COVID-19の影響について、IPPFレバノン(SALAMA)で活動する助産師、マラク・ディラニさんに話してもらいました。支援を続けているシリア難民を含む脆弱な人々のコミュニティへの影響についても聞きました。
SALAMAではどのような活動をしていますか?
私はレバノン助産師協会に所属する助産師でもあり、助産師に対して家族計画のトレーニングもします。主な活動は次の通りです。
- 妊婦の産前・産後のケア
- 婦人科の各種サービス
- 検査前後のカウンセリングを含むHIVの自発的なカウンセリングと抗体検査(VCT)
- 子宮内避妊具(IUD)、避妊薬、緊急避妊薬、家族計画、安全でない中絶を防ぐためのカウンセリングなどの家族計画サービス
新型コロナウイルスとCOVID-19による業務への影響は?
新型コロナ危機の前は、ソーシャルワーカーとボランティアと一緒に週に1~2度、フィールドを訪問していました。現地で家族計画サービス、ジェンダーに基づく暴力(GBV)カウンセリングの提供に加え、様々なセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)のトピックを取り上げた啓発セッションを実施していました。残念ながら現在は訪問活動をすべて中止しています。
新型コロナウイルス感染拡大のリスクがあるため、今は活動もサービスも縮小せざるを得ません。サービスを提供できる人の数も減っています。
クリニックを訪れた人はみな、厳格な手順に基づいた予防対策と消毒をしなければ、施設内に入れません。コロナウイルスに関する情報セミナーも小グループで行っています。ウイルスから身を守る方法と、症状が出た場合の対応についてのセミナーです。
長期的に、また全国、世界規模で見た場合、COVID-19がSRHに与える影響はどのようなものになりますか?
活動する難民キャンプですぐに確認できたコロナウイルスの影響は次のようなものでした。
- 栄養失調のリスク増加
- 意図しない妊娠の増加(予測)
- 難民キャンプのコミュニティではCOVID-19の予防ができません。1テント当たり最低でも6人で暮らしているため、誰かが感染するとあっという間にキャンプ全体に広まってしまいます。
- キャンプにいる人の大多数は仕事がありません。基本的な生活用品を自力で整える力もないのです。
長期的には避妊具と避妊薬が足りなくなり、女性にしわ寄せがいくと思います。レバノンでは、コンドームをはじめあらゆる家族計画法を輸入に頼っています。空港が閉鎖され、これらの物資が手に入りにくくなっています。家族計画に必要な物資を生産する国々(インド、中国など)は現在、COVID-19の影響がもっとも深刻です。物資がグローバルに不足する結果、意図しない妊娠と安全でない中絶が増えるでしょう。
COVID-19のパンデミック下、医療の最前線で働くヘルスケアワーカーへのメッセージがあればお願いします。
人々の健康の権利を守るため、私たちはいつも現場にいます。それが世界中のヘルスケアワーカーに伝えたいメッセージです。常に医療の最前線にいるからこそ、人々は私たちを信頼してくれます。私たちは国民を導く案内役として、支援への努力とパワーをもってこの困難な時期を乗り越え、命を救う活動を続けましょう。
when
country
レバノン
Subject
災害・危機的状況
Related Member Association
Lebanese Association for Family Health