「クリニックまで来られないセックスワーカーを訪ねます」タイのHIVと性感染症予防活動

IPPFタイでボランティア活動をするジヘ・ホンさん

一般的に、セックスワーカーはHIV(エイズウイルス)と性感染症(STI)感染リスクが高い環境で仕事をします。セックスワークが違法なタイでも、ほかの多くの国と同様、セックスワークが黙認されています。

ジヘ・ホンさんはIPPFタイ(PPAT)のボランティアです。ジヘさんは「HIVと性感染症予防チーム」の一員として、首都バンコクとその周辺で活動しています。ボランティア活動を始めて1カ月で、ジヘさんは感染リスクが高い風俗産業で働く女性たちを17回、訪問しました。

「(風俗で働く女性たちは)ターゲットグループの一つと言っていいと思います」とジヘさん。「女性たちの中には、タイ語も話せず、タイ政府が認める身分証を持っていない人もいます。若い女性ばかりです」

HIVと性感染症予防チームは、バンコクにあるPPATのセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス部門に属しています。このチームは、中高生やMSM (男性と性行為をする男性)のグループ、風俗業の経営者など、市内の様々な組織と協力関係を築き、アウトリーチ活動を通じて直接、働く人たちの話を聞きに行きます。

Administrating a HIV test

「セックスワーカーの人たちはクリニックで検査を受ける時間がないかもしれません。だから私たちが仕事場まで訪ねます」とジヘさんは言います。「通常、1時間ほどの教育的な話合いの場を持ち、復習を兼ねた活動をします。みんなで楽しみながら学ぶ時間です」

ジヘさんのいるチームは、イラストや画像で説明がある、大型の展示教材を持っていきます。そこには様々なSTIの症状や兆候が細かく図解され、HIV/AIDSとSTIの症状の克明な写真もあります。STIに感染するとどうなるのか、誰にでもわかりやすく説明されています。

「梅毒」「淋病」「性器ヘルペス」「腟カンジダ症」などの説明書きや写真を見た参加者からは、大きな反応があります。「みんなショックを受けますが、若い人は特にそうです。参加者はたくさん質問しますし、心配していることを話してくれます」とジヘさんは振り返ります。

PPATの冊子や小冊子の内容は、ショックを与えるようなものだけではありません。セクシュアリティと性的指向などの概念についても解説し、PPATが行うセミナーで話される性の多様性と平等についての理解を深める助けになります。

セミナーの後でHIVと梅毒の即日検査が希望者に実施されます。タイ国籍があれば、政府の補助によって年に2回まではHIV検査は無料です。有料でも、HIV検査は1回140バーツか4米ドル(500円弱)、梅毒検査は50バーツ(約170円)で受けられます。

「HIVの即日検査は30分ほどで結果が出て、99%正確です」とジヘさん。「即日検査と同時に看護師が採血します。このサンプルをラボに送ってより精度の高い検査をします。これは2~3日かかります」

検査の際、コンドームの正しい装着法をペニスの模型を使ったデモンストレーションで教えます。帰り道、受講者はPPATからのお土産の入った袋をもらいます。中にはコンドーム、PPATクリニックの電話番号が書かれた名刺、コンドームを入れるポーチが入っています。

ジヘさんは韓国の出身ですが、米国南部ルイジアナ州ニューオーリンズにあるテュレーン大学の大学院で公衆衛生学を学んでいます。進学後、PPATでボランティア活動を始めました。

「(活動を通して)世界中の人々は平等であることを実感しました。年齢、性別、性的指向、国籍、宗教や職業に関わらず、必要とする人は誰でも保健医療サービスを受けられるようにすることが重要です」
 

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