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モヒニ - 変化を引き起こす人

IPPF 日本信託基金

IPPF 日本信託基金

モヒニ

変化を引き起こす人

「私にとって、JTFは、ただのプロジェクトではありませんでした。それは、私の人生の一部となりました。」

頭からサリーに身を包んだ若いインド人女性が、村の他の女性たちにコンドームについて大っぴらに話すというのは、あまりよく見かける光景ではありません。けれど、モヒニは普通の人物ではありません。少しでも彼女と一緒に過ごせば、きっと彼女の情熱に揺さぶられることでしょう。あらゆるジェンダー規律を打ち破ることで、モヒニはラクナウの彼女の村とその周辺に住むの何百人もの女性と少女たちの人生を変えていきます。

「私はいつも人生で何かをしたいと思っていました。結婚後、私は自分自身のために戦うことにしました。私は自分に、何とかして自分のやりたいことをやるんだ、と言い聞かせてきました。」

下の息子が2歳の時、そのチャンスはやってきました。彼女は、低所得家庭の女性をコミュニティリソースパーソンズとして動員することで支援する政府の計画について知りました。この機会を逃す訳にはいかない。この事業の下、彼女は村の女性が生計の機会を生み出すのを支える自助グループを作らなければなりませんでした。息子を連れ、彼女は村から村へと、グループメンバーを探して回りました。村で20以上の自助グループを作り、彼女は500人以上の女性と少女の助けとなったのです。

これを経て、2018年から日本信託基金プロジェクト(以下、JTFプロジェクト)のため、インド家族計画協会(FPAI)のメンターに選ばれましたが、選考インタビューの中で彼女は、他の応募者が話したがらなかったリプロダクティブヘルスについて、話すことができるかどうか尋ねられました。

彼女は、「教育を受けた知的な人は、恥ずかしがらずにHIVと安全なセックスについて話すことができます。これらは健康に関する事柄ですから」と応え、メンターに選ばれました。

「社会問題は一つ一つ孤立した課題ではありません」

この意欲的なJTFプロジェクト、「持続可能で包摂的な成長のためのコミュニティ行動」プロジェクトは、疎外されたコミュニティの女性がセクシャル・リプロダクティブヘルス/ライツを享受し、所得創出プログラムを通じて雇用に必要な技能を向上させることを目的としています。

モヒニの役割は、男女平等の観点からセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスの利用を増やすことにありました。彼女は、各村でコンタクトパーソンを見つけ、地元の人々のニーズを理解し、活動計画を立てることから始めました。さらに、彼女は定期的に、より安全なセックス、家族計画、安全な中絶、HIV、家庭内暴力、月経衛生、そしてこのようなトピックに付随する社会的汚名などの重要な事柄について、話しました。

「私にとって、JTFは、ただのプロジェクトではありませんでした。それは、私の人生の一部となりました。色々な方法で人々をサポートするための適切なツールを提供してくれましたし、女性のエンパワーメントに関するすべての事柄をカバーしていました。私たちはプロジェクトが個別に、孤立して実施されているのを見ますが、社会問題を一つ一つ孤立した課題として扱うことはできません。FPAIという、ラクナウにおける健康問題をよく理解しているプロジェクト実施母体のお陰で、プロジェクトは抜群のインパクトをもたらしました。」

モヒニはプロジェクトの一環で、家庭内暴力に直面している女性を支援するため、地元の男性もメンバーに含む「女性のアクショングループ」(WAG)を作りました。WAGのメンバーは、性的およびジェンダーに基づく暴力(SGBV)を経験した女性の家族と話し合い、問題解決へ向けての手助けをするよう訓練されました。モヒニの活動は、主に女性を対象としたものでしたが、彼女はこれらの課題に男性と一緒に取り組むことの重要性を理解しています。

キャプション:若い女性との活動中、モヒニはセクシュアル・リプロダクティブヘルスを、一部の人が言うような「罪悪」としてではなく、医学的なトピックと考えるように奨励します。

2019年9月、モヒニは、ジェンダーステレオタイプを横目に、少女たちのためのセルフディフェンスのトレーニングを始めました。

社会的汚名

今、スキル開発センターとして開放されたモヒニの家には、いつも周辺の村々から集まってきた大勢の女性や少女たちが来ています。けれども、最初からこうだったわけではありません。自分の娘や妻が彼女を訪ねることを家族が許さない時期もありました。

「私は男性の同僚と働き、研修のために別の州に出張することもあったので、村の人達から『不道徳な人』と言われた時もありました。私の夫が意地悪を言われたこともありました。でも、もし彼らがテレビでコンドームや生理用ナプキンの広告を見て不愉快でないなら、私がそれらのトピックについて話すことがどうして恥知らずになるのでしょう?」

村の人たちは、彼女がサリーでなくTシャツとトラックスーツを着て護身術のトレーニングに行くのを見て、嘲り笑いました。気持ちが落ち込んだ時、大好きなボリウッドの音楽がモヒニを元気づけました。

家族への影響

モヒニには、メンターとして、わずかの手当てがJTFプロジェクトから支払われました。小さな額ではあったものの、そのお金を使い、モヒニは元は「クッチャ(粗末)」であった家に、少しずつ、簡単な部屋と台所を付け足しました。そして彼女は、自分の教育にも投資しました。

「JTFプロジェクトは、教育という私の夢を完成させる助けにもなりました。高校を卒業し、現在はソーシャルワークの学部の最終学年で学んでいます。また、同じ分野で修士号を追求したいと思っています」

2020年1月、地元の人々が生計を立てるのに農業だけに頼っている様子を見たモヒニは、代替収入の機会を創出するため、自分の家にスキル開発センターを立ち上げました。まずは、女性と少女たちに線香づくりと裁縫を教えるところから始めました。

モヒニは、将来的にはより多くの種類の訓練を提供できるように、自分のセンターを拡張したいと考えており、現在、それを可能にするために資金を探しています。

このJTFプロジェクトが終了した後でさえ、モヒニはこれまでの仕事を続けています。彼女はラクナウの都市スラムに行き、そこの女性たちが自助グループを登録するのを手伝う予定です。「動機付けは必ずしもお金を必要としません」とモヒニは笑顔で言います。

キャプション:モヒニと息子たち、ソメッシュ(6)と シヴェッシュ (10)。彼女は物語を使って息子たちにジェンダー規範と勤勉の重要性について話します。

キャプション:モヒニは最初の2ヶ月分の手当てでローンを組み、夫のためにバイクを買いました。

プロフィール

モヒニは、インド北部のラクナウ市の貧しい家庭に育ちました。3人姉弟の長子である彼女は、13歳の時から、服に刺繍を施して家計を支え始めました。 2人の弟の世話だけでなく、モヒニは家事も担い、勉強に充てる時間はほとんどありませんでした。高等教育に進みたかったにもかかわらず、高校卒業を待たずに結婚させられてしまいました。そして、結婚後も家計の苦労は続きました。

政府の事業を実施するためにコミュニティ・リソース・パーソンとして活動した後、モヒニはJTFプロジェクトについて知りました。2018年から、彼女はラクナウでメンターとして活動しています。

プロジェクトの支援は2020年3月に終わりましたが、彼女は線香作りから今も収入を得ています。

公開日 2021年2月2日

キャプション:モヒニは、彼女の村のすべての家で線香の製作と販売を始め、村が大きな市場を誇る線香の生産・販売ハブとなることを望んでいます。

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