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平和と健康の架け橋:女性・平和・安全保障(WPS)のアジェンダでSRHRを推進する

IPPFアラブ世界地域事務局は、女性・平和・安全保障(WPS)とSRHRの連携を推進するためのアラブ地域ハブを設立します。

IPPFアラブ世界地域事務局は、202557日から8日にヨルダンのアンマンで「平和と健康の架け橋:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を通じて女性・平和・安全保障(WPS)のアジェンダを推進する」と題した二日間の地域会議を開催しました。

同会議はアラブ連盟、IPPFヨルダン連携パートナー(Institute of Family Health: IFH)UN WomenUNFPAと共同で開催され、政策立案者、アドボカシー団体、国連機関、市民社会組織、IPPF加盟協会(MA)が一堂に会し、アラブ地域の平和、復興、再生の基盤としてのSRHRの重要性について再確認しました。

本会議の参加者はアラブ地域内外に及び、IPPFアラブ世界地域事務局、アラブ連盟、各国政府代表、IPPFヨルダン連携パートナー、UN WomenUNFPAIPPFイエメン、スーダン、パレスチナ、レバノン、在ヨルダン日本大使館、そしてIPPF東京連絡事務所ジョイセフ(JOICFP)の代表者の間で活発な議論が交わされました。会議では特にWPSの文脈で紛争時および紛争後に女性と女児の健康と権利に取り組むことが喫緊の課題であることが強調されました。

IPPFヨルダン連携パートナー(IFHのイブラヒム・アクル事務局長は冒頭の挨拶で、人道的課題が増加する中、WPSアジェンダにSRHの問題を組み込むことが戦略的に重要であることを強調し、アラブ地域の女性と女児にとって公正で安全な未来を築くために、IPPFヨルダン連携パートナーは国内外のパートナーと協力しつづけることを表明しました。

アラブ連盟人口政策部のチュア・ダスーキ全権公使は、リプロダクティブ・ヘルスの理念はそもそも人権であるとした上で、2013年カイロ宣言でリプロダクティブ・ヘルスの達成を含む人権の尊重が訴えられたにも関わらず、紛争時や危機的状況では脅かされ、侵害されていると述べました。さらに、人道問題において、最も複雑で難しいのが、紛争時・紛争後の女性への対応であるとし、女性はこのような時に基本的人権を奪われたり深刻な侵害を一番に受けやすく、戦争や武力紛争の影響で国の保健医療サービスが崩壊すると、健康の悪化につながると指摘しました。さらに公使は、リプロダクティブ・ヘルス・サービスを緊急人道支援計画に組み込むことが必要だと強調しました。

ヨルダン保健省女性・子ども保健局のハディール・アル・サイ局長は、同保健省はこれらの課題を最優先事項に位置づけ、紛争時や危機的状況では特に女性をエンパワーし、守ることが、安全で健康な社会を形成する上での基盤になると述べました。現在同省では、女性に関連した課題や安全保障を戦略に組みこみ、包括的な医療・保健サービスへの公平なアクセス、とりわけ最も脆弱な立場に置かれた人びとのアクセス向上を実現しようと取り組んでいます。

在ヨルダン日本大使館の渡邊朋子代理大使は、日本政府は2025年のWPSフォーカルポイント・ネットワークの共同議長を務め、今後もWPSアジェンダを推進していくことを改めて表明しました。また、最も脆弱な状況に置かれた人びとにも支援を届け、誰ひとり取り残さないためには、SRHRが平和と復興の重要な要素であるとの認識を広める必要があると強調しました。さらに、IPPF加盟団体が実現している地域社会との草の根レベルのつながりが共通目標の達成に重要な役割を果たすとし、このようなプラットフォームを通じて合意された取り組みを、国際社会が協力して実施していくことが重要だと述べました。

ファドア・バハッダIPPFアラブ世界地域事務局長は、発言の冒頭で紛争時における女性の生殖に関するニーズを考慮しないことがもたらす悪影響について言及しました。バハッダ事務局長は、「リプロダクティブ・ヘルスは、最優先事項です。平時でさえSRHサービスが受けられないのなら、紛争時にはどうなるのでしょう。女性は暴力にどう対処すればいいのでしょう。安全な出産はどう保障されるのでしょうか。妊娠時に栄養が不足したらどうすればいいのでしょう。紛争時にはSRHのニーズがなくなるわけではなく、むしろ増加します。にもかかわらず、生理用品のような生活必需品でさえ、遠い夢のような話になっているのが現状です」と述べています。バハッダ事務局長は、SRHを再生と復興の柱として、人道的対応に組み込むことを促した2023年の国連事務総長のWPS報告書に賛同するとしました。

会議では、各国政府やIPPFMAの代表者らが、それぞれの国で女性や女児が直面している現状について報告し、IPPF東京連絡事務所を務めるジョイセフからは、東日本大震災や熊本大震災におけるジョイセフの活動を報告しました。多くの知見の共有は、平和と安全保障の枠組みにSRHRを組み込むための地域の活動を反映した成果文書の土台となりました。

会議の大きな成果として、WPSアジェンダの枠組みでSRHRを推進する共同プラットフォームとして機能する「地域ハブ」の設立が発表されました。このハブは、アラブ地域全体の組織を支援し、紛争時の包括的性教育を推進し、人道支援におけるSRHR対応においてより強力な心理社会的支援を提唱し、特に脆弱な状況にある女性や女児の健康、尊厳、安全の問題に優先して対応するためにパートナー団体との緊密な連携を支援します。

この機運を前進させるため、IPPFアラブ世界地域事務局は、今年後半にエジプトでフォローアップ会議を開催する予定です。本会議は、アラブ諸国および地中海沿岸諸国の議員を招いて政治面での認知度を高め、アンマン会議でのコミットメントの実施を促すことを目的とします。

本件の詳細については、谷口百合([email protected])までご連絡ください。

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