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イスラエル軍の空爆で命を落としたIPPFパレスチナの年若き医師タバト・サリムを悼んで

<2025年1月6日IPPFパレスチナ(PFPPA)の声明> 2025年1月5日、ガザ地区中部にあるヌセイラト難民キャンプでPFPPAの人道支援活動を行っていたタバト・サリム(Thabat Salim)医師が、イスラエル軍の空爆によって命を落としました。「タバト」はアラビア語で「不動、信念」を意味し、その名が示す通り、彼女は危険を顧みず、その勇気と献身で常に女性や子どもたちに手を差し伸べて希望の柱となり、同僚や地域社会から深く尊敬されていました。サリム医師を失った悲しみは計り知れません。その功績はガザの星となって輝き続けることでしょう。 2023年10月7日以降、ガザでは46,692人の命が奪われ、このうち1,000人以上は命をかけて行動した医療従事者です。IPPFとIPPFパレスチナは、ガザ地区への攻撃継続、激化に強く抗議します。   <2025年1月7日IPPFアルバロ・ベルメホ事務局長の声明> タバト・サリム医師の命が爆撃で奪われたことに深い絶望と強い怒りを感じます。タバトは30歳、IPPFパレスチナ(PFPPA)で活動を始めたばかりのかけがえのないスタッフでした。 タバトの死は「悲劇」の一言で済ませるものではありません。女性の医療従事者たちがいかに過酷な状況で働き、日々を過ごしているかを示す痛烈な告発と言えるでしょう。女性が職場に恐怖を感じることがあってはなりません。しかし、その多くが女性であるパレスチナ、レバノン、スーダン、シリア、イエメンなどの医療従事者にとっては、それが日常なのです。 2023年10月8日にガザのIPPF保健施設が爆撃で破壊され、スタッフが避難を余儀なくされて以来、私たちは声を上げつづけています。他団体と共に、#HealthcareWorkersAreNotATarget (#医療従事者は標的ではない)のハッシュタグを用いてメッセージを拡散してきました。 一般市民、とりわけ医療従事者は、正当な法的保護の権利を否定されています。イスラエル軍とそれに武器供与を続ける米国や他の国々は、市民の殺りくにおいて結託し、生殖可能年齢にあるパレスチナ女性の殺りくにおいて結託し、医療従事者の殺りくにおいて結託しています。この究極の暴力行為で、私たちの人間性が破壊されています。 IPPFは、暴力の停止を強く求めます。同僚や患者の命を奪う武器の供給停止を求めます。性暴力が処罰を受けずに横行すること、何よりジェノサイドを終わらせることを求めます。 女性を擁護するなら、平和を求めるなら、SRHRJ(性と生殖に関する健康と権利/社会正義)を求めるなら、共に立ち向かいましょう。タバト・サリム医師のために。先週ダルフールのIPPFスーダン(SFPA)クリニックでコンドームを購入しようとしただけで殺された17歳の若者のために。昨年パレスチナ、レバノン、シリア、スーダン、イエメンで負傷し、命を落とした同僚たちのために。家を失い、働く場所も失いながらも、SRHケアの最前線に立ち、命をかけて活動している同僚たちのために。女性や若者の身体に対する宣戦布告なき戦いにある今、権力を握った少数の男性たちが、平然としてこうした犠牲を強いて積み重ねないように。今こそ連帯し、すべての人のSRHRJのために立ち上がるときです。

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中近東地域の医療従事者に対する暴力の拡大に関する声明

もうこれ以上耐えることはできません。パレスチナの女性と女児に対する生殖に関わる暴力の横行と、ガザのIPPFリプロダクティブ・ヘルス関連施設への爆撃からほぼ1年が経とうとしていますが、今度はレバノンの医療従事者と診療所が攻撃を受け、被害を被っています。 「攻撃を受けたレバノンの医療従事者の70%は女性です。ガザでは、女性たちにリプロダクティブ・サービスを提供する施設が破壊されました。世界は今、レバノンで同じ戦争犯罪がくりかえされる場面を目にしています」 「IPPFは、米国、ドイツ、英国、その他すべての政府に対し、私たちの仲間である医療従事者たちを殺し、傷つけ、避難を強いる兵器の供給中止を要求し、民間人の殺戮の即刻停止を求めます。私たちは沈黙することなく、あらゆる暴力の証拠を収集し、人間性に対する犯罪について、声を上げ続けます」と、IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は述べています。 イスラエルによるガザへの無差別攻撃は、女性のリプロダクティブ・ヘルスに壊滅的な状況をもたらしました。IPPFのヘルスセンター、病院や妊産婦保健センターへの攻撃によって、医療ケアへのアクセスが著しく制限されました。同じことは、スーダンでも起きています。診療所が破壊され、男性がIPPFの保健推進員たちに暴力を振るい、レイプが戦争の武器となっているのです。 パレスチナでは、産科暴力および生殖に関わる暴力が、イスラエルによる暴力の特徴とされています。レバノンでも、このような女性と女児に対する犯罪が増加する前に、IPPFは警鐘を鳴らします。 「スタッフは怯え、命からがら逃げています。医療従事者たちは怖くて電話も使えないため、チームとの連絡は限られています。私たちは同僚だけでなく、すべての女性と少女の身を案じています。レバノンにおける女性や子供、そしてすべての人間が単なる数として扱われ、人間としての本質が失われている状況です」と、IPPFレバノンSALAMAのリナ・サブラ事務局長は、述べています。 レバノンは、1990年に内戦が終結して以来、最悪の状況に陥っています。イスラエルとヒズボラの戦いがエスカレートし、ここ数日間で殺戮行為が増大しているのは、力を持つ国々が紛争の継続によって利益を享受しているからです。 IPPFは、産科暴力および生殖に関わる暴力行為は、人道に反する犯罪とされていることを、すべての紛争関係者に改めて訴えます。

ガザ地区ラファへのイスラエルの攻撃に関する声明 

ガザ地区ラファへのイスラエルの攻撃に関する声明 

イスラエルは今週、国連の主要司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が即時の攻撃停止を命じたにも関わらず、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファにある避難民密集地区を攻撃しました。 この地区には、イスラエル当局から安全のために移動するよう強制され、命からがら避難し、テント生活を送っていた何千人もの人々がいました。夜間の攻撃は、就寝中の老若男女を襲い、人々は逃げる間もなく犠牲となりました。 ガザでこれ以上の死者が出ること、人々が避難を強要されることを防ぎ、イスラエル軍による破壊を阻止しなければなりません。パレスチナ人は、これまで何十年にもわたって隔離され、土地を剥奪され、重大な人権侵害に耐えてきました。パレスチナ人が直面している不公正は、植民地化と、それに伴う十分な人道上の責任が果たされていないためです。紛争について定めている国際法は、グローバル・ノースを含む、すべての国や地域によって守られなければなりません。  現時点で、犠牲者は37,000人以上にのぼります。生き残った女性や少女たちは、SRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス:性と生殖に関する健康)サービスを受けることもできず、生理用品、衛生用品も手に入らない状況で、多くの困難に直面しています。人々の我慢も限界に近づいています。このような事態をいち早く終わらせるため、私たち一人一人が自らの政府に、ガザへの人道支援のアクセスが滞らないよう働きかけなければなりません。また、イスラエル軍に武器を提供し、イスラエルの不処罰を支持し、停戦を要求しない政府は、その根拠を明らかにする必要があります。 IPPFは、イスラエルによるラファへの攻撃と、ガザ地区全域で続く残虐行為の即時停止を求めます。    IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています。 「毎秒、毎分ごとに、壊滅的な状況がさらに悪化しています。日々多くの人々が大けがを負い、殺されています。妊娠中の女性は、赤ちゃんのことも心配しながら、自分自身に待ち受ける最悪の運命を危惧し、本来であれば幸せであるはずの出産までの時間が、完全な悪夢となっています。 女性や少女たちは、生理が来ても生理用品や清潔な水、衛生用品も手に入れることができず、不安を抱え、心に傷を負って生きています。パレスチナの人々が安全に十分な医療を受けながら、尊厳をもって生きる権利があることを世界中の人々が認識し、人道的に正しいことを求めて声をあげてください。ガザに住む何百万人ものパレスチナ人にとって、この悲劇は正当化できるものではありません。即時かつ完全な停戦が唯一の選択肢です」 IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は、次のように述べています。  「ラファでは、ほぼすべての病院スタッフが強制的に避難させられ、大半の病院が機能停止しているため、医師が出産間近の妊婦を診察したり、妊婦が医療にアクセスできる状態ではありません。  ガザのIPPFスタッフが、この状況でも困っている人たちにSRHサービスを提供し続けていることは称賛すべきことですが、IPPFスタッフを含むすべてのパレスチナ人への私たちの心配は、恒久的な停戦が実現するまで尽きることはありません。 今、私たちの人間性が試されています。IPPFは、反植民地主義、反人種主義を掲げ、すべての人々の自由、解放にコミットします。沈黙はせず、声を上げつづけます」  パレスチナへの緊急支援のご寄付は、こちらからお願いいたします。

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日本政府、IPPFによる世界の自然災害や紛争で被災した女性と女児の支援活動のため、190万ドルの資金提供

アフガニスタン、パレスチナ、スーダン、ウクライナ、イエメンの5カ国のIPPF加盟協会は、日本政府の支援により、自然災害や紛争の影響を受けた地域に、必須の性と生殖に関する健康(SRH)サービスを提供します。 5カ国のIPPF加盟協会は、以下の支援を行います。 アフガニスタンの過疎の6つの州や洪水の被害を受けた地域において、女性と女児、周縁化されたコミュニティに、SRHおよび母子保健サービスを提供 パレスチナで激化する暴力の影響を受けている地域に、緊急のSRHサービスを提供 スーダンの国内避難民の多い3つの州における女性と女児のSRHに関連した疾病率・死亡率を下げるため、サービスへのアクセスとコミュニティの持続可能性を改善 ウクライナのカホフカ水力発電所のダム破壊の影響を受けた人々のため、紛争地域の保健施設を復興し、妊産婦保健サービスへのアクセスを提供 イエメンの国内避難民と地域社会に、重要なSRH・妊産婦保健サービスを提供 日本政府によるこの重要な資金提供は、望まない妊娠、死産や自身の死亡、生殖系の疾患の問題を解決し、女性が尊厳をもって生きるために必要不可欠であるにもかかわらず、アクセスのないSRHRサービスをIPPFが提供することを実現するものです。この資金により、コミュニティにおいて必要かつ質の高いSRHと母子保健サービスを提供します。レイプに関する臨床管理を含むジェンダーに基づく暴力(SGBV)の被害者となることを予防・ケアします。質の高い産科新生児ケアを施すスキルを備えた地域の助産師を育成します。女性と女児の健康に関するニーズと優先事項の対応に必要な情報を収集するためのシステム環境を強化することができます。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、「世界中の危機的状況に巻き込まれた女性と女児を支援するIPPFの活動にご協力いただいた日本政府の比類なき雅量に心より感謝申し上げます。このご厚意により、IPPFと加盟協会は、人道支援を切実に必要とする人々が増加する中、重要なライフラインを提供することができます」と述べました。 IPPFは2024年12月末までに、5カ国の加盟協会を通じて、少なくとも合計23万9,000人に保健サービスや情報を提供することを目指します。 詳細については、IPPF本部、谷口百合([email protected])までご連絡ください。 写真提供: IPPF/Hannah Maule-ffinch/スーダン  

30 Days Too Many for Women and Girls in Gaza

ガザの女性と少女にとって過酷な30日間

ハマスによる奇襲攻撃をきっかけに、イスラエルがガザ地区で前例のない戦争を宣言してから1カ月が経過しました。ガザでは人道的大惨事が続いています。 イスラエル当局によれば、10月7日以降、イスラエル市民約1,400人が死亡、200人が人質に取られ、数千人が負傷しました。ガザ地区では1万人以上が殺害され、その大半は女性と子どもです。 IPPFは、これ以上の残虐行為を阻止するため、即時かつ完全な停戦を求める国際的な要求に同意します。空爆とロケット弾による攻撃が続けば、民間人への援助物資の提供が事実上不可能になります。ガザ市民には、燃料、水、食料、医薬品が早急に必要とされていることに加え、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRHケア)の緊急性も見過ごしてはなりません。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「ガザにいるIPPFの職員は現在、命がけで避難していますが、過酷な状況でも、できる限りの方法でSRHケアを提供しています。この30日間、ガザ全域に爆弾が降り注ぎ、これまで連盟として経験したことのない規模の破壊と荒廃が起きています。完全な停戦が実現しない中、私たちは、ガザで必死に援助をしようとしている同僚や民間人、人道支援者たちに及んでいる生命の危険を強く懸念しています。」 これまで数十年に渡ってイスラエルの占領と封鎖下にあるガザでは、SRHRのための物資、資源、設備不足が、すでに差し迫っていました。10月7日以降、パレスチナの母子が何千人も殺害され、リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖に関する社会正義)が繰り返し抑圧されています。妊婦はストレスやショックで流産し、安全に出産できる医療施設は現状存在していません。女性や女児は、生理用品や避妊具(薬)の深刻な不足を訴え、性感染症や尿路感染症の症例が増加していますが、医療処置はほとんど受けられません。 完全かつ即時停戦が実現しなければ、この悪循環は続き、さらに何千人もの妊産婦や新生児が死亡することが予想されます。また意図しない妊娠の増加、HIVを含む性感染症の蔓延、心理的トラウマや紛争に伴う性暴力の増加なども起こり、これらはすべて何世代にも渡って長期的な影響を及ぼすでしょう。 IPPFは、国連機関間常設委員会(UN-IASC)による、平和かつ安全な状況下での援助活動確立の要求に賛同します。ガザでは、女性や少女、社会的弱者のための特定のSRHケアのニーズを含め、すべての人々の緊急のニーズに応えうる、協調的な対応が必要とされています。 戦争犯罪や重大な国際人道法違反は、誰が行おうと、誰に対して行おうと、正当化することはできません。私たちは、どこにいても、何であっても、すべての人々に、緊急のSRHケアにアクセスする権利があることを再確認します。 IPPFは、イスラエルとパレスチナにおける民間人の暴力、苦しみ、死を終わらせるため、即時停戦を求めます。停戦は、公正な平和への道を歩むための重要な一歩です。

Over 37,000 pregnant women at risk of life-threatening complications in Gaza

ガザ地区では37,000人以上の妊婦が命の危険にさらさられている

ガザ地区では今後数ヶ月の間に37,000以上の妊婦が、電気も医療物資もない状況での出産を余儀なくされています。出産ケアも緊急産科ケア(EOC)も提供されない中での出産は、命を脅かす合併症を引き起こす危険性が高まります。   IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています: 「妊婦や生まれた赤ちゃんに何が起きるかわかりません。診療所は使い物にならず、紹介できる病院の数が刻一刻と減っていきます。状況の悲惨さは筆舌に尽くしがたく、人道支援を切に必要としています」 もともとイスラエル軍の占領でセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスの提供はシステム的に難しかったのです が、10月8日のイスラエル軍による空爆でPFPPAの唯一のセンターが破壊され、女性への医療提供が完全に断たれました。 10月10日のイスラエル軍によるガザの完全封鎖以来、食料、水、燃料、医療物資のガザへの供給が妨げられています。現在、ガザの人々は、毎日2時間しか電気が使えなく、これもそのうち完全になくなるでしょう。 ガザの医療システムは、16年間に渡る封鎖で、すでに深刻な状況にありましたが、今回の爆撃による負傷者の対応は不可能なレベルです。緊急サービスや医療物資は、妊婦、陣痛中の女性、新生児などの元に届いていません。10月10日以降の負傷者・死者のうちの60%は女性と子どもと推定されています。 10月11日には、ガザの唯一の発電所の燃料が底をつき、5ヶ所のうち3ヶ所の浄水場が使用不可となりました。清浄な水、食料、基本的な医薬品、ワクチンなしでは、女性や生まれたばかりの赤ちゃんが死に続けることになります。   ガザ地区のPFPPA医療従事者、ワファ・アブ・ハシェイシュは、次のように述べています: 「10月7日以来、家族の安全と生活が脅かされていて、恐怖の中で過ごしています。と同時に、医療従事者としてパレスチナの女性たちに保険サービスと情報を提供する使命感も捨てきれません。連絡を受けたある女性は、爆撃とガスにより流産し、もうひとりは陣痛が始まり、近所の人たちからも、助けを求められています。ただこの状況では、助けてあげたい気持ちはあっても、選択肢が限られ、必要な備品もありません。ただただ、彼らが健康で、生き延びることを祈るばかりです。どこまでガザの人々が耐えられるか、行き場のなくなった女性たちがどれほどいるのか、毎日考えています」

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ガザにおける暴力のエスカレートに関するIPPF声明

ロンドン、2023年10月9日- この数日間、私たちは、ハマス武装戦闘員とイスラエル占領軍との間でエスカレートする暴力、民間人の死傷、保健施設を標的とした攻撃を恐怖のうちに見つめてきました。 これに対しIPPFは、当連盟および暴力の直接的な影響を受けている加盟団体を代表し、メディアに向けて声明を発表しました。 すべての紛争や人道的危機と同様に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(Sexual Reproductive Health, Rights and Justice:SRHRJ、性と生殖に関する健康と権利/正義)の課題は、今回の暴力の発生と保健医療インフラを標的とした攻撃により、パレスチナにおいて著しく増大するでしょう。パレスチナにおいて、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)は、特に女性、女児、とりわけ数十年にわたり長引く人道危機に直面している最も脆弱で周縁化された人々のために、今こそ優先されなければなりません。   IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「国際家族計画連盟(IPPF)は、今回の攻撃に民間人が巻き込まれたことを深く憂慮し、多くの命が失われたことに打ちのめされています 人権がますます攻撃されている今、私たちは、この地域における命を救うための性と生殖に関する医療が積み上げてきた多大な成果を維持する責任を、真剣に受け止めています。特に人道危機・紛争の下で、その脆弱性と経験が見過ごされがちな女性、女児、社会から疎外された人々のために。 「1964年の設立以来、IPPFパレスチナ(PFPPA)は、ガザ地区、ヨルダン川西岸、エルサレムに住む人々のリプロダクティブ・ライツを強化し、保護するために、最も困難な状況の中で活動してきました。 私たちの現地チームは現在、暴力が激化する中でガザに閉じ込められている人々のニーズに応えるだけでなく、現在イスラエルの占領下で生活している、性と生殖に関するヘルスケアへのアクセスの継続を必要としている500万人以上のパレスチナ人に対処すべく緊急時対応計画を立てています。 私たちは、パートナーや他のNGOと緊密に協力し、サービスの中断を可能な限り最小限にとどめるとともに、地域の同僚の身の安全を守り保障するため、状況を注意深く監視し続けます」   アマル・アワダッラー 事務局長 IPPFパレスチナ(PFPPA) パレスチナの現状は、敵対関係が激化している他の状況とは異なります。出勤を恐れているスタッフが大勢いますし、 国外でIPPFの会合があった後、国境で立ち往生して帰国できない同僚もいました。10月8日には、ガザにある私たちの重要なサービス提供拠点のひとつが破壊されました。建物は立て直せますが、人命は失われたら取り返しがつきません。 PFPPAは何十年もの間、この長引く人道危機の中で果敢にサービスを提供してきました。このことが私たちをより強くし、女性と女児に対する私たちのコミットメントを高めてきました。しかし、私たちは今、悲惨な状況に直面しています。ガザでは、コンドームのような基本的な性と生殖に関するヘルスケア用品は禁止されています。ガザの完全封鎖は、最も基本的な人権を否定されている何百万人もの人々の絶望的な状況をさらに悪化させるだけです。 パレスチナの人々は、性と生殖の健康ケアと権利が否定された体制下にあります。私たちの保健システムは、イスラエルの占領によって繰り返し標的とされ、損なわれてきました。それが崩壊すればするほど、女性と女児はこれらの権利の完全な実現から遠ざかることになります。 アラブメディアについては、ムスタファ・カメル([email protected])までご連絡ください。 英国とその他国際メディアはIPPFメディア担当([email protected])までお問合せください。

プロジェクト現場を訪れるあべ俊子衆議院議員と中島洋一パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長
02 3月 2023

あべ俊子議員と中島洋一駐パレスチナ大使、IPPFパレスチナ(PFPPA)の活動現場を訪問

2023年1月17日、あべ俊子衆議院議員と中島洋一パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長は、IPPFパレスチナ(PFPPA)が日本政府からの支援を受けて実施中の「パレスチナの人間の安全保障を改善するために:命を守るSRHサービスを最も必要とする人々に届ける」プロジェクトの活動現場を訪問しました。 ナムサウィ地区(バタンアルサミーンハン・ユーニス)は、プロジェクトの活動対象地の1つで、ガザ北部でも特に周縁化された、医療サービスの非常に届きにくい場所です。あべ議員は、産婦人科医、看護師、社会福祉士、ボランティアからなるPFPPAチームによる医療キャンペーンの様子を、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員と共に視察しました。 このプロジェクトは、ガザ地区とヨルダン川西岸(ハルフール、ベツレヘム、ラマッラ)の各地で、8月末まで活動する予定です。 プロジェクトの詳細(プロジェクト情報およびショートフィルム)は、こちらでご覧いただけます。

プロジェクト開始式の様子

パレスチナ、日本政府から60万ドルの支援により人間の安全保障とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアの充実へ

2022年6月8日、パレスチナのラマッラで「パレスチナで人間の安全保障を改善するため、もっとも必要とする人々の命を守るセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを提供する」プロジェクトの開始式がありました。本プロジェクトは日本政府の支援を受け、国際家族計画連盟(IPPF)の加盟協会であるIPPFパレスチナ(PFPPA)が実施します。  近年の調査によると、パレスチナではジェンダーに基づく暴力(GBV)の件数が増えています。GBVには心理的、社会的支援、医療サービス、女性と子どもの保健サービス、サバイバーへのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアを含む、迅速でタイムリーな取り組みが必要です。 これまで置き去りにされていたこれらのニーズに対応するため、本プロジェクトではガザとヨルダン川西岸で、女性、若者、脆弱な人々にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)サービスをクリニックで提供します。また、より多くの人々が、質の高い、命を守るSRHサービスを受けられるよう、コミュニティでも展開していきます。 馬越正之パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長は次のように述べました。「暴力と性的虐待に脅えながら生きることは、普遍的な人権の根幹に関わる問題です。ジェンダーのレンズを通して課題を考えない限り、この地域の平和の実現も、その長期的な維持も難しいでしょう。パレスチナの人々、特に女性に対する支援への日本の継続的なコミットメントの観点から、これは重要なプロジェクトです。日本は、パレスチナへの国際的な連帯に与して、これからも危機下の妊産婦と新生児の健康に関する、持続可能な開発のための2030アジェンダの目標達成を目指し、女性が包括的な医療ケアを受けられるよう支援を続けていくことをここにあらためてコミットします」  パレスチナのDrアマル・ハマド女性相は「社会のすべての人に包括的なプライマリー・ヘルス・ケア、特に女性向けのケアを提供するために、保健分野が主要な役割を果たします。私たちは持続可能な開発目標(SDGs)、特に3番目と5番目の目標達成にコミットしており、促進のために力を尽くし続けます」と言いました。 PFPPAのサミ・ナトシェ会長は「このプロジェクトを通じて、困難な人道的状況にあり、脆弱でサービスの行き届かないパレスチナ女性に質の高いSRHサービスをより多く提供してその権利を促進し、特に性とジェンダーに基づく暴力の削減と対応に大きな成果を上げることが期待されます」とコメントしました。 Dr ファドゥア・バハッダIPPFアラブ世界事務局長は、次のように言いました。「このプロジェクトはパレスチナ女性にとって、特に紛争が長引いている地域に住む女性たちにとって救命胴衣のようなものです。この支援により、人々に必須のSRHサービス、つまり安全な出産、妊産婦のケア、家族計画、HIVなどの病気の予防、性感染症とその治療、質の高い中絶後のケア、GBVサバイバーの社会心理ケアなどを継続的に提供できるようになります」 IPPFパレスチナ(PFPPA)  PFPPAはエルサレムで1964年に設立されました。独立した非営利・非政府組織としてパレスチナで登録されたIPPF加盟協会です。PFPPAはヨルダン川西岸のヘブロン、ハルフール、ベツレヘム、ラマッラと、ガザ地区の5拠点でクリニックを運営しています。さらにエルサレム地域で、地元のNGOと協力して4カ所のセーフスペースを運営し、ジェンダーに基づく暴力に対応するサービスを提供しています。PFPPAはSRHRサービスを受ける人々に多様な選択肢を提供することを重視し、パレスチナにある団体(政府・非政府問わず)で唯一、避妊用インプラント(埋め込み式避妊法)を家族計画法として提供しています。PFPPAは中絶関連サービスとしてハームリダクション・アプローチ(中絶が容易に受けられない環境で、安全でない中絶の代わりとして中絶薬とその使用法を提供する)を始めた先駆者であり、他の地元団体とIPPF傘下の加盟協会に、ハームリダクションの経験を共有し、技術協力をしています。. 国際家族計画連盟(IPPF)アラブ世界事務局   IPPFはグローバルなヘルスケア提供機関であり、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を推進する世界的リーダーです。1952年、勇気と強い意志をを持つ女性たちによって創設されました。今では120の自律した加盟協会と23の連携パートナーと共に、世界146カ国で活動する運動体になっています。IPPFアラブ世界事務局(AWR)は1971年に開設された、世界に6つあるIPPF地域事務局の一つです。チュニジアのチュニスにオフィスがあり、北アフリカと中東にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを提供しながら、地域全体のSRHR啓発活動を率いています。 メディアからのお問合せやPFPPAのMs. Ammal Awadallah(アマル・アワダラ)事務局長への取材の申込みはこちらまでお願いします。Ms. Abeer Dahbour PFPPA広報オフィサー宛(email: [email protected])  

パレスチナ、ガザ地区/IPPF Humanitarian/Samar Abu Elouf

日本政府 IPPFを通じパレスチナで最も脆弱な人々に保健医療分野の支援を決定

IPPFの加盟協会は、日本政府からの支援を受け、パレスチナで、人道危機とコロナ禍で大きな影響を受けている最も脆弱な人々を対象とした新たなプロジェクトを開始します。 パレスチナでは、少なくとも145万人の人々が保健医療関連の人道支援を必要としているといわれています。それまでの長期にわたる厳しい移動制限や保健医療体制の不備に加え、2021年5月にガザで起きた紛争の激化により、多くの命が奪われ、保健医療システムが破壊された上、コロナ禍の影響が重なり、貧困がさらに拡大し、保健医療システムが逼迫し、人道支援ニーズ(特に母子保健分野)が高まりました。2022年に入っても、引き続き、ガザ在住人口の63%、西岸在住の23%が人道支援を必要としていると推計されています。特に、女性や少女の脆弱性はさらに増し、健康に深刻な影響を及ぼし、命にかかわることもあります。 こうした中、IPPFパレスチナ(PFPPA)は、ガザ、ヘブロン、ハルフール、ベツレヘム、ラマッラの5箇所で、性とジェンダーに基づく暴力 (SGBV)関連サービスを含む、性と生殖の健康と権利 (SRHR)サービスを脆弱で公的サービスが届きにくい人々(特に女性や少女たち)に届けます。2023年2月末までに、以下の活動の実施達成を目指します。 5地区のPFPPAクリニックを通じ、約36,000人の女性と若者に、質の高いSRHRとSGBV関連サービスを届ける。 ガザと西岸のプロジェクト対象地域で移動診療を行い、4,800人に、緊急対応サービスパッケージ(MISP:性とジェンダーに基づく暴力対応、HIVと性感染症予防・治療、緊急産科新生児ケア、家族計画、包括的な中絶ケアなど)を届ける。 160人の女性に、健康な妊娠を促進し、出産に必要な準備をするためのカウンセリングやサービスを含む産前・産後の戸別訪問サービスを行う。  30人の女性に「出産準備」サービスを届け、必須新生児ケアを含む出産前後の準備のための基本的な備品から成るキットを配布する。 2,000人の女性と少女に、モバイルアプリとテレコミュニケーションによる事業を通じて、SRHとSGBVのサービスを届ける。 林肇 駐英日本国特命全権大使は、以下のように述べました。 「今回、パレスチナで人道危機と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、さらに脆弱性が増しているに女性達の健康の向上に向け、IPPFと共に取り組めることを嬉しく思います。この取り組みは、日本が重視するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に資するのみならず、人間の安全保障にも直結します」 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長のコメントです。 「日本政府の支援により、IPPFはパレスチナで脆弱な女性たちの健康と命を守るサービスを提供することができます。日本政府と共に紛争とコロナの影響を受けた人々に寄り添い、誰も取り残さないようにする機会をいただけることを非常に有難く思います」 アマル・アワダラ IPPFパレスチナ(PFPPA)事務局長は、「PFPPAは、個々の状況にかかわらず、いかなるサービスもその質は高く、尊厳と敬意をもって安全に利用者に提供され、関係者全員をあらゆる種類の危害から守ることを約束します。さらに、日本政府からの多大なるご支援によって、PFPPAは、性と生殖の健康と権利に関する必須サービス(性とジェンダーに基づく暴力ケアを含む)を、最も必要とする、周縁化された遠隔地在住者に届けられることに感謝申し上げます」述べました。   国際家族計画連盟(IPPF)について: 1952年にインド・ボンベイで設立。設立メンバーに日本初の女性国会議員で家族計画運動のリーダーであった加藤シヅエを含む。現在ではパレスチナを含む世界140か国で活動する120の加盟協会とパートナーがその草の根にはりめぐらせたネットワークを通じ、すべての人々(特に脆弱な人々)のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を擁護し、関連サービス・情報を届けることを目指して活動する世界最大級の国際NGO。   お問合せ先:国際家族計画連盟(IPPF)本部、チーフ戦略的連携開発アドバイザー(東南アジア) 谷口百合宛

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イスラエル軍の空爆で命を落としたIPPFパレスチナの年若き医師タバト・サリムを悼んで

<2025年1月6日IPPFパレスチナ(PFPPA)の声明> 2025年1月5日、ガザ地区中部にあるヌセイラト難民キャンプでPFPPAの人道支援活動を行っていたタバト・サリム(Thabat Salim)医師が、イスラエル軍の空爆によって命を落としました。「タバト」はアラビア語で「不動、信念」を意味し、その名が示す通り、彼女は危険を顧みず、その勇気と献身で常に女性や子どもたちに手を差し伸べて希望の柱となり、同僚や地域社会から深く尊敬されていました。サリム医師を失った悲しみは計り知れません。その功績はガザの星となって輝き続けることでしょう。 2023年10月7日以降、ガザでは46,692人の命が奪われ、このうち1,000人以上は命をかけて行動した医療従事者です。IPPFとIPPFパレスチナは、ガザ地区への攻撃継続、激化に強く抗議します。   <2025年1月7日IPPFアルバロ・ベルメホ事務局長の声明> タバト・サリム医師の命が爆撃で奪われたことに深い絶望と強い怒りを感じます。タバトは30歳、IPPFパレスチナ(PFPPA)で活動を始めたばかりのかけがえのないスタッフでした。 タバトの死は「悲劇」の一言で済ませるものではありません。女性の医療従事者たちがいかに過酷な状況で働き、日々を過ごしているかを示す痛烈な告発と言えるでしょう。女性が職場に恐怖を感じることがあってはなりません。しかし、その多くが女性であるパレスチナ、レバノン、スーダン、シリア、イエメンなどの医療従事者にとっては、それが日常なのです。 2023年10月8日にガザのIPPF保健施設が爆撃で破壊され、スタッフが避難を余儀なくされて以来、私たちは声を上げつづけています。他団体と共に、#HealthcareWorkersAreNotATarget (#医療従事者は標的ではない)のハッシュタグを用いてメッセージを拡散してきました。 一般市民、とりわけ医療従事者は、正当な法的保護の権利を否定されています。イスラエル軍とそれに武器供与を続ける米国や他の国々は、市民の殺りくにおいて結託し、生殖可能年齢にあるパレスチナ女性の殺りくにおいて結託し、医療従事者の殺りくにおいて結託しています。この究極の暴力行為で、私たちの人間性が破壊されています。 IPPFは、暴力の停止を強く求めます。同僚や患者の命を奪う武器の供給停止を求めます。性暴力が処罰を受けずに横行すること、何よりジェノサイドを終わらせることを求めます。 女性を擁護するなら、平和を求めるなら、SRHRJ(性と生殖に関する健康と権利/社会正義)を求めるなら、共に立ち向かいましょう。タバト・サリム医師のために。先週ダルフールのIPPFスーダン(SFPA)クリニックでコンドームを購入しようとしただけで殺された17歳の若者のために。昨年パレスチナ、レバノン、シリア、スーダン、イエメンで負傷し、命を落とした同僚たちのために。家を失い、働く場所も失いながらも、SRHケアの最前線に立ち、命をかけて活動している同僚たちのために。女性や若者の身体に対する宣戦布告なき戦いにある今、権力を握った少数の男性たちが、平然としてこうした犠牲を強いて積み重ねないように。今こそ連帯し、すべての人のSRHRJのために立ち上がるときです。

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中近東地域の医療従事者に対する暴力の拡大に関する声明

もうこれ以上耐えることはできません。パレスチナの女性と女児に対する生殖に関わる暴力の横行と、ガザのIPPFリプロダクティブ・ヘルス関連施設への爆撃からほぼ1年が経とうとしていますが、今度はレバノンの医療従事者と診療所が攻撃を受け、被害を被っています。 「攻撃を受けたレバノンの医療従事者の70%は女性です。ガザでは、女性たちにリプロダクティブ・サービスを提供する施設が破壊されました。世界は今、レバノンで同じ戦争犯罪がくりかえされる場面を目にしています」 「IPPFは、米国、ドイツ、英国、その他すべての政府に対し、私たちの仲間である医療従事者たちを殺し、傷つけ、避難を強いる兵器の供給中止を要求し、民間人の殺戮の即刻停止を求めます。私たちは沈黙することなく、あらゆる暴力の証拠を収集し、人間性に対する犯罪について、声を上げ続けます」と、IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は述べています。 イスラエルによるガザへの無差別攻撃は、女性のリプロダクティブ・ヘルスに壊滅的な状況をもたらしました。IPPFのヘルスセンター、病院や妊産婦保健センターへの攻撃によって、医療ケアへのアクセスが著しく制限されました。同じことは、スーダンでも起きています。診療所が破壊され、男性がIPPFの保健推進員たちに暴力を振るい、レイプが戦争の武器となっているのです。 パレスチナでは、産科暴力および生殖に関わる暴力が、イスラエルによる暴力の特徴とされています。レバノンでも、このような女性と女児に対する犯罪が増加する前に、IPPFは警鐘を鳴らします。 「スタッフは怯え、命からがら逃げています。医療従事者たちは怖くて電話も使えないため、チームとの連絡は限られています。私たちは同僚だけでなく、すべての女性と少女の身を案じています。レバノンにおける女性や子供、そしてすべての人間が単なる数として扱われ、人間としての本質が失われている状況です」と、IPPFレバノンSALAMAのリナ・サブラ事務局長は、述べています。 レバノンは、1990年に内戦が終結して以来、最悪の状況に陥っています。イスラエルとヒズボラの戦いがエスカレートし、ここ数日間で殺戮行為が増大しているのは、力を持つ国々が紛争の継続によって利益を享受しているからです。 IPPFは、産科暴力および生殖に関わる暴力行為は、人道に反する犯罪とされていることを、すべての紛争関係者に改めて訴えます。

ガザ地区ラファへのイスラエルの攻撃に関する声明 

ガザ地区ラファへのイスラエルの攻撃に関する声明 

イスラエルは今週、国連の主要司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が即時の攻撃停止を命じたにも関わらず、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファにある避難民密集地区を攻撃しました。 この地区には、イスラエル当局から安全のために移動するよう強制され、命からがら避難し、テント生活を送っていた何千人もの人々がいました。夜間の攻撃は、就寝中の老若男女を襲い、人々は逃げる間もなく犠牲となりました。 ガザでこれ以上の死者が出ること、人々が避難を強要されることを防ぎ、イスラエル軍による破壊を阻止しなければなりません。パレスチナ人は、これまで何十年にもわたって隔離され、土地を剥奪され、重大な人権侵害に耐えてきました。パレスチナ人が直面している不公正は、植民地化と、それに伴う十分な人道上の責任が果たされていないためです。紛争について定めている国際法は、グローバル・ノースを含む、すべての国や地域によって守られなければなりません。  現時点で、犠牲者は37,000人以上にのぼります。生き残った女性や少女たちは、SRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス:性と生殖に関する健康)サービスを受けることもできず、生理用品、衛生用品も手に入らない状況で、多くの困難に直面しています。人々の我慢も限界に近づいています。このような事態をいち早く終わらせるため、私たち一人一人が自らの政府に、ガザへの人道支援のアクセスが滞らないよう働きかけなければなりません。また、イスラエル軍に武器を提供し、イスラエルの不処罰を支持し、停戦を要求しない政府は、その根拠を明らかにする必要があります。 IPPFは、イスラエルによるラファへの攻撃と、ガザ地区全域で続く残虐行為の即時停止を求めます。    IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています。 「毎秒、毎分ごとに、壊滅的な状況がさらに悪化しています。日々多くの人々が大けがを負い、殺されています。妊娠中の女性は、赤ちゃんのことも心配しながら、自分自身に待ち受ける最悪の運命を危惧し、本来であれば幸せであるはずの出産までの時間が、完全な悪夢となっています。 女性や少女たちは、生理が来ても生理用品や清潔な水、衛生用品も手に入れることができず、不安を抱え、心に傷を負って生きています。パレスチナの人々が安全に十分な医療を受けながら、尊厳をもって生きる権利があることを世界中の人々が認識し、人道的に正しいことを求めて声をあげてください。ガザに住む何百万人ものパレスチナ人にとって、この悲劇は正当化できるものではありません。即時かつ完全な停戦が唯一の選択肢です」 IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は、次のように述べています。  「ラファでは、ほぼすべての病院スタッフが強制的に避難させられ、大半の病院が機能停止しているため、医師が出産間近の妊婦を診察したり、妊婦が医療にアクセスできる状態ではありません。  ガザのIPPFスタッフが、この状況でも困っている人たちにSRHサービスを提供し続けていることは称賛すべきことですが、IPPFスタッフを含むすべてのパレスチナ人への私たちの心配は、恒久的な停戦が実現するまで尽きることはありません。 今、私たちの人間性が試されています。IPPFは、反植民地主義、反人種主義を掲げ、すべての人々の自由、解放にコミットします。沈黙はせず、声を上げつづけます」  パレスチナへの緊急支援のご寄付は、こちらからお願いいたします。

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日本政府、IPPFによる世界の自然災害や紛争で被災した女性と女児の支援活動のため、190万ドルの資金提供

アフガニスタン、パレスチナ、スーダン、ウクライナ、イエメンの5カ国のIPPF加盟協会は、日本政府の支援により、自然災害や紛争の影響を受けた地域に、必須の性と生殖に関する健康(SRH)サービスを提供します。 5カ国のIPPF加盟協会は、以下の支援を行います。 アフガニスタンの過疎の6つの州や洪水の被害を受けた地域において、女性と女児、周縁化されたコミュニティに、SRHおよび母子保健サービスを提供 パレスチナで激化する暴力の影響を受けている地域に、緊急のSRHサービスを提供 スーダンの国内避難民の多い3つの州における女性と女児のSRHに関連した疾病率・死亡率を下げるため、サービスへのアクセスとコミュニティの持続可能性を改善 ウクライナのカホフカ水力発電所のダム破壊の影響を受けた人々のため、紛争地域の保健施設を復興し、妊産婦保健サービスへのアクセスを提供 イエメンの国内避難民と地域社会に、重要なSRH・妊産婦保健サービスを提供 日本政府によるこの重要な資金提供は、望まない妊娠、死産や自身の死亡、生殖系の疾患の問題を解決し、女性が尊厳をもって生きるために必要不可欠であるにもかかわらず、アクセスのないSRHRサービスをIPPFが提供することを実現するものです。この資金により、コミュニティにおいて必要かつ質の高いSRHと母子保健サービスを提供します。レイプに関する臨床管理を含むジェンダーに基づく暴力(SGBV)の被害者となることを予防・ケアします。質の高い産科新生児ケアを施すスキルを備えた地域の助産師を育成します。女性と女児の健康に関するニーズと優先事項の対応に必要な情報を収集するためのシステム環境を強化することができます。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、「世界中の危機的状況に巻き込まれた女性と女児を支援するIPPFの活動にご協力いただいた日本政府の比類なき雅量に心より感謝申し上げます。このご厚意により、IPPFと加盟協会は、人道支援を切実に必要とする人々が増加する中、重要なライフラインを提供することができます」と述べました。 IPPFは2024年12月末までに、5カ国の加盟協会を通じて、少なくとも合計23万9,000人に保健サービスや情報を提供することを目指します。 詳細については、IPPF本部、谷口百合([email protected])までご連絡ください。 写真提供: IPPF/Hannah Maule-ffinch/スーダン  

30 Days Too Many for Women and Girls in Gaza

ガザの女性と少女にとって過酷な30日間

ハマスによる奇襲攻撃をきっかけに、イスラエルがガザ地区で前例のない戦争を宣言してから1カ月が経過しました。ガザでは人道的大惨事が続いています。 イスラエル当局によれば、10月7日以降、イスラエル市民約1,400人が死亡、200人が人質に取られ、数千人が負傷しました。ガザ地区では1万人以上が殺害され、その大半は女性と子どもです。 IPPFは、これ以上の残虐行為を阻止するため、即時かつ完全な停戦を求める国際的な要求に同意します。空爆とロケット弾による攻撃が続けば、民間人への援助物資の提供が事実上不可能になります。ガザ市民には、燃料、水、食料、医薬品が早急に必要とされていることに加え、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRHケア)の緊急性も見過ごしてはなりません。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「ガザにいるIPPFの職員は現在、命がけで避難していますが、過酷な状況でも、できる限りの方法でSRHケアを提供しています。この30日間、ガザ全域に爆弾が降り注ぎ、これまで連盟として経験したことのない規模の破壊と荒廃が起きています。完全な停戦が実現しない中、私たちは、ガザで必死に援助をしようとしている同僚や民間人、人道支援者たちに及んでいる生命の危険を強く懸念しています。」 これまで数十年に渡ってイスラエルの占領と封鎖下にあるガザでは、SRHRのための物資、資源、設備不足が、すでに差し迫っていました。10月7日以降、パレスチナの母子が何千人も殺害され、リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖に関する社会正義)が繰り返し抑圧されています。妊婦はストレスやショックで流産し、安全に出産できる医療施設は現状存在していません。女性や女児は、生理用品や避妊具(薬)の深刻な不足を訴え、性感染症や尿路感染症の症例が増加していますが、医療処置はほとんど受けられません。 完全かつ即時停戦が実現しなければ、この悪循環は続き、さらに何千人もの妊産婦や新生児が死亡することが予想されます。また意図しない妊娠の増加、HIVを含む性感染症の蔓延、心理的トラウマや紛争に伴う性暴力の増加なども起こり、これらはすべて何世代にも渡って長期的な影響を及ぼすでしょう。 IPPFは、国連機関間常設委員会(UN-IASC)による、平和かつ安全な状況下での援助活動確立の要求に賛同します。ガザでは、女性や少女、社会的弱者のための特定のSRHケアのニーズを含め、すべての人々の緊急のニーズに応えうる、協調的な対応が必要とされています。 戦争犯罪や重大な国際人道法違反は、誰が行おうと、誰に対して行おうと、正当化することはできません。私たちは、どこにいても、何であっても、すべての人々に、緊急のSRHケアにアクセスする権利があることを再確認します。 IPPFは、イスラエルとパレスチナにおける民間人の暴力、苦しみ、死を終わらせるため、即時停戦を求めます。停戦は、公正な平和への道を歩むための重要な一歩です。

Over 37,000 pregnant women at risk of life-threatening complications in Gaza

ガザ地区では37,000人以上の妊婦が命の危険にさらさられている

ガザ地区では今後数ヶ月の間に37,000以上の妊婦が、電気も医療物資もない状況での出産を余儀なくされています。出産ケアも緊急産科ケア(EOC)も提供されない中での出産は、命を脅かす合併症を引き起こす危険性が高まります。   IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています: 「妊婦や生まれた赤ちゃんに何が起きるかわかりません。診療所は使い物にならず、紹介できる病院の数が刻一刻と減っていきます。状況の悲惨さは筆舌に尽くしがたく、人道支援を切に必要としています」 もともとイスラエル軍の占領でセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスの提供はシステム的に難しかったのです が、10月8日のイスラエル軍による空爆でPFPPAの唯一のセンターが破壊され、女性への医療提供が完全に断たれました。 10月10日のイスラエル軍によるガザの完全封鎖以来、食料、水、燃料、医療物資のガザへの供給が妨げられています。現在、ガザの人々は、毎日2時間しか電気が使えなく、これもそのうち完全になくなるでしょう。 ガザの医療システムは、16年間に渡る封鎖で、すでに深刻な状況にありましたが、今回の爆撃による負傷者の対応は不可能なレベルです。緊急サービスや医療物資は、妊婦、陣痛中の女性、新生児などの元に届いていません。10月10日以降の負傷者・死者のうちの60%は女性と子どもと推定されています。 10月11日には、ガザの唯一の発電所の燃料が底をつき、5ヶ所のうち3ヶ所の浄水場が使用不可となりました。清浄な水、食料、基本的な医薬品、ワクチンなしでは、女性や生まれたばかりの赤ちゃんが死に続けることになります。   ガザ地区のPFPPA医療従事者、ワファ・アブ・ハシェイシュは、次のように述べています: 「10月7日以来、家族の安全と生活が脅かされていて、恐怖の中で過ごしています。と同時に、医療従事者としてパレスチナの女性たちに保険サービスと情報を提供する使命感も捨てきれません。連絡を受けたある女性は、爆撃とガスにより流産し、もうひとりは陣痛が始まり、近所の人たちからも、助けを求められています。ただこの状況では、助けてあげたい気持ちはあっても、選択肢が限られ、必要な備品もありません。ただただ、彼らが健康で、生き延びることを祈るばかりです。どこまでガザの人々が耐えられるか、行き場のなくなった女性たちがどれほどいるのか、毎日考えています」

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ガザにおける暴力のエスカレートに関するIPPF声明

ロンドン、2023年10月9日- この数日間、私たちは、ハマス武装戦闘員とイスラエル占領軍との間でエスカレートする暴力、民間人の死傷、保健施設を標的とした攻撃を恐怖のうちに見つめてきました。 これに対しIPPFは、当連盟および暴力の直接的な影響を受けている加盟団体を代表し、メディアに向けて声明を発表しました。 すべての紛争や人道的危機と同様に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(Sexual Reproductive Health, Rights and Justice:SRHRJ、性と生殖に関する健康と権利/正義)の課題は、今回の暴力の発生と保健医療インフラを標的とした攻撃により、パレスチナにおいて著しく増大するでしょう。パレスチナにおいて、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)は、特に女性、女児、とりわけ数十年にわたり長引く人道危機に直面している最も脆弱で周縁化された人々のために、今こそ優先されなければなりません。   IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「国際家族計画連盟(IPPF)は、今回の攻撃に民間人が巻き込まれたことを深く憂慮し、多くの命が失われたことに打ちのめされています 人権がますます攻撃されている今、私たちは、この地域における命を救うための性と生殖に関する医療が積み上げてきた多大な成果を維持する責任を、真剣に受け止めています。特に人道危機・紛争の下で、その脆弱性と経験が見過ごされがちな女性、女児、社会から疎外された人々のために。 「1964年の設立以来、IPPFパレスチナ(PFPPA)は、ガザ地区、ヨルダン川西岸、エルサレムに住む人々のリプロダクティブ・ライツを強化し、保護するために、最も困難な状況の中で活動してきました。 私たちの現地チームは現在、暴力が激化する中でガザに閉じ込められている人々のニーズに応えるだけでなく、現在イスラエルの占領下で生活している、性と生殖に関するヘルスケアへのアクセスの継続を必要としている500万人以上のパレスチナ人に対処すべく緊急時対応計画を立てています。 私たちは、パートナーや他のNGOと緊密に協力し、サービスの中断を可能な限り最小限にとどめるとともに、地域の同僚の身の安全を守り保障するため、状況を注意深く監視し続けます」   アマル・アワダッラー 事務局長 IPPFパレスチナ(PFPPA) パレスチナの現状は、敵対関係が激化している他の状況とは異なります。出勤を恐れているスタッフが大勢いますし、 国外でIPPFの会合があった後、国境で立ち往生して帰国できない同僚もいました。10月8日には、ガザにある私たちの重要なサービス提供拠点のひとつが破壊されました。建物は立て直せますが、人命は失われたら取り返しがつきません。 PFPPAは何十年もの間、この長引く人道危機の中で果敢にサービスを提供してきました。このことが私たちをより強くし、女性と女児に対する私たちのコミットメントを高めてきました。しかし、私たちは今、悲惨な状況に直面しています。ガザでは、コンドームのような基本的な性と生殖に関するヘルスケア用品は禁止されています。ガザの完全封鎖は、最も基本的な人権を否定されている何百万人もの人々の絶望的な状況をさらに悪化させるだけです。 パレスチナの人々は、性と生殖の健康ケアと権利が否定された体制下にあります。私たちの保健システムは、イスラエルの占領によって繰り返し標的とされ、損なわれてきました。それが崩壊すればするほど、女性と女児はこれらの権利の完全な実現から遠ざかることになります。 アラブメディアについては、ムスタファ・カメル([email protected])までご連絡ください。 英国とその他国際メディアはIPPFメディア担当([email protected])までお問合せください。

プロジェクト現場を訪れるあべ俊子衆議院議員と中島洋一パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長
02 3月 2023

あべ俊子議員と中島洋一駐パレスチナ大使、IPPFパレスチナ(PFPPA)の活動現場を訪問

2023年1月17日、あべ俊子衆議院議員と中島洋一パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長は、IPPFパレスチナ(PFPPA)が日本政府からの支援を受けて実施中の「パレスチナの人間の安全保障を改善するために:命を守るSRHサービスを最も必要とする人々に届ける」プロジェクトの活動現場を訪問しました。 ナムサウィ地区(バタンアルサミーンハン・ユーニス)は、プロジェクトの活動対象地の1つで、ガザ北部でも特に周縁化された、医療サービスの非常に届きにくい場所です。あべ議員は、産婦人科医、看護師、社会福祉士、ボランティアからなるPFPPAチームによる医療キャンペーンの様子を、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員と共に視察しました。 このプロジェクトは、ガザ地区とヨルダン川西岸(ハルフール、ベツレヘム、ラマッラ)の各地で、8月末まで活動する予定です。 プロジェクトの詳細(プロジェクト情報およびショートフィルム)は、こちらでご覧いただけます。

プロジェクト開始式の様子

パレスチナ、日本政府から60万ドルの支援により人間の安全保障とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアの充実へ

2022年6月8日、パレスチナのラマッラで「パレスチナで人間の安全保障を改善するため、もっとも必要とする人々の命を守るセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを提供する」プロジェクトの開始式がありました。本プロジェクトは日本政府の支援を受け、国際家族計画連盟(IPPF)の加盟協会であるIPPFパレスチナ(PFPPA)が実施します。  近年の調査によると、パレスチナではジェンダーに基づく暴力(GBV)の件数が増えています。GBVには心理的、社会的支援、医療サービス、女性と子どもの保健サービス、サバイバーへのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアを含む、迅速でタイムリーな取り組みが必要です。 これまで置き去りにされていたこれらのニーズに対応するため、本プロジェクトではガザとヨルダン川西岸で、女性、若者、脆弱な人々にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)サービスをクリニックで提供します。また、より多くの人々が、質の高い、命を守るSRHサービスを受けられるよう、コミュニティでも展開していきます。 馬越正之パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長は次のように述べました。「暴力と性的虐待に脅えながら生きることは、普遍的な人権の根幹に関わる問題です。ジェンダーのレンズを通して課題を考えない限り、この地域の平和の実現も、その長期的な維持も難しいでしょう。パレスチナの人々、特に女性に対する支援への日本の継続的なコミットメントの観点から、これは重要なプロジェクトです。日本は、パレスチナへの国際的な連帯に与して、これからも危機下の妊産婦と新生児の健康に関する、持続可能な開発のための2030アジェンダの目標達成を目指し、女性が包括的な医療ケアを受けられるよう支援を続けていくことをここにあらためてコミットします」  パレスチナのDrアマル・ハマド女性相は「社会のすべての人に包括的なプライマリー・ヘルス・ケア、特に女性向けのケアを提供するために、保健分野が主要な役割を果たします。私たちは持続可能な開発目標(SDGs)、特に3番目と5番目の目標達成にコミットしており、促進のために力を尽くし続けます」と言いました。 PFPPAのサミ・ナトシェ会長は「このプロジェクトを通じて、困難な人道的状況にあり、脆弱でサービスの行き届かないパレスチナ女性に質の高いSRHサービスをより多く提供してその権利を促進し、特に性とジェンダーに基づく暴力の削減と対応に大きな成果を上げることが期待されます」とコメントしました。 Dr ファドゥア・バハッダIPPFアラブ世界事務局長は、次のように言いました。「このプロジェクトはパレスチナ女性にとって、特に紛争が長引いている地域に住む女性たちにとって救命胴衣のようなものです。この支援により、人々に必須のSRHサービス、つまり安全な出産、妊産婦のケア、家族計画、HIVなどの病気の予防、性感染症とその治療、質の高い中絶後のケア、GBVサバイバーの社会心理ケアなどを継続的に提供できるようになります」 IPPFパレスチナ(PFPPA)  PFPPAはエルサレムで1964年に設立されました。独立した非営利・非政府組織としてパレスチナで登録されたIPPF加盟協会です。PFPPAはヨルダン川西岸のヘブロン、ハルフール、ベツレヘム、ラマッラと、ガザ地区の5拠点でクリニックを運営しています。さらにエルサレム地域で、地元のNGOと協力して4カ所のセーフスペースを運営し、ジェンダーに基づく暴力に対応するサービスを提供しています。PFPPAはSRHRサービスを受ける人々に多様な選択肢を提供することを重視し、パレスチナにある団体(政府・非政府問わず)で唯一、避妊用インプラント(埋め込み式避妊法)を家族計画法として提供しています。PFPPAは中絶関連サービスとしてハームリダクション・アプローチ(中絶が容易に受けられない環境で、安全でない中絶の代わりとして中絶薬とその使用法を提供する)を始めた先駆者であり、他の地元団体とIPPF傘下の加盟協会に、ハームリダクションの経験を共有し、技術協力をしています。. 国際家族計画連盟(IPPF)アラブ世界事務局   IPPFはグローバルなヘルスケア提供機関であり、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を推進する世界的リーダーです。1952年、勇気と強い意志をを持つ女性たちによって創設されました。今では120の自律した加盟協会と23の連携パートナーと共に、世界146カ国で活動する運動体になっています。IPPFアラブ世界事務局(AWR)は1971年に開設された、世界に6つあるIPPF地域事務局の一つです。チュニジアのチュニスにオフィスがあり、北アフリカと中東にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを提供しながら、地域全体のSRHR啓発活動を率いています。 メディアからのお問合せやPFPPAのMs. Ammal Awadallah(アマル・アワダラ)事務局長への取材の申込みはこちらまでお願いします。Ms. Abeer Dahbour PFPPA広報オフィサー宛(email: [email protected])  

パレスチナ、ガザ地区/IPPF Humanitarian/Samar Abu Elouf

日本政府 IPPFを通じパレスチナで最も脆弱な人々に保健医療分野の支援を決定

IPPFの加盟協会は、日本政府からの支援を受け、パレスチナで、人道危機とコロナ禍で大きな影響を受けている最も脆弱な人々を対象とした新たなプロジェクトを開始します。 パレスチナでは、少なくとも145万人の人々が保健医療関連の人道支援を必要としているといわれています。それまでの長期にわたる厳しい移動制限や保健医療体制の不備に加え、2021年5月にガザで起きた紛争の激化により、多くの命が奪われ、保健医療システムが破壊された上、コロナ禍の影響が重なり、貧困がさらに拡大し、保健医療システムが逼迫し、人道支援ニーズ(特に母子保健分野)が高まりました。2022年に入っても、引き続き、ガザ在住人口の63%、西岸在住の23%が人道支援を必要としていると推計されています。特に、女性や少女の脆弱性はさらに増し、健康に深刻な影響を及ぼし、命にかかわることもあります。 こうした中、IPPFパレスチナ(PFPPA)は、ガザ、ヘブロン、ハルフール、ベツレヘム、ラマッラの5箇所で、性とジェンダーに基づく暴力 (SGBV)関連サービスを含む、性と生殖の健康と権利 (SRHR)サービスを脆弱で公的サービスが届きにくい人々(特に女性や少女たち)に届けます。2023年2月末までに、以下の活動の実施達成を目指します。 5地区のPFPPAクリニックを通じ、約36,000人の女性と若者に、質の高いSRHRとSGBV関連サービスを届ける。 ガザと西岸のプロジェクト対象地域で移動診療を行い、4,800人に、緊急対応サービスパッケージ(MISP:性とジェンダーに基づく暴力対応、HIVと性感染症予防・治療、緊急産科新生児ケア、家族計画、包括的な中絶ケアなど)を届ける。 160人の女性に、健康な妊娠を促進し、出産に必要な準備をするためのカウンセリングやサービスを含む産前・産後の戸別訪問サービスを行う。  30人の女性に「出産準備」サービスを届け、必須新生児ケアを含む出産前後の準備のための基本的な備品から成るキットを配布する。 2,000人の女性と少女に、モバイルアプリとテレコミュニケーションによる事業を通じて、SRHとSGBVのサービスを届ける。 林肇 駐英日本国特命全権大使は、以下のように述べました。 「今回、パレスチナで人道危機と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、さらに脆弱性が増しているに女性達の健康の向上に向け、IPPFと共に取り組めることを嬉しく思います。この取り組みは、日本が重視するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に資するのみならず、人間の安全保障にも直結します」 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長のコメントです。 「日本政府の支援により、IPPFはパレスチナで脆弱な女性たちの健康と命を守るサービスを提供することができます。日本政府と共に紛争とコロナの影響を受けた人々に寄り添い、誰も取り残さないようにする機会をいただけることを非常に有難く思います」 アマル・アワダラ IPPFパレスチナ(PFPPA)事務局長は、「PFPPAは、個々の状況にかかわらず、いかなるサービスもその質は高く、尊厳と敬意をもって安全に利用者に提供され、関係者全員をあらゆる種類の危害から守ることを約束します。さらに、日本政府からの多大なるご支援によって、PFPPAは、性と生殖の健康と権利に関する必須サービス(性とジェンダーに基づく暴力ケアを含む)を、最も必要とする、周縁化された遠隔地在住者に届けられることに感謝申し上げます」述べました。   国際家族計画連盟(IPPF)について: 1952年にインド・ボンベイで設立。設立メンバーに日本初の女性国会議員で家族計画運動のリーダーであった加藤シヅエを含む。現在ではパレスチナを含む世界140か国で活動する120の加盟協会とパートナーがその草の根にはりめぐらせたネットワークを通じ、すべての人々(特に脆弱な人々)のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を擁護し、関連サービス・情報を届けることを目指して活動する世界最大級の国際NGO。   お問合せ先:国際家族計画連盟(IPPF)本部、チーフ戦略的連携開発アドバイザー(東南アジア) 谷口百合宛