタンの脆弱でサービス提供の少ないコミュニティにある満たされていないSRHニーズを減らすため、a) カブール、カピサ、パルワン、ヘラートで88,312名の脆弱な人々、特に若い女性と少女にSRHサービスと情報を提供する、b) セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)について人々を啓発し、コミュニティの指導者が女性と少女がSRHサービスを受けやすくするよう、支援する環境を作ること。コロナ禍とタリバーンの権力掌握による交通と安全への懸念から、ヘラートでのプロジェクト実施は見送られました。
背景
アフガニスタン国内の戦争が背景にあってプロジェクトが考えられました。紛争によってインフラが破壊され、人々の殺害・避難が続き、多くの地域では開発プロジェクトができませんでした。アフガニスタンの高い人口増加率と年功序列の社会規範(高齢の男性が年下の男性と女性に対して権力を行使する)があるために、開発と全体的な人々の福祉に課題と障壁が立ちはだかりました。

成果
課題が多くSRHサービスのニーズが非常に高い時にプロジェクトが実施されたため、女性、少女、周縁化された人々のSRHサービスへのアクセス増加に重要な役割を果たしました。コミュニティでアウトリーチを担当する助産師、クリニック、モバイル・クリニックでサービスを提供した他、宗教指導者の支援を受けて安全にSRHRを満たせる環境をパルワン、カピサ、カブールで作れたことによります。
AFGAは各省の公衆衛生当局と緊密に連携し、貧困で脆弱な人々と国内避難民、障がい者、イランとパキスタンからの帰国者が多い地域を識別しました。
AFGAがプロジェクトを実施するにあたり、大きな難題が立ちはだかりました。まず、保健医療に関する海外援助の大部分がコロナ禍対応に向けられたため、AFGAのサービスへのニーズが急増したこと。さらに、タリバーンの権力掌握した2021年8月以降、実質的に機能する政府機関がなくなり、超保守派政権になってしまったがためにプロジェクト運営が非常に困難になったことです。
カブールのコミュニティのため、モバイル・クリニックを各地で実施しました。AFGA以外の医療機関がコロナ対応に集中し、海外のドナーが援助を控えたため、SRHサービスのニーズは非常に高くなりました。AFGAのカブールチームはクリニックの毎週の診療時間を倍増し、SRH以外のサービスを提供することで、SRH専門ではなく母子保健とプライマリーケアを提供する機関として知られるように努めました。モバイル・クリニック活動によってAFGAの認知と信頼がコミュニティに広がりました。
AFGAはパルワン病院に常設のSRHクリニックを開き、それまでSRHサービスがなかったパルワンとカピサのコミュニティに活動を広げました。プロジェクト終了後も、AFGAはIPPFの使途を制限しない援助を受けて、SRHサービスの提供を続けています。
プロジェクトを成功に導いた大きな要因として、60名の宗教指導者と協働し、イスラム教の文脈に基づいたポジティブなSRHメッセージを作ったことがあります。このメッセージを指導者たちは自分の講話で語り、さらにコミュニティのイベントやラジオでも流れました。

数値で見る成果
指標 | 目標数 | 合計 |
提供した保健医療サービス数 | 353,248 | 353,429 |
提供したSRHサービス数 | 344,044 | |
上記のうち避妊法サービス | 91,243 | |
上記のうちHIV関連サービス | 33,105 | |
SRH以外のサービス数 | 9,385 | |
配付したコンドーム数 | 458,464 | |
SRHサービスを受けた人数 | 88,312 | 173,873 |
情報提供を受けた人数 | 88,312 | 173,846 |
ポジティブなSRHRメッセージを受け取った人数 | 472,500 | 929,254 |
研修を受けたコミュニティ活動をする助産師数 | 10 | 10 |
SRHR講習を受けた宗教指導者数 | 60 | 60 |
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