グローバル・ギャグ・ルールの適用拡大が及ぼす世代を超えた悪影響

A young female client helped by a project via IPPF

米国による グローバル・ギャグ・ルール(GGR)の適用範囲の拡大( https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270866.htm)により、世界でもっとも貧困に苦しむ女性と少女たちの何百万という命が脅かされると、テウォドロス・メレッセIPPF事務局長は訴えています。

グローバル・ギャグ・ルール(GGR、メキシコシティ政策とも言われている)の適用範囲が拡大されれば、地球上で貧困に苦しむ多くの女性たちが、命にかかわる医療ケアを受けることができなくなります。それにより、意図しない妊娠、安全でない中絶が増え、何千人もの女性が命を落とすことになるでしょう。

このままでは、適正な価格で受けられた、質の高い、包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアが、世界中で提供できなくなります。提供できなくなるサービスは、避妊指導や避妊法、ジカウイルス感染症に関する保健情報、母子保健サービス、出産後の母子のケア、生殖器のがん治療、HIV感染の予防や治療など、多岐にわたります。

GGRの影響をもっとも受ける、周辺化された社会に暮らす女性たちは、もっとも貧困で、医療サービスを受けにくい僻地に住む、25歳未満の女性たちです。人々が必要とする保健医療サービスが提供できなくなるために、何百万という人々が取り残され、意図しない妊娠や疾病、SRHに関連する死に追いやられるでしょう。

テウォドロス・メレッセIPPF事務局長のコメントです。

「グローバル・ギャグ・ルールの適用範囲は前代未聞の規模で拡大されます。社会の片隅に追いやられ、医療サービスへのアクセスが非常に限られる人々、貧しい女性やコミュニティが取り残される状況を作ることは、考えられる限りで最悪の事態です」

「GGRに基づいて米国が行動すれば、IPPFが加盟協会(MA)を通じて各国で提供し、女性たちが本当に必要とするサポート、カウンセリング、家族計画サービスなど、その国ではまったく合法な活動が不可能になります。IPPFの活動はやめるわけにはいきません。一度、活動を止めてしまえば多くの命が失われ、その影響は何世代にもわたって続くでしょう」

「女性であればだれでも、妊娠や出産など、自分の身体に起こることを、安全で合法に決めることができるべきだとIPPFは強く信じています。今回の要求は、強いられた妊娠の増加や、場合によってはもっとひどい結末などを招くだけであり、IPPFはこれを受け入れることはできません」

 

IPPFの試算では、GGRの実施によってIPPFへの資金援助が停止されることによって、妊産婦死亡が2万人、意図しない妊娠が480万件、安全でない中絶が170万件、世界中でさらに増加することになります。

 

GGRの適用範囲が拡大されると、IPPFが途上国で作り上げてきた保健医療分野のパートナーシップが壊される可能性があります。MAが現地の医療機関等と緊密に連携し、築いてきたリファラル(照会)や患者に対するサポートなどのサービスができなくなるからです。保健医療を提供する側と受ける側が持っていた選択肢が狭まり、双方にとって不利益が生じることになります。

米国国際開発庁(USAID)は、何十年も家族計画と公衆衛生プログラムを強く支持し、援助してきました。例え限られた期間だったとしても、USAIDがGGRの実施に従うことで、USAIDがもっとも得意としてきた活動の中で、多くの命を救うことができなくなります。莫大な活動予算が無になり、USAIDにとっても大きな損失になることでしょう。

今回の政策決定により、IPPFはその活動の中核を担う資金のうち、1億ドルを失います。MAを代表し、IPPFは1月に「IPPFがグローバル・ギャグ・ルールに署名しない理由」という緊急声明も発表しました。そちらもご参照ください。