Interview 「住民がスタッフ 紛争地でも活動継続」

Rym Fayala

IPPF(国際家族計画連盟) アラブワールド地域事務局 渉外部長

リーム・ファヤラさん

チュニジア出身で、医師でもあるリーム・ファヤラさんに、中東地域のセクシュアル/リプロダクティブヘルス/ライツ(SRHR)について聞きました。

― アラブ地域のSRHR の現状を教えてください。

アラブ世界地域には14カ国にIPPFの加盟協会があり、現在、そのうち5カ国が紛争国です。これらの国では、紛争発生以後SRHRの状況が悪化しています。シリアには400 万人の難民がおり、国内避難民は700 万人にも及びます。国内避難民の75%が女性と子どもと推定されています。難民や国内避難民の女性たちは、医療施設の破壊や医師の不在などにより、SRHR関連サービスを含む通常の保健医療サービスが受けられないだけでなく、性暴力に遭って精神的なトラウマも抱えるなど、紛争のSRHRへの影響は、非常に深刻です。

シリア以外でも、性暴力の経験者はヨルダンやエジプトで3 人に1 人、チュニジアでは47%にも上るなど、課題が多くあります。

― 性暴力のほかに、女性の健康に関する課題は特に何がありますか。

まず高い妊産婦死亡率が挙げられます。ソマリアでは、出生10 万あたり約800 人(2013 年データ)と非常に高い状態です。また、紛争地では妊産婦死亡率が悪化しました。シリア危機では、2010 年に出生10 万あたり56 人だった妊産婦死亡率が、2013には65 人になってしまいました。

またアラブ地域では、18 歳になる前に結婚する女性も数多くいます。これは親が性犯罪や性暴力から「娘を守るために」早く結婚させるという現実を反映しています。女性性器切除(FGM)もモーリタリア、スーダンなどでいまだに深刻です。

― IPPF の加盟協会はどのような活動をしていますか

移動クリニックと診療所を通して、SRHRを中心とした保健サービスとカウンセリングによる精神的ケアを提供しています。シリアでは、2013 年と2014 年に大幅にサービス提供件数を増やすなど、ニーズに応じて活動を拡大しました。実際に現場で活動しているスタッフは、地元住民でもあり、地域に根付いていますから、IS(イスラム国)に支配されるようになった地域でも、活動を継続しています。

このように非常に混乱した紛争地で人々のSRHRニーズに応える活動ができている団体はIPPFのほかに類を見ません。 また、スーダンやモーリタニア等では、IPPF・日本信託基金(JTF)の支援によるプロジェクトを実施しており、日本政府に感謝しています。サービス提供数は増やしていますが、すべてのニーズには応えられていません。今後もさらなるご支援を心よりお願いいたします。

 

<プロフィール>
アドボカシーや資金調達などを担当。チュニジア保健省「人口とリプロダクティブヘルス・研修・研究センター」所長、国連人口基金(UNFPA)チュニジア事務所でのリビア人難民に対するリプロダクティブヘルス関連支援のコーディネーターなどを経て現職。

 

*この記事は、公益財団法人ジョイセフが発行するリプロダクティブ・ヘルスに関するオピニオンマガジン、アールエイチ・プラス(RH+)に掲載されたインタビュー記事を、許可を得て転載しています。