- - -
A silhouette of a woman and young child in Fiji

Blog post JP

ジェンダーに基づく暴力はあまりにも多い―しかし予防はできる

世界中で、女性の3人に1人が生涯のうちに暴力を受けています。つまり、7億3,600万人の女性が親密なパートナーか、またはそうでない人から身体的、精神的、性的な暴力に遭います

YOU CAN ALSO READ THIS ARTICLE IN:

国際家族計画連盟(IPPF)グローバル・リード、ジェンダー・インクルージョン
セリ・ウェンドー

世界中で、女性の3人に1人が生涯のうちに暴力を受けています。つまり、7億3,600万人の女性が親密なパートナーか、またはそうでない人から身体的、精神的、性的な暴力に遭います。過去10年間、この数字はほとんど変わっていません。女性と少女に対する暴力が私たちの社会の中でどれほど当たり前のものとして存在し、毎日、誰かが暴力を受けているのだと思うと、恐怖を感じます。

女性が親密なパートナーから暴力を受け始めるのは、驚くほど早くからです。15-19歳の少女の1/4近く(24%)が身体的暴力か性的暴力、またはその両方を親密なパートナーから受けたことがあります。

上記の数字はすべて最近、発表された女性に対する暴力に関する世界保健機関(WHO、2000-2008年)の 報告書にあります。報告書に書かれた事実はどれも許しがたいものです。私たち全員の問題として考えなければなりません。

女性に対する暴力は、何より個人の人権の侵害であり、グローバルな保健医療の危機ですが、「『社会的・文化的規範』によって有形無形に規定される」と考えられます。暴力は身体・性的・精神的暴力など様々な形態があります。例えば、職場か公共の場におけるセクシュアル・ハラスメント、女性性器切除(FGM)、強制的に早婚させられ、結果としてスティグマ(社会的な汚名)を受けること、などです。 

新型コロナウイルス感染症とジェンダーに基づく暴力

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以前にも、低所得国と中低所得国では、多くの女性が暴力を受けていました。世界中で見ても、女性に対する暴力が著しく増加しています。女性の多くは、暴力をふるう相手とロックダウン中に自宅で過ごさざるを得ず、必要な医療ケアを受けられませんでした。 

IPPFのCOVID-19タスクフォースが加盟協会(MA)に実施した数回の調査結果から、親密なパートナーによる暴力と、加害者とロックダウン中に過ごした女性が受けるドメスティック・バイオレンス(DV)の件数が増えたことが明らかになっています。さらに、身を守るための情報と教育を受ける機会が奪われ、特に若者たちに悪影響があったことも分かっています。 

少女たちのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を害する慣習の撤廃を目指す活動によって得られていた一定の成果がパンデミックのために後退し、性暴力を受け、結婚を強制され、退学する少女の割合が増えました。 コロナ感染拡大前と比べ、若者たちは避妊法と安全な中絶、抗レトロウイルス薬、性感染症治療などのケアを、大幅に受けにくくなりました。ロックダウン、外出禁止、感染防止のための隔離に隠された状態でFGMが増えていないか、懸念が増します。

多くのMAは、オンラインで包括的性教育(CSE)やカウンセリングを実施するなど、デジタル機器を通じてサービスを提供する手段を模索してきました。しかしデジタル格差(スマートフォン、コンピュータ、インターネット接続が使えるかどうかの格差)のため、低所得国、中低所得国に住む思春期の少女たちには利用できません。

コロナ禍によってもっとも影響を受けたのは女性と少女であると確信を持って言えます。女性と少女の権利を前進させるために何年も続けてきた努力が無になったからです。今、急いでニーズに応えなければ、女性と少女たちは取り残されてしまいます。

暴力を受けた女性は、暴力の有無を医療従事者に伝えるかどうかは別として、暴力を受けていない女性よりも保健サービスを利用する確率が高くなります。その点において、医療従事者は暴力を受けた女性に対応する第一線の支援者です。だからこそ、最初に女性たちに接触する医療従事者に研修を行い、効果的で女性の視点に立った保健医療サービスを提供できる体制を作ることが肝要です。暴力を受けた女性には、もっとも質の高い医療ケアを受ける権利があります。 

女性に対する暴力は予防できる

IPPFのジェンダー・インクルージョンのグローバル・リードとして、女性に対する暴力は防止できると知っています。IPPFの素晴らしいMAがコミュニティで行う活動を見て、いつか女性と少女に対する暴力を根絶できるという希望がわいてきます。

IPPFマラウイ(FPAM)がコミュニティの指導者とソーシャルワーカーたちからなる監視グループの活動を通じて、効果的に児童婚を防いでいます。マラウイは強制早婚の割合が高く、少女たちの47%は18歳までに結婚しているという推計があります。

IPPFパレスチナ(PFPPA)は性暴力に関する啓発ワークショップ を実施し、地域の宗教指導者、その他のパートナーと連携して活動することで、人々にセクシュアル・ヘルス/ライツの情報を広めています。 

インドのMAは、刑務所に入っている女性たちの出所後の生活準備を支援し、エンパワーメント しています。IPPFメキシコ(MEXFAM)の調査では、教師に包括的性教育(CSE)の知識があると、暴力を減らす必要性への学生の理解が高まることが分かりました。IPPFパキスタンは、スワート渓谷など各地で暴力防止のための活動を続けています。

これらは、人生を180度変えるようなMAの活動のほんの数例です。 

活動を止めず、何とかしてジェンダー平等を実現するために、政治家、援助国などの決定権を持つ人々と機関に対し、これまでと同様、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)分野への拠出を続ける決意を求め、呼びかけます。医療従事者へのSRHR専門研修を支援し、マルチセクターなアプローチから女性と少女に対する暴力に対応し、CSEに投資してください。 

今ほど、女性と少女への確固たるコミットメントが必要な時はありません。彼女たちの命がかかっています。 

※マラウィとインドでの活動はIPPF日本信託基金(JTF)プロジェクトとして始められました。また、IPPFパキスタンの取り組みの一部もJTFによって支えられています。

when

Subject

ジェンダーの平等