2024年10月8日、ウクライナの国際家族計画連盟(IPPF)加盟協会である「女性の健康と家族計画」(WHFP)が日本政府の支援を受けて実施した以下の2件のプロジェクトの成果と教訓に関する会議が、キーウで開催されました。
1.「ウクライナの紛争の影響を受けた人々を対象に性とジェンダーに基づく暴力(SGBV)の影響を緩和し、基本的サービスと包括的性教育(CSE)へのアクセスを促進する」(対象:オデーサおよびポルタヴァ州、期間:2023年1月~2024年6月)
2.「カホフカ水力発電所破壊の影響を受けた地域の女性のために、医療施設の能力を強化し、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスを改善する」(対象:ドニプロペトロウスク州とザポリッジャ州、期間:2024年1月~12月)
両プロジェクトは、ロシアーウクライナ紛争で最も大きな影響を受けた地域のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケア部門への支援に焦点を当てています。同会議のハイライトは以下の通りです。
在ウクライナ日本大使館 時田裕士公使は、会議の冒頭で次のように述べました。「ロシア侵攻でウクライナが直面するSRHの課題について話し合うことは重要です。ウクライナのいくつかの地域では、SRHサービスが存在しなかったり、アクセスできないという大きな問題が生じています。絶え間ない砲撃、施設の破壊、医療物資輸送等への被害などの困難な状況の中、ウクライナの医療機関が生き残り、私たちが効率的かつ効果的な活動のために支援できることを誇りに思います。これら2つのパイロット・プロジェクトの成功は、ウクライナの復興に向けた良い兆しであり、日本政府としてその一翼を担えることを嬉しく思います」
ウクライナ保健省(MOH)医療サービス局長のテティアナ・オラビナ博士は、次のように述べました。 「ウクライナ保健省は、人々の緊急医療ニーズに応え、命を救うだけでなく、国の保健医療システムの持続可能性と回復力を確保するために尽力してきました。日本政府の支援は、このミッションに貢献するものであり、非常に感謝しています。私たちは戦争の真っただ中にいますが、保健システムを維持するだけでなく、より良いものにするための努力を続けていきます」
WHFPのガリーナ・マイストゥルク事務局長は、次のように述べました。「日本政府との協力は、女性や若者を含むウクライナの多くの人々が切実に必要としている、ウクライナにとって困難な時期に実現したものであり、私たちにとって特筆すべきことです。今日、日本政府から受けた支援のお蔭で、私たちは同胞のために質の高いSRH、GBV、CSEサービスを提供し、彼らの生活をより良く、より健康的で安全なものにすることができます」
ウクライナ教育科学省教育内容・課外・教育事業部長のスヴィトラーナ・フィツァイロ氏は、次のように述べました。「ウクライナにおける性教育は、科学的根拠に基づき、包括的で、段階的に実施される継続的な教育プロセスであるべきで、それは国家の教育プログラムに組み込まれるものです」
IPPF欧州ネットワーク地域ディレクターのミカ・グルジウノヴィッチ氏は次のように述べました。「IPPFを代表し、IPPFとその加盟協会に対する日本政府の着実な支援に心から感謝の意を表します。今後も日本政府と緊密に協力し、SRHRへの普遍的なアクセスのための活動を通じて、ウクライナ、ヨーロッパ、そして世界の女性・平和・安全保障(WPS)の課題と人間の安全保障を推進していきます」
これらのプロジェクトは以下のような成果をあげ、ウクライナの医療システム強化と包括的性教育の提供に貢献しました。
- 10の医療施設に医療機器、医薬品、レイプ後ケア用キット、緊急避妊、COVID-19検査、感染症予防・管理用品等を提供
- 1億250万人の女性と女児にSRHサービス(家族計画、避妊法、妊娠中絶、性感染症とHIVに関する情報、性的暴力に関するカウンセリング等)を提供
- 459人の医療従事者に、レイプの臨床管理、緊急産科新生児ケア、ジェンダーに基づく暴力対応など、さまざまなSRHに関する13のトレーニングを提供
- 50人以上の教員とスクールカウンセラーに包括的性教育に関する研修を提供
- 若者向けのオフラインイベントを70回開催、約1,000人の参加者にSRHに関する研修を提供
- 10代の若者向けのSRH情報、女性と女児向けのSRHおよびGBV対応に関する資料とメッセージを作成
お問い合わせはIPPFロンドン本部の谷口百合(日本語・英語、[email protected])またはIPPFウクライナ(WHFP)のValeria Didenko(ウクライナ語・英語 [email protected] 、 +38 098 298 75 52)まで。
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