9月6日、「メキシコ全州で中絶が非犯罪化」、「メキシコ最高裁が、国レベルで中絶を非犯罪化」、「メキシコ全州で中絶が合法化」などの見出しがニュースを賑わせました。9月28日の「国際セーフアボーションデー」が近づくとともに、それらの言葉の力強さを実感します。メキシコにおけるこの大きな進展について、これまでわかっていることについては、インスタグラムのリール(リンク)で紹介していますが、この機会に、今回の判決がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の世界的なムーブメントにどれほど重要な意味を持つかについて、改めて検証します。
中絶の犯罪化を違憲とした、メキシコ最高裁の画期的な判決は、ここ数年間ラテンアメリカで広がりを見せている、「グリーンウェーブ(訳注:シンボルカラーが緑)」運動の影響によるものです。中絶合法化を求めるグリーンウェーブ運動は、2020年にアルゼンチンが中絶を合法化したことをきっかけとして始まりました。その後、コロンビア、ボリビア、チリ、そして今回メキシコが次々と中絶を完全に非犯罪化、または中絶ケアへのアクセスを大幅に拡大する動きに至っています。コロンビアのProfamilia、ボリビアのColectivo Rebeldia、チリのAPROFA、そしてメキシコのMexFamなどのIPPFの加盟協会が、これまでたゆまずSRHRを全面的に擁護・推進してきた成果といえるでしょう。
加盟協会が協力して取り組んできたことが、安全な中絶サービスへのアクセスを肯定する判決に結びついたことは、大きな達成です。また、地域的な取り組みは、地域的・地球的規模の両方において、わたしたちの権利が認められることに密接に結びついていると認識することも大切です。
例えば、メキシコ最高裁の公式声明では、
「中絶を犯罪化することは、ジェンダーに基づく暴力と差別の行為である。女性や妊娠する身体を持つ人々は、子孫を残すためにしか自由に自身のセクシュアリティを行使できないという固定観念を永続させ、母性を強制的な宿命として課すジェンダー的役割を強化するものだからである。」
としています。
このような声明での、権利に基づく、包括的な言語の進歩的な使用は、決してたまたま出てきたものではありません。これは、中絶の権利や身体の自己決定権をだれでも、どこでも保障する社会的な規範をつくりだそうと訴え続けてきた、世界中の活動家たちの取り組みの成果であり、支援し、動員し、ともに学び、そして祝えることは、連帯した運動の最大の強みです。
一方で、エルサルバドルやドミニカ共和国などでは、依然としてリプロダクティブ・ライツに反対の姿勢です。世界の他の国や地域でも、特に2022年のアメリカにおける「ロー対ウェイド」判決の覆し以来、プロチョイスに反対する動きがますます拡大しています。
とはいえ、世界の状況は明るいといえます。米リプロダクティブ・ライツセンターによれば、過去30年間で、60を超える国々で、中絶法が緩和されています。今年のセーフアボーションデーを前に、メキシコが、人権の道を切り開く成果を挙げた直近の国となったのは、歓迎されることです。
9月28日には、フェミニストたちが街頭、オンライン、ローカル、グローバルネットワーク上で、だれでも尊厳を持って安全な中絶を選択できる世界を訴えます。
「グリーンウェーブ」のうねりは高まりつつあります。わたしたちが達成したこと、まだやらなければいけないことの焦点ははっきりとしています。だれにもこの動きは止められないでしょう。
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https://www.ippf.org/jp/news/historic-moment-argentina-legalizes-abortion
when
country
メキシコ
region
アメリカ・カリブ海地域
Related Member Association
MEXFAM - Fundación Mexicana para la Planeación Familiar