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JTF

ネパールの地震被災地に住む女性が統合されたSRH-HIVサービスを受けやすくなるプロジェクト

プロジェクト期間 2019年10月~2021年9月

実施した加盟協会 IPPFネパール(FPAN)

目標

ネパールの震災で被災したカトマンズ、カヴレ、マクワンプルで実施されたプロジェクトでは、脆弱な女性と少女たちのSRHサービスへのアクセスを助け、必須初期対応サービスパッケージ(MISP)の導入によって災害への備えを改善し、照会システムの強化を図りました。

活動

目標1 プロジェクト終了までに、被災地の脆弱なコミュニティに住む37,530名の女性が、HIVを含む統合されたSRHRサービスを受けやすくすること。

目標2 プロジェクト終了までに、3つの地区でMISPを使って被災時にSRHRニーズに応えられるようにし、災害への備えを改善すること。

目標3 関連機関とのパートナーシップを強化し、3つの地区で利用者のサービス利用を追跡できるシステムを設置し、フォローアップに来ない利用者をできるだけ減らすこと。

背景

新型コロナウイルスの影響がネパールでは甚大でした。そのため、洪水被害に遭ったカヴレのメラムチなどでは、SRHサービスのニーズがかつてないほどに高まりました。その結果、当初の目標の2.6倍ものSRHサービス数を当初の2倍の利用者に提供しました。他の医療機関(国立病院を含む)は閉鎖、もしくはSRHを提供しなかったため、パンデミック下におけるSRHサービスの重要性は非常に高まりました。

成果

プロジェクト関係者は女性と少女を対象にしたサービスを、必須サービスの統合パッケージ(IPES)に基づいて3つのチャネルで提供しました。医師によるモバイル・クリニック、看護師によるアウトリーチ・クリニック、地域の保健推進員(CBD)です。CBDはピア・エデュケーターと女性RHボランティアです。モバイル・クリニックで人気の高かったサービスは家族計画、非外科的精管切除と避妊法インプラントでした。子宮脱治療と子宮頸がん検査など婦人科サービスの需要も高く、特にクリニックから遠い農村部で暮らし、滅多に村から出たりしない女性たちがサービスを歓迎しました。25歳未満の若者が利用者の25%を占めました。

SRHとHIVニーズへの対応を向上させることで災害への備えを改善できるよう、研修モジュールが更新されました。IPES、性感染症とMISPの追加研修をそこに加わりました。MISPの実践により、災害時のSRH対応の準備状態を向上したことで、パンデミック当初のリプロダクティブヘルスニーズに対応できました。災害への備えを進めていたことで、被災地の基本的な人道ニーズ、つまりリプロダクティブヘルスサービスの提供とSGBVの予防と対応などは、メラムチの洪水被害など、他の災害でも活用されました。

プロジェクト成果としては、地区レベルのコーディネーションミーティング、緊急対応の立案、緊急時に必要な物品の準備とMISPトレーニングは災害の備えを向上させ、ネパールが2019年のナイロビサミット時にコミットした、国際人口開発会議の行動計画に再度コミットする形になりました。

FPANと他機関とのパートナーシップ強化、患者の追跡システムの設立と、公的な照会システムの開始は大きな影響をもたらしました。追跡システムによって、フォローアップできなかった患者数が減り、効果的な照会によってHIVの母子感染が減りました。産科の緊急事態に対応する拡大照会システムも同じくらい重要になりました。2030年までに予防できる妊産婦死亡をゼロにする目標達成に近づきつつあるものの、照会システム一貫したものにし、患者追跡システムを安定させるにはまだまだやることがあります。

カヴレ、メラムチの洪水被害で被災した母親たちにディグニティ・キットを配付
カヴレ、メラムチの洪水被害で被災した母親たちにディグニティ・キットを配付


モバイル・クリニックで薬を提供する様子
モバイル・クリニックで薬を提供する様子

数値で見る成果

指標 目標数 合計
提供したSRHサービス数 92,385 284,848
上記のうち避妊法サービス N/A 76,461
上記のうちHIV関連サービス N/A 36,014
SRH以外のサービス数 N/A 48,974
配付したコンドーム数 N/A 167,395
サービスを受けた人数 32,655 75,014
情報提供を受けた人数   8,787
その他
研修の実施 a) IPESに基づいたSRH-MNCHトレーニングを55名の医療従事者に提供 b) 性感染症ケースマネジメントを41名の医療従事者に提供 c) MISPトレーニングを92名のFPANスタッフ、31名の政府関係者、人道支援プロジェクトに従事する6名の主要ステークホルダーに提供
ART(抗レトロウイルス療法)センターとの連携の強化
すべての地区を繋ぐ産科緊急事態の紹介システムの確立

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