2025年3月13日、レバノンで新たなプロジェクト「危機の影響を受けた人びと、国内避難民(IDP)、シリア難民、受け入れコミュニティにおける妊産婦およびリプロダクティブ・ヘルス関連の疾病と死亡の予防」が正式に開始されました。本プロジェクトは日本政府の支援を受けて、IPPFレバノン(SALMA)が実施するもので、危機の影響を受けた人びとに対する質の高いセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービス提供を強化、維持することを目的としています。
昨年の停戦後、レバノンでは多くの人に必要不可欠な妊産婦、新生児ケアやリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスが依然として困難で、包括的SRHサービスへの需要が差し迫っています。特にベカー渓谷の国内避難民、シリア難民や地元の受け入れコミュニティは、臨床ケアだけでなく心理社会的支援、医療サービスや対象コミュニティへのアウトリーチを始めとした、多面的な介入を必要としています。
このプロジェクトでは、SRH関連の疾病・死亡の予防と、ジェンダーに基づく暴力(GBV)のサバイバーケアの改善を目的とし、質の高い臨床ベースのSRHサービスを女性、若者、その他の周縁化された人びとに提供します。さらに、コミュニティへのアウトリーチや能力開発プログラムにより、SRHに関する意思決定に必要な情報を提供します。
主な活動は以下の通りです。
- 臨床サービス:安全な出産、新生児ケアなど、妊産婦・新生児・小児保健に特化した質の高い、権利に基づく、クライアント中心のSRHケアを提供
- キットの配布:妊娠中および産後の女性に「ママと赤ちゃん」キット、必要な衛生用品を備えたディグニティ(女性支援)キット、衛生キットを配布
- コミュニティへのアウトリーチ:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)、家族計画、GBV、HIVに関する啓発セッションや共同イベントの実施
- 能力開発:包括的なSRHRサービスの提供や教材開発に関するピア・エデュケーターやサービス提供者の研修の実施
馬越正之 在レバノン日本国大使
「危機の影響を受けたコミュニティに住む人びとが、質の高い母子保健およびリプロダクティブ・ヘルス・サービスに確実にアクセスできるようにすることは、人権と尊厳、ひいては人間の安全保障に関わる問題です。この取り組みは、レバノンの脆弱な状況にある人びとを支援する日本政府のコミットメントを再確認し、回復力のあるコミュニティを育むためにSRHが極めて重要であることを改めて強調するものです。」
リナ・サブレ(Lina Sabre)IPPFレバノン事務局長
「母親、子ども、家族の健康とウェルビーイングは、何よりも大切です。このプロジェクトを通じ、危機的状況にあっても命を救うサービスの提供と、啓発活動を行い、健康に関する適切な意思決定ができるようコミュニティをエンパワーします。」
ファドア・バハッダ(Dr. Fadoua Bakhadda)IPPFアラブ世界地域事務局長
「このプロジェクトはレバノンの女性にとって、変革のきっかけとなるでしょう。日本政府による支援のおかげで必要不可欠なSRHサービスの提供の継続が可能となり、妊婦や新生児の安全が確保されます。」
プロジェクト実施によって期待される成果は、以下のとおりです。
28,000人の危機の影響を受けた人びとが必要不可欠なSRHサービスへのアクセスを得ます
84,000件のSRHサービス介入が実施されます
37,000人近くの人びとが包括的な啓発活動を通じて支援を受けます
when
country
レバノン
region
アラブ世界
Related Member Association
Lebanese Association for Family Health