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人道危機においてなぜSRHRが重要なのか

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人道危機においてなぜSRHRが重要なのか

人道危機はジェンダー不平等を増長、定着、拡大させ、女性の置かれた脆弱な状況をさらに悪化させると言われています。IPPFは、これまでさまざまな形でSRHRに関する人道的ニーズに対応しています。

過去20年間、世界の難民・避難民は一貫して増加、2023年半ばの時点で推定1億1,400万人となり、女性と女児はその半数以上、9割近くだったこともあります。危機に見舞われた際、女性や女児は苦況に陥りやすく、生き延びたり回復するための余力が少ない傾向にあります。危機はジェンダー不平等を増長、定着、拡大させ、女性の置かれた脆弱な状況をさらに悪化させると言われています。

人道危機がSRHのニーズやサービスに及ぼす影響とは?

危機的状況下であっても妊娠は経過し、出産も止められません。緊急時に女性が必要とするのはSRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス: 性と生殖に関する健康)です。SRHヘルスケアは、医療提供として特別なものではありません。

人道危機下で人々がSRHヘルスケアにアクセスできないと、妊産婦や新生児の死亡、性的暴力とその後のトラウマ、性感染症への罹患、望まない妊娠と安全でない中絶、HIV蔓延の可能性などにつながります。多くの女性やカップルが、避難生活によって妊娠を遅らせたり、制限することを望むため、危機下では、避妊薬(具)の必要性が高まります。レイプを含む性的暴力などによる、意図しない妊娠のリスクも上がります。

保健システムの崩壊は、人々が避妊薬(具)を入手できなくなったり、安全な中絶、中絶後のケア(安全でない中絶による合併症の治療)へのアクセスを失うことを意味します。人工妊娠中絶は、人道危機の初期のSRHニーズにおける、緊急対応サービスパッケージ(MISP)の優先事項です。専門の医療従事者は、緊急性の高い場面や、電気も水道もない状況でも、安全な中絶を提供することができます。

写真:IPPF/Hannah Maule-ffinch/ネパール

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人道的危機におけるIPPFのパートナー組織の役割

IPPFは、世界170カ国以上で活動するグローバル・ネットワークを持ち、人道的危機やその前後においても、アウトリーチできる数少ない組織のひとつです。IPPFのサービスを受ける10人中8人は、貧困層や社会的弱者に分類されます。IPPF加盟協会(MA)は、世界中の突発的な災害、長期化する自然災害、人為的災害において何十年も活動を継続しています。大半の現場では、IPPFがSRHサービスを提供する唯一の団体であり、2023年には世界中の危機状況下で1,300万人以上の人々に、SRHサービスを提供しました。

IPPFは、緊急時には、SRHへのアクセスが行き届いていなかったコミュニティにも女性が必要とするSRHサービス、特に避妊具(薬)を提供しています。社会的弱者や周縁化された人々への対応は、人道支援介入の設計、実施、評価の根幹となる部分です。私たちは、まずは最も周縁化され、十分なサービスを受けていない女性と女児、LGBTIQ+の人々、HIVと共に生きる人々(PLHIV)、そして障がい者の支援に重点を置いています。

写真: PFPPA/パレスチナ

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IPPFの課題

近年、人為的災害、自然災害が世界各地で激しさと頻度を増すとともに、IPPFの人道支援活動の重要性も大きくなっています。私たちは、緊急時に即時かつ高品質なサービスが提供できるよう、各地のローカルパートナーのトレーニングも行っています。各国のMAは、IPPF事務局のサポートを受けつつ、現場主導型の活動に重点を置いています。
危機におけるSRHサービスの資金繰りは厳しい状況にあります。ドナーに対しても、人道援助において見過ごされがちなSRHRを優先的に考慮するよう呼びかけることが大切です。反植民地・反人種主義を掲げる組織として、IPPFは、世界で起きている紛争の根本原因にについて訴えつづけます。私たちはまた、女性の権利を尊重する人道支援団体であり、今後も男女問わずすべての人が性差別的な搾取や抑圧を受けずにすむ社会を目指して活動していきます。

写真: IPPF/記録メディア/イエメン

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Subject

人道支援