日本におけるCOVID-19 の影響

Dr. 北村邦夫(日本家族計画協会理事長)

日本家族計画協会(JFPA)理事長、Dr. 北村へのインタビューより

COVID-19による日本への影響は?
 
新型コロナウイルス(COVID-19)による感染が拡大の一途を辿っています。政府は、4月7日(火)、7都府県に緊急事態宣言を発令しましたが、その成果が現れるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。  
 
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスへの影響は?
 
厳しい状況が続く中、「全国どこでも、誰でも、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを受けられる社会を実現する」ことを運動目標として取り組んでいる日本家族計画協会(JFPA)として、今、何をすべきかを議論してきました。

Japanese flag役職員20名余の小規模な民間団体ではありますが、スタッフの地道な日頃の活動があってこそ、JFPAの運動が支えられてきました。いかなる事態になろうとも、その手を緩めるわけにはいきません。初めてのテレワークを進めつつ、最低限の業務機能を内部に残して可能な限り日常業務を止めないように努めています。
 
もっとも影響を受けた事業は?

JFPAがSRHRを推進する際、「指導者養成」は重要な事業の一つであり、2019年度においては延べ70回のセミナーを通じて8000人を超える指導者養成が図られてきました。2020年度に計画している各種セミナーの開催については、感染リスクが高まる場所、いわゆる「3密」に該当する可能性を否定できないことから、一部、延期の決定を余儀なくされていますが、いつでも開催できる準備を整えるとともに、webセミナーの開催についても前向き、積極的に検討しています。

 
通常とは異なる革新的な方法で提供しているサービスはありますか?
 
診療と相談、広報啓発を主務とする家族計画研究センター/クリニックでは、従来と変わらない日常業務を継続していきます。 

祝祭日を除く毎週月曜日から金曜日の10時から16時に開設している「思春期・FP(家族計画)ホットライン」「EC/OC(緊急避妊・経口避妊薬)ヘルプデスク」などの相談件数がこの時期に急増している印象はありません。 

一方、東京都から委託されている「東京都不妊・不育ホットライン」については、不妊治療を進めている女性からの相談が増えています。4月1日、日本生殖医学会による「国内で の COVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる COVID-19 予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として 、不妊治療を延期する選択肢を患者さんに提示していただくよう推奨します」との声明を受けたことが理由だと思われます。
 
他に試している手段はありますか?
 
JFPAは2019年9月から緊急避妊の希望者に使い勝手の良い「検索サイト」を立ち上げました。その特徴とは、スマートフォンでQRコードを読み取り、位置情報を「可」とすることで、現在自分がスマートフォンを見ている住所に一番近い施設情報がトップに挙げられ、20施設ほどが表示されます。休診日の可能性がある場合はアラート表示となります。また「MAP」をクリックすることで地図確認ができます。
 
クリニックのサービスについて、もう少し詳しく教えてください。
 
JFPAクリニックは、COVID-19の可能性のある患者を診察する施設にはなっていませんが、低用量経口避妊薬(OC)や保険適用を有する低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)剤を服用している女性達が通常よりも多く受診しています。幸いにも、薬剤の提供などが滞る現状はありませんが、ロックダウン(都市封鎖)で受診できなくなったとき困るという率直な声が聞こえます。 

国は、4月10日から初診時対面なしのオンライン診療を具体的に進める通知を出していますが、オンライン診療を実施するにも、医療従事者は施設内活動の手を緩めることはできません。 
 
緊急避妊サービスを受けるには? 
 
緊急避妊には、避妊しなかった、避妊に失敗した、レイプ被害に遭ったなどの性交後、72時間以内に黄体ホルモン製剤の一種であるレボノルゲストレル錠1.5mgを1回服用することで妊娠する可能性を90.8%減少させる、いわゆる緊急避妊薬と120時間以内であれば銅付加子宮内避妊具を挿入することで妊娠を回避できる2つの方法があります。

緊急避妊薬を入手したい場合には、施設に連絡をとって、①緊急避妊の受入れが可能か、②診療時間や予約が必要かなど受診のルール、③使用する緊急避妊薬について、④費用などを確認してください。(https://www.jfpa-clinic.org/s/) 

SRHサービスとCOVID-19について、今、日本の皆さんとJFPAの職員に送るメッセージがあればお願いします。

厳しい状況が続く中でも、JFPAの「全国どこでも、誰でも、リプロダクティブ・ヘルスサービスを受けられる社会を実現する」という運動目標の達成に向けて努力を続けています。

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への脅威と糾弾が増えつつありますが、包括的性教育(CSE)を含むSRHRの実現のため、みなで力を合わせて闘い続けなければなりません。今ほどCSEが必要な時はないからです。