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衣料品工場「デワースト」の建物の外にいるバン・サーヴェンさん(23)

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性教育をポップ音楽にのせて~ カンボジアの衣料品工場で働く女性たちをサポートする~

カンボジアの衣料品工場で働いている人は70万人余りですが、その多くは地方から出稼ぎに来た、学歴の低い女性たちです。IPPFカンボジア(RHAC)のスレン医師によると、女性労働者の多くは自分の命にかかわるような保健の知識がなく、医療機関への不信が強く、医療ケアをどこで受けてよいかも知りません。 RHACが衣料品工場への保健アウトリーチプログラムを始めたのは1998年でした。現在、合計で13万429...

カンボジアの衣料品工場で働いている人は70万人余りですが、その多くは地方から出稼ぎに来た、学歴の低い女性たちです。IPPFカンボジア(RHAC)のスレン医師によると、女性労働者の多くは自分の命にかかわるような保健の知識がなく、医療機関への不信が強く、医療ケアをどこで受けてよいかも知りません。

RHACが衣料品工場への保健アウトリーチプログラムを始めたのは1998年でした。現在、合計で13万429人の労働者が働く、82カ所の工場でプログラムを実施しています。参加者のうち、2万8,000人はRHACのスタッフがリードするグループディスカッションに参加したことがあります。冒頭の場面にあるようなヘルスデーイベントに参加したことがある労働者は、6万7,000人以上になります。

クリニックのスーパーバイザー、ロウン・ニールディさんがRHACで働いて5年。ロウンさんは家族計画の普及を大切な仕事の一つととらえ、心を込めて取り組んでいる。
RHACの助産師、ヌズ・ソフェアクさんがチョウンさん(28)の血圧を測る様子。チョウンさんにとって、RHACで受ける初めての健診だ。このクリニックを美容師に勧められたというチョウンさんは、丁寧なケアやクリニックの清潔さに感心していた。
23歳のナイさんは衣料品工場で働いている。初めての子どもを妊娠中で、妊娠8カ月だ。妊娠がわかってから、ずっとRHACクリニックで毎月、ケアを受けてきた。クリニックのスタッフに言われるまで、家族計画については何も知らなかったナイさんだが、出産後は産児制限をする予定だ。
健診で訪れたRHACクリニックで、B型肝炎の予防接種を受けるボリンさん(29)。クリニックを訪れる多くは女性だが、治療や診察を求める若い男性の数も増えている。
RHAC助産師チームのリーダー、チャン・バンナさんは24年間、RHACで働いており、若い女性の支援に力を入れている。バンナの患者の多くは、地方から衣料品工場に仕事をしに来た女性が多い。
チャン・バンナ助産師の診察を終えたドゥング・スレイニスさん(22)。衣料品工場で働いており、妊娠2カ月だ。スレイニスさんは姉妹に勧められて始めてRHACクリニックを訪れた。ほかのクリニックより、医師が親身になって話を聞いてくれると聞き、ここを訪れたと言う。これまでスレイニスさんはリプロダクティブ・ヘルスについてほとんど知らなかったが、クリニックの診察後は友人や家族に相談することに不安はないと話す。
カンボジア、タクマウ市にある衣料品工場「プロピシャス」の生産ラインで働く労働者たち。この工場だけで3,500名の労働者が働き、子ども服を中心に、男性、女性衣料を出荷している。RHACのヘルス・アウトリーチ・プログラムが始まってから、この工場の生産性が上がり、労働者の病休の割合が減っている。
休憩時間にくつろぐ労働者たち
チェンダさん(29歳)は、初めて子どもを産んだ2014年に、衣料品工場「プロピシャス」にあるRHACクリニックを訪れた。その時に医師に勧められた避妊法を継続して使用しており、RHACクリニックの対応には満足していると話す。
RHACのプロジェクトは少しずつ結果に表れている。衣料品工場で働く人たちを対象に2017年に実施された調査によると、RHACクリニックを利用したことがある人は全体の36%にもなった。
工場の休憩時間に、4歳の娘、カニカさんと撮った写真を見せてくれたセック・ソフォーンさん(34歳)。
衣料品工場「プロピシャス」の昼休みに開かれたヘルス・イベントで、労働者たちにパンフレットを配る25歳の助産師、シャンディさん。多くの女性は若くして学校教育を離れ、リプロダクティブ・ヘルスについての知識が少ないか、ほぼない状態で働いている。
シャンディさんは助産師としてRHACで働き始めて5カ月だが、高校時代からボランティアとして活動に参加してきた。婦人科の医師になるのが夢だ。
「RHACの受け入れにより、避妊法についての理解が高まった。子どもが多いと生活の質が下がる、たくさん赤ちゃんを産まない方法があることを労働者たちは学んだ。病休の取得率も20%ほど減り、この数年間で工場の生産性は飛躍的に向上した」と話す衣料品工場「プロピシャス」の人事部長、カウチ・デビーさん。
衣料品工場「プロピシャス」のRHACが開催するヘルスデー・イベントで音楽を楽しむ労働者たち。ヘルスデー・イベントに参加する工場労働者はセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアのニーズを感じた場合、そうでない人よりもRHACに行く確率が2倍にもなると言われている。
39歳のティアリーが、衣料品工場「プロピシャス」でRHACスタッフに相談する様子。RHACは工場で働く看護師向けのトレーニングを提供しており、RHACがアウトリーチを行わないときでも、労働者たちがリプロダクティブ・ヘルスについて相談できるようにしている。
「デワースト」衣料品工場の図書室でインタビューを受ける人事部長のヴォン・ラタさん。リプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスが向上したことが工場全体にとってよい影響となったと話す。労働者の欠勤率が大幅に減り、工場の生産ラインにも反映されているという。
RHACホットラインのカウンセラー、イング・サムナングさんが「デワースト」衣料品工場で働く労働者の女性と、昼休みに食堂で話をする様子。
イング・サムナングさんは何個も携帯電話を駆使して仕事する。「平均で1日に30件の電話に対応します」とのこと。RHACのホットラインを担当しているのはイングさんただ一人で、「皆さんの悩みを解決するお手伝いができてうれしいです」と話す。
28歳のシネアングさんは、生殖器系感染症(RTI)の既往歴があり、今回、初めてRHACクリニックを訪れた。結婚して2年になるが妊娠できず、不妊治療を希望していた。今回、1カ月の治療ののち妊娠できたことを喜ぶシネアングさんは、友達にもRHACを勧めたいと話す。
27歳のサヴォアートさんは、「デワースト」衣料品工場にあるジャケット・ベストの生産ラインで働く。サヴォアートさんは7月からRHACクリニックで治療を受けている。3年前の出産後から体調が思わしくなかったが、RHACのケアによって症状が大幅に緩和したと感じている。
RHAC企画部門のソファル・イムさんが、衣料品工場の労働者たちとグループディスカッションを呼びかけている場面。RHACで働き始めて1年でイムさんはすでにトレーニングを4回、実施しているが、自信をもって女性たちとリプロダクティブ・ヘルスについて話し合うことができるようになったという。
RHACの助産師と避妊法の選択肢について相談した23歳のスレイ・ポヴさん。別のクリニックで子宮内避妊具(IUD)を装着してから、不具合を感じているという。
チャンメイ・ノーランさんは、「デワースト」衣料品工場で働く事務職の女性で、妊娠8カ月だ。5カ月前にRHACスタッフからアウトリーチ活動について聞いてから、RHACクリニックで妊婦検診を受けている。
グループディスカッションを終え、休憩室から出てくるRHACスタッフと労働者たち。RHACが行う参加型のイベントは人気が高い。
「デワースト」衣料品工場で開かれた、RHACのヘルスデー・イベントのコンサートに見入る、たくさんの工場労働者たち。コンサートの合間には健康に関するクイズが出題されるが、最も脆弱な女性のグループに対してセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアについて話せるよう、RHACが工夫して編み出したアウトリーチ活動だ。
ヘルスデー・イベントで客席から舞台に呼ばれた若い女性
「デワースト」衣料品工場では2,800名が働くが、その85%は女性だ。工場の製品の75%はイギリスの小売業者、マークス&スペンサーのもので、同社は労働者のために工場で年4回、ヘルスプログラムを実施している。
「デワースト」衣料品工場でのシフトが終わり、帰路につく妊婦の労働者たち。妊娠中の労働者たちは、身体を締め付ける制服の着用が免除され、通常のシフトよりも数分早く仕事を終えてもよいとされている。

when

country

カンボジア

Subject

避妊

Related Member Association

Reproductive Health Association of Cambodia